この素晴らしい世界にガスブラ使いを! 作:異界を夢見る御影石
「……」
カタカタカタとキーボードを叩くこの少年の名は
「飛んで……止まって飛んで……上、下、下、右、下、右、下、左ッ……」
彼はUNDERTALEというゲームをプレイしている。
現在はモンスターを虐殺したルートのラスボスである「
「フゥ、攻撃して……右、上、上、左……ぐるぐる……ぐるぐる……」
途中で死ねば戦闘が最初からになるだけでなく、戦闘前のセリフで煽ってくるのだ。
プレイヤーのセーブロードを認識しているキャラクターだからこそできる芸当である、
「へい、よい、てい、へい、ほい……左ィッ! 」
戦闘も終盤。あと少しで勝てる。負ければ最初から。その極度の緊張で、彼の指は震えていた。
「上ッ、右下ッ、左上ッ、右ッ……んで洗濯機ぃ……」
最後のガスターブラスターによる回転攻撃、通称「洗濯機」
ここを乗り切れば、勝ちが確定する。
「っ……ッしゃァ! 」
HPギリギリで、最後のガスターブラスターをよけきった。
……その瞬間、彼の座る椅子が後ろに倒れた。
「あっ……嘘だァァア!!!」
そして彼は、背後にあった棚の角に頭をぶつけ、死んだ。
◆◆◆
目を覚ますと、そこは雲海ではなく大海の上空に浮かぶ、六畳くらいの畳の上にいた。
しかも、座布団の上に座っていた。目の前にはちゃぶ台と誰も座っていない座布団が一枚。
「……は? ここどこ……?」
俺が立ち上がって探索でもしようかと体を少し動かそうとしたら、
下の海から「ばしゃあん!!」と何かが飛び出したような音が鳴った。
そして、飛んできた1つの人影が俺の対面にあった座布団に座った。
「ここは私の固有空間の1つ。『無雲の大海』」
「え、誰」
俺の目の前に座った人物は海と空の色を凝縮したように濃い蒼色の足元くらいまであるロングヘアで、血ような深紅の瞳をした美しい女性だった。
「私は海神アクティシナ、海の女神でございます」
「えぇ……そんな女神様が、なんで?」
「暇潰しです♪ 最近、
「そ、そうなんですか……」
なんなんだこの見たことしかないシチュエーションと場所は!?
wkwkが溢れ始めてるのに困惑も出てしまう。
「なぜあなたを選んだのか、気になりますよね?」
「あ、はい」
「それは……」
「それは?」
「苦労して勝ち確までいっていたのに死んで可哀そうだからです!!」
何なんだこの人のテンション……よく分からん。
「と、いうことで、貴方には2つの選択肢があります」
「2つの選択肢……」
「はい。1つ、私の手によって異世界に転生する。2つ、私のお願いを断って死後の世界へ行く。もちろん、2つ目を選んでもらっても結構ですよ。」
「……死後の世界って、どんな感じですか?」
「生前の善行が多い魂が送られる天国、生前の悪行が多い魂が送られる地獄、輪廻転生を待つ待機所の3つがあります。天国では善行の分、様々なことを楽しむことができます。地獄では悪行の分、様々な罰を与えられることになります。そして待機所は天国で善行の分楽しんだ者、地獄で悪行の分苦しんだ者、善行と悪行を合わせてどちらにも偏っていなかった者が辿り着きます。」
へぇ……そんな風になってたんだ。
「俺の場合、どうなります?」
「あなたは悪行も善行もあまり無いので、輪廻転生の順番待ちをする待機所に送られると思います。伝えておくと、待機所は1年以上待たされるようになっていますよ」
「1つ目にします」
俺はその言葉を聞くと、即決で異世界転生を選んだ。
1年なんて待ってられっか!!
「じゃあ、転生特典は欲しい?」
「欲しいです!! ガスブラ使いたいっす!!!」
いけないいけない。少し食い気味になった。
「ガスターブラスターね。じゃあおまけしておくから、行ってらっしゃい!」
俺はグッドサインをして、決め顔で異世界へ飛ばされた。
多分投稿は不定期になります。
すぐ投稿するかもだし全然投稿しないかもしれません。