「あのね夜巫女・・・・ずっと黙っててごめん。かぐや、ヤチヨだったみたい」
それは衝撃の告白だった。
かぐやの本体、“もと光る竹”を特殊な機材に繋いで直ぐの事だった。
旅―――否、俺とかぐやが共に居た理由。
それは“ヤチヨ”を探すこと。
目的はずっと前に達成されてしまっていた。
「・・・・そうか」
「ごめん。夜巫女と一緒に居るのが楽しくて、大切で。寂しくなりたくなくてずっと黙ってた。貴方を私のわがままでずっと縛り付けてた。ごめんなさい」
嬉しかった。
かぐやがそう言ってくれるのが。
離れたくない。
素直にそう思った。
「かぐや」
「・・・・」
「一緒にいても良いか」
「えっ」
「独りは寂しい。お前と同じだ」
俺は不老だ。
多分擬似的な不死でもある。
「だから。ずっと一緒に居てくれ、かぐや」
「・・・・!!うん、うん!!もちろん!!」
彼女となら、どんな困難も乗り越えられる。
そう思っていたのだ。
―――だが、それは唐突にやってきた。
「うそ、そんな・・・・じゃあ、私は・・・・」
「
ツクヨミの稼働が始まる直前。
各国への根回しなどの準備もすべて終わったある日。
突如として
「・・・・夜巫女。私・・・・ドジっちゃったみたい」
それは、残酷な真実だった。
故に
しかも、
そういう事らしい。
そこから数日、かぐやは塞ぎ込んでしまった。
俺にできることは特に無く、ただ、かぐやを抱き締め、ゆりかごになるしか無かった。
「・・・・夜巫女。私決めたよ。私、ヤチヨになる。んで、この世界の彩葉とかぐやをハッピーエンドに連れてく。そしたらどうにかして元の世界に行く。何千年掛かってでも、彩葉に会いに行く」
かぐやは、ヤチヨは決意した。
あぁ、なんと美しいことか。
今この瞬間、彼女は新しい自分となった。
蛹から孵る蝶の様に。
そんな彼女が言う。
「夜巫女・・・・付いてきてくれる?」
「ああ。勿論だとも」
答えは決まっていた。
ついて行こう。
何処までも、何時までも。
“かんばれよ”
“ヤチヨ万歳!”
“ヤチヨ、おぉヤチヨ”
メッセージも心做しか応援している様に感じた。
それから月日はあっという間に過ぎていった。
ツクヨミは正式に稼働を開始し、ヤチヨの知名度もうなぎ上りだ。
「神々の皆〜こんばんは!月見ヤチヨだよ〜」
『こんばんわ〜』『こんばんわ!』『おはよー』『ヤチヨー!!』
「うんうん。元気があって良きかな〜。さて、今日は特別ゲストを呼んでるんだ〜カモン!」
「・・・・(カーテシー)」
「はい、夜巫女ちゃんでーす!皆、拍手!」
『拍手』『夜巫女伝説の?』『クオリティ高いな』『美人だね』『8000年も生きてりゃ夜巫女とも知り合いかー』
「夜巫女ちゃんはねー私と一緒に旅をしてたことがあるんだ〜。あ、ツクヨミを創るのにも協力してくれてるんだよ!」
『ヤチヨの同僚ってこと?』
「そうとも言えるかな?無口だけど、とっても頼りになるんだよ♪ね〜」
「・・・・・・・・」
「も〜恥ずかしがりやさんだね」
『何のために呼んだの?』
「そうそう!本題を忘れる所だったよ〜。この度、ツクヨミに新しいゲームモードを実装する運びとなりました!拍手!」
「・・・・(拍手)」
「その名も〜KASSEN!!夜巫女ちゃんはそのテスターだよ〜」
「・・・・(一礼)」
「じゃあ、取り敢えずやってみよー!」
ぱん、とヤチヨが手を合わせると配信部屋から平原へと周囲が変化する。
俺はコンソールから武器―――ヤチヨ謹製の“
『剣デカくね?』『まさかの格ゲー?』『それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた』『いやでもモブみたいなのが次々に湧いてくるな』
「ではご照覧あれ」
表示されたSTART!の字と共に駆け出す。
“古龍狩り”を引きずる様に走り、すれ違う敵を弾き飛ばして行く。
「KASSENはね、陣取りゲームなんだ〜。今回は夜巫女ちゃん一人だけど、最大で3人のチームで戦う事ができるよ。フィールドには櫓が三つあって、それぞれに櫓を守っている大きめの敵がいるの」
櫓が見えて来た。
それと同時に現れたザリガニに向けて“ウルト”を使い一息で加速し、装甲の薄い腹部から突き上げる。
『瞬殺じゃん』『強すぎンゴ』『最後の不自然な加速ってスキルみたいなやつ?』
「今のはね、ウルトって言って必殺技みたいなものなんだ〜」
ヤチヨの解説を尻目に櫓の前に出現しただるま落としに向かって走る。
「それで、大きめの敵を倒すと櫓の前にだるま落としがでてくるから、それを櫓に〜」
急ブレーキからの、“古龍狩り”をバットの様に大きく振りかぶり、だるま落としを叩く。
「叩き込む!!」
瞬間、櫓が爆裂四散した。
「はい、しゅーりょー!夜巫女ちゃん、お疲れ様!」
・・・・何故俺は女の振りをしながら戦っていたんだろうか。
まあ、ヤチヨの為ならば必要経費か。
かぐや:原作かぐやのif。揺らぎ。万華鏡の虚像
ヤチヨ:かぐやが変生した存在。強く、美しい(夜巫女談)。
夜巫女:記憶は褪せたが、体は闘争を覚えている。
『古龍狩り』
ヤチヨが作り上げた、怪異を狩る為の武器
ただひたすらに耐久性と破壊力を追求したもの
その攻撃は古龍の鱗すらも打ち砕く
それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた
大きく、分厚く、重く、そして大雑把すぎた
それはまさに鉄塊だった
戦技:古龍狩り
低い姿勢で突き、追加入力で突き上げる戦技
小型、中型の敵には致命的なダメージを与える
力こそ王の故よ