ゼンゼロに怪異ぶち込んだらおもろいやろなぁ……せや! 作:カンタレラ
死んでしまいます……
「死んだぜ!」(本日二度目)
いやー確かに白鞘は保管用であって実戦用ではないと知ってはいたが……まさか手からすっぽ抜けるとは、この転生者の目を持ってしても見抜けなかった。
その上すっぽ抜けた刀が俺の脳天にクリーンヒットするとは思わなんだ。
まあ何だ、つまりはあれだ。
自チェストにごわす。
よもやチェスト完遂する前に自チェストするなど、おいは恥ずかしか! 生きておられんごっ!!
あ、もう死んどったわ!
死んでるから恥もなんもないわわっはっは。
はぁ……
獄卒のあの困惑と驚愕をないまぜにしたあの表情、しばらく忘れられそうにないな……
そもすっぽ抜けるのは百歩譲っていいとして、それが脳天に落ちるか普通?
それとも家から脱出するときのクリティカルの揺り戻しでも来たか?
気を取り直して行こう。
さて、刀を引き抜く寸前に巻き戻ったわけだが、これがかの有名な死に戻りってやつか。
いや、死後の世界で死に戻りってのもおかしな話だが。それ言ったら死後の世界で死ぬのもおかしな話だが。
じゃなくて。
あぶねー脱線した。
復活地点が刀の傍だからさっきみたいに探索しなくても良いのは助かるな。復活ポイントから離れたボスは面倒だもんな……
良心的で助かったわ。
とりあえず方針を考えようか。
まず第一に刀をある程度振るえるようにする。
さっきみたいにまた手からすっぽ抜けたらお話にならん。
第二に戦闘経験を積む。
獄卒が相手になる上にこうして負けても仕切り直しが出来るなら存分に活用させてもらおう。
以上、シンプルで良い。
武器もある、敵もいる、仕切り直しも出来る。ならば後は勝ったなガハハするだけのことよ~!
『コンティニューしますか?』
YES
NO
当然YESだ!
「死んだぜ!」(三度目)
普通に受け止めたら刀の峰の部分で脳天かち割られた。
まあそりゃ金棒なんていう質量武器を真正面から受け止めたらそうなるわなって。
折れなかっただけまだ優秀。
あとちょっとしたライフハックなんだが、地面に突き刺さってる刀と鞘は両方引き抜かないと戦闘が開始しない。つまり刀だけ引っこ抜けば簡単なプラクティスに臨めるってわけよ。
ので、ある程度の素振りやらなんやらはここで練習しよう。
とはいえ剣術なんて習ったこと無いから縦振り横振りくらいしかすること無いんだが……
ゲームの動きでも再現すっか? DMCとかSEKIROの再現すっか?
いくらでも挑戦出来るわけだし、練習すっぺ。
目指せカット率100%!
ってなわけで、イクゾー。
「死んだぜ!」(10回目)
いやぁ、厳しいって。
どうやって刀一本でカット率100%出してるんだあれ。
受け流そうにもやり方わがんね。
ってか攻撃重すぎて弾けん。無理。
ってか毎回毎回行動が変わるからパターン化出来ん。
いっその事獄卒に教えてもらうか。
「死んだぜ!」(47回目)
よしよし光明が見えてきた。
あの後普通に頼んだら刀を持つようになってくれたのが助かりましたね。
とはいえ教えてくれるわけじゃないし、普通にぶち殺して来るけど。
見て盗んで、受けて理解して、試して高める。
観察と模倣こそが習熟の第一歩ですわ~!
ただこっちもこっちで態々殺される趣味なんて無いから、必死ではあるんだがね。まあ死ぬよね。
ただある程度打ち合いが出来ている時点で進歩を感じられる。
それに比べたら最初の頃なんてカスや、なんだ自チェストって馬鹿にしてんのか。
ま、こんな感じで頑張っていきますか。
「っしゃあおら!! 一太刀入れてやったぞおらぁああ!」
あ、死んだぜ!(119回目)
受け流し方も弾き方も段々わかってきたし、いけるぜこれは。
まあかすり傷程度なんだがな! FUCK!!
クソったれ待ってろ獄卒ぅ! この空間は疲れないからいくらでも相手してやるぞ獄卒ぅ!
「死んだぜ!」(179回目)
致命傷与えても死なないマ?
なんだ、鬼だから生命力高いって言いたいのか? クソわよ!!
ってか死後の世界で生命力ってなんだよ。
「死んだぜ!」(216回目)
寝るわよ!
さっきの致命傷与えても倒せないって知って普通に精神的に来たわ。
そのせいでダメージを与えられないまま無駄に死を重ねている。
だから一旦睡眠取って頭スッキリさせるわよ^~
まあここに睡眠の概念があるか知らんが。
とりまおやすみー。
おはようございます。
スーッとしたぜぇ。今なら何でも出来そうな気がする。こんな気持初めて……!
一回で殺せないんだったら10回でも100回でも何度でもぶち殺したらぁよ!
「死んだぜ!」(251回目)
よし3回ぶった斬った。
まだ命に届いた感触はないが確実に削ってるのは分かる。
ここまで来たなら後は集中力が持つかどうかだ。
「よし、やるか」
もはや当たり前となった素振りを終えた彼は、地面に突き刺さった鞘を引き抜く。
この動作をするのも300を超えてから数えるのはやめた。
ただ彼の記憶に死と修練の記憶だけが高く積み上がっていく。
暗闇だった世界に色が広がり、光が満ちる。
数十歩程度の距離の先には刀を構えた獄卒が立っている。
彼の指導者であり、殺すべき敵だ。
両者は何も言わずとも、各々の武器を構え、一歩ずつ距離を縮める。
彼は無駄口を叩く意味が無いことを理解しており、獄卒はもとより一言も喋ったことはない。
両者の武器が間合いに入った瞬間、彼は即座に距離を詰め刀を振るう。
それに反応した獄卒は刀を構え守りに入るが、刀同士が触れる瞬間、彼の刀は柳の如き柔軟さを持ち抵抗無く振り抜かれる。
受け止めた側からすれば刀になにか触れた感触はあれど、想像していたものよりもずっと軽いものであった。
獄卒との修練によって学んだことの一つ、己の刀を受け止めさせない。
受け止めさせれば、受け流しや弾き、鍔迫り合いによって体勢を崩され、次の行動を阻害されてしまうためだ。
だからこそ相手が守勢を見せた瞬間、彼は手の内を変え柳の葉のような動きを見せる剣術を使う。
弾かれず、流されず、受け止められなかった彼はさらに追撃を加える。
それを見た獄卒は己の生命力に物を言わせた、肉を切らせて骨を断つ戦術に切り替えた。
事実上受ける意味のない彼の刀に対して、守りの姿勢は悪手と察したのだろ。
獄卒は己の肉が裂かれるのを予感しながらも、振り下ろす刀の手は止めなかった。
だが彼はその刀を弾いてみせた。
獄卒は、ありえないと驚愕した。彼の刀は肉を裂くために振るわれており、守りに移行するには数瞬遅れるはずだった。その数瞬さえあれば彼に対して一太刀浴びせることが出来たはずだった。
これも彼が学んだことの一つ。相手の行動に合わせて攻撃か弾きを取捨選択することであった。
攻撃動作の中に弾きを織り交ぜることで、相手が攻撃するのであれば弾く、しないのであれば切り裂く。
という言わば後出しジャンケンであった。
それを可能にするのが経験によって培った見切りである。
視線や重心、関節や呼吸を見ることで相手がどのような行動をするかという予測を立て、自身の行動を取捨選択していく。
弾いたことによって姿勢が崩れた獄卒の心の臓に刀を突き立てる。
「まずは一回」
薄紅色の刀身に血が滴る。
彼は即座にそれを引き抜き、血を払う。
ここで彼に異変が生じる。
異変を感じ取った彼は、持っていた白鞘に納刀し抜刀の構えを取る。
今まで抜刀なぞやったことはなく、なぜその行動を取ったか分からない。ただ出来ると感じ取った。
きっかけなんてものはなく、ただ単純に偶然ピースがハマった。
世界から色が消える。
周囲の景色が白と灰と黒のコントラストに染まった。
彼は刀を抜き放ち一閃。
世界が、ズレた。
獄卒の胴は周囲の景色を巻き込んで横滑りしていく。
そのまま彼はそれを確認もせず納刀した。
見るまでもなく、手応えによって刀がその生命に届いたと理解したからだ。
硝子の割れる音と共に、世界に色が戻りズレた景色が元通りとなった。
ただ、獄卒の体は上下に泣き別れているという結果だけが残っていた。
獄卒の口が開かれる。
「見事だ……」
その言葉を最後にその体を急速に朽ち果てさせた。
残された彼は。
「喋れたんかお前……」
と、ただただ困惑してた。
自チェスト:自分で自分を
獄卒視点をスト6に例えたら
小技ばっかり振られて確反取れないよー →スーパーアーマーで割り込んだろ→ジャスパ取られちゃったよー →大P食らっちゃったよー →SA3でリーサル取られちゃったよー
的な感じ