キミの切札?俺の隣で寝てるよw   作:ピッツァ煮込み焼き

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第一話 相手モンスターのコントロールを得る。

 

コントロール奪取。

 

TCG──トレーディングカードゲームにおいて、相手のカードの制御、つまりコントロールを奪う効果をそう呼ぶ。

 

苦労して出した切札が、あっさり奪われた経験はあるだろうか?

ならちょっとだけ見せてあげよう。

 

 

俺の──《NTR》デッキの力を!

 

 

「手札から《Neoの誘惑》を発動。その効果で相手のモンスター1枚のコントロールを奪う。俺が奪うのはキミの《姫騎士の王子、シュヴァリエ》!」

 

 

「そんな!?僕のシュヴァリエが……」

 

ぬるりと、ドロドロとした黒いスライムのようなものがデカパイボーイッシュ王子様女子系カードであるシュヴァリエにネバネバと絡みついていく。

 

 

苦悶の表情を浮かべるシュヴァリエ──そのヴィジョンが、主に助けを求めるように手を伸ばす──

 

 

使い手のショタがその手を掴もうとヴィジョンに手を伸ばす──が、その直前に黒がシュヴァリエを完全に取り込んだ。

 

 

「ふっふっふ、残念だねぇwこのバトル中、今からシュヴァリエは俺のカードになったのさ!さぁ、元マスターに見せてあげなよ、シュヴァリエ!」

 

 

俺の言葉に答えるようにぬちゃりとスライムが解け、中からシュヴァリエが現れる──

 

 

しかし、先程までの凛とした佇まいに純白のタキシード、そして銀のアーマーを纏っていたはずのシュヴァリエは、今や淫猥な目つきににへらと下卑た笑みを浮かべ、その身は紫がかった黒のボディスーツがぴったりと貼り付き、豊満な肉体美を際立たせていた。

 

 

「ああ……そんな……シュヴァリエ……」

 

「さてさて、これでキミの場のモンスターはいなくなった。このままアタックに入るよ。さぁシュヴァリエ、元の主にトドメを刺せ!」

 

 

俺の攻撃宣言に呼応し、シュヴァリエが高く跳躍する。

かつての主を見定めると、口角が上がり、まるで月のような狂気に満ちた笑みを浮かべ──その手に握るレイピアで貫いた。

 

 

少年のライフが勢いよく減り──ピッという電子音とともに、大きく0と表示された。

 

 

「ゲームセット──俺の勝ちだ。」

 

 

周囲に展開されていたバトルフィールドが少しづつ消えていく──それに伴い、コントロールが元の持ち主から移動していたシュヴァリエも、持ち主に戻ろうとしていたが、消える前に俺が掴む。

 

 

「じゃあ開始前のアンティルールに乗っ取り、俺はキミの一番のレアカード──《姫騎士の王子(プリンセス・ナイト・オブ・プリンス)、シュヴァリエ》を貰っていくよ。」

 

 

俺の宣言により、消えようとしていたシュヴァリエのカードが実体化し、俺の手元に残る。

そのカードイラストは、《Neoの誘惑》が発動する前の姿に戻っていたが、以前と違いどこか淫美な表情を浮かべていた。

 

 

「そ、そんなぁ!返してよ!シュヴァリエは僕の……僕のカードなんだ!()()()から貰った、絶対無くしちゃいけない大切なカードなんだ!」

 

 

そんな妄言をのたまいながら、少年が俺の前に立ちふさがる。

 

 

「……何それ?そんなに大切なら、最初からアンティを受けなきゃ良かったじゃん。キミが勝ったら、俺の持ってるレアカードから好きな物を五枚あげる。その代わりに、俺が勝ったらキミの一番のレアカードをもらう──そういうルールだっただろ?」

 

 

そうキッパリと告げる。このバトルはアンティルール──バトルに参加するプレイヤーは、法が許す限りの、お互いが望む条件をつけてバトルを行い、勝者に敗者はアンティに従い、賭けた物を与えるという条件。

 

 

俺はそれに従っただけだ。

やる前は大口叩いてたくせに、いざ負けたらやっぱり返してください?虫が良すぎるね。

 

 

「そ、それは……」

 

「往生際が悪いなぁ。負けたんだからさっさと俺の前から消えてくれないかなぁ?あ、でもまたアンティでバトルするならいいよ。でもキミの《姫騎士(プリンセス・ナイト)》のエースカードは俺の手元にあるけど、今度は勝てるのかなぁw」

 

 

そう言って目の前に立つ少年──年は10歳ぐらいだろうか?()()()より少し若く見える少年を突き飛ばす。

 

 

「ほらほら、やるならやるでさっさとバトルディスクを展開しなよ。こちらとしては大歓迎だよ?」

 

 

腕に付けたゴテゴテした金属製のバトルディスク──結構な重みがあるそれを、倒れこんだ彼に押し付ける。

少し呻くが、そんなことは気にしない。

 

 

この世界では老若男女、誰でもこれを持っている。

それは娯楽のためであり、

闘争のためであり、

万が一の時、命を守るためでもある。

 

 

「そんなこと言ったって、もう僕には……」

「だよねぇ、ならさっさと帰りなよ!」

 

 

俺はそう言うとバトルディスクを振り上げ、彼に叩き下ろそうとした──

 

 

「──やめなさい!」

 

直前で、動きを止める。

声のした方に目を向けると、中学……いや、高校生ぐらいだろうか?

初めて見る女の子だ。

背は小さく見えるが、その胸は豊満であった。

 

 

「……オネーサン誰?この子の知り合い?」

 

「知らない子だ、だけど私には戦う理由があるッ!」

 

 

そう言いながらズンズンこちらに近づいて来て、俺に向かってビシッと指を突きつける。 

 

「一部始終は見ていたわ。あなた、私とアンティで勝負しなさい!私が勝ったら、彼にあなたが奪い取ったカードを返しなさい!」

 

 

「……いきなり来て何を言い出すかと思えば、アンティのお誘いか。別にいいけど、このカードに釣り合うぐらいのカードは持ってるのかなぁ?」

 

 

《姫騎士の王子、シュヴァリエ》をこれみよがしに見せびらかす。

 

 


姫騎士の王子(プリンセス・ナイト・オブ・プリンス)、シュヴァリエ》

『姫/騎士/王子』レジェンドモンスターカード(レジェンドを持つ同名のカードは、あなたの場に一枚のみ存在できる。二枚以上ある場合は、どちらかを墓地に送る。)

コスト(5)(白)(白)/パワー5/タフネス6

 

時渡(ときわたり)(この効果を持つカードはいつでも唱えてよい。)

 

先駆(さきがけ)(この効果を持つカードは召喚酔いしない。)

 

先手(せんて)(この効果を持つカードがアタックやブロックに参加するのなら、先手や連撃を持たないカードが戦闘ダメージを与える前に相手に戦闘ダメージを与える。)

 

このカードを場に出す際、自分の場にある、種族に姫を持つモンスター、及び騎士を持つモンスターの数だけ、このカードの無色コストを軽減しても良い。

そうしたなら、このカードはターンの終わりに手札に戻る。

 

このカードを対象として装備(イクイップ)カードの効果を発動する際、そのコストを0にしてもよい。

そうしたなら、その装備カードはターンの終わりに手札に戻る。

 

 


 

 

うーん強い。

無色コスト5に白のダブルシンボルにしてはパワーやタフネスは抑え気味だが、自前の軽減能力のおかげで先行4ターン目ぐらいにはだいたい場に出る。

 

 

軽減は《姫騎士》なら簡単に達成できるし、《姫騎士》にはテーマ内装備品カードも多い。

 

ターンの終わりに戻るのは一見すればデメリットのように見えるが、相手の除去カードが当たりづらいというメリットがあり、また時渡のおかげで実質的な不休持ちのように扱え、相手ターンにブロックに回ることも可能。

 

このカードは間違いなく相当なレアカードだ。

カードイラストも良いし、売れば相当な額が付くだろう。

 

 

「勿論よ。私が負けたら、あなたにこのカードをあげましょう。」

 

そう言いながら、彼女はベルトに付けていたデッキケースから、一枚のカードを取り出す。

 

 

「どれどれ……?!こ、このカードは!?」

 

 


 

聖清(せいせい)法務官(ほうむかん)、エリス・ノア

『ジェネレイト/法務官』レジェンドモンスターカード

コスト(5)(白)(白)/パワー4/タフネス7

 

不休(ふきゅう)(この効果を持つカードは休息しない。)

 

あなたがコントロールする他のモンスターは+2/+2の修正を受ける。

あなたの対戦相手がコントロールするモンスターは-2/-2の修整を受ける。

 


 

 

「どうかしら?間違いなくそのカードと釣り合うぐらいの価値はあるわよ。」

「駄目だよお姉ちゃん!僕のことはいいから、アンティはやめて!そんなレアカード、もし負けたりしたら……」

 

 

「安心しなさい!何が何でも私は勝ちますからね。安心して見守っててちょうだい。」

 

 

少年と巨乳が話しているのが、どこか遠く聞こえる。

 

 

「おいおいおい……このカードって……ていうことは、まさか……そんなことって……」

 

 

「……?どうしたの?さっきからブツブツ喋って。アンティなら受けるって、あの子に言ってたじゃない。」

 

 

何だか心配そうにこちらを覗きこんでくる巨乳(でかちち)

うおっおっぱい近っ。

 

 

「……あのー、つかぬことをお聞きしますが、お姉さんのお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか……?」

 

 

「……何で急に敬語になったのかしら。まぁいいわ、私は【宣言(せんげん) 歩美(あゆみ)】よ。私は名乗ったことだし、あなたにも名乗っていただきましょうか。」

 

「あっ……【寝捕(ねとり) (まくる)】です。よろしくお願いします。」

 

ペコリとお辞儀をして、相手に顔を見せないようにする。

だって今の俺は間違いなく顔面蒼白になっているからだ。

 

 

【宣言 歩美】、《聖清の法務官、エリス・ノア》、巨乳……

 

うん、アニメ版主人公だこの人!?





圧倒的強者からの甘美なる誘惑に、抗える者などいない。

──Neoの誘惑
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