あんだけ厄い世界なら厄ネタの一つ二つ増えても問題ないよね。
ん?蟲の方はって?新作を投稿したから許せサスケ。投稿はしてる事に変わりはない。ノーカウントってやつだ。
オギャア、オギャア!
その日、御三家が一つ、禪院家に新たな命が生まれた。
「生まれたか!?男か、女か、どちらだ!?」
「男の子でございます。刹那様。」
閉じられていた襖を壊す勢いで開いた男の名は禪院刹那。禪院直毘人、禪院扇の弟に当たる人物であり、対して強くない相伝でないありふれた術式故に権力闘争にすら加われず、現当主の息子でありながら冷飯食いの立場にある人物である。
そんな現状を打開するために彼に残された最後の手段。子に次代の当主を継いでもらうことに全てを懸けている男は、ひとまず最初の賭けに勝ったことを喜んだ。
禪院家において家督は男児しか継げない。その為第一子が男児であった事を喜び、そして赤子から溢れる呪力に目を見張った。
自らの子から溢れる呪力はまるでこの場に瀑布が体現した様に溢れ続けている。どこか緑色に近く時折発光する呪力に違和感を感じるが些末な事だと断じる。
自らの子から溢れる呪力から判断するに、禪院家内においてこの子より呪力量が多い者はいないだろうことは断言できる。男児であり、術師である事が確定された刹那は抱き上げた我が子に告げる。
「誰よりも強く、何者をも焼き尽くせる力になれ。」
託された
刹那は刹羅が生まれてから、自らの待ち受る全てを使い刹羅の教育を行った。自らを凡夫と自認する刹那はまるでスポンジの様に教えた事を身につけていく息子に更なる期待を寄せ、これならば次代の当主を狙えるかもしれないと思う事が増えた。
「後は術式だ。どんなモノでもいい。相伝でなくてもいい。頼むぞ刹羅。」
そして刹羅が4歳になった時に彼の術式が判明した。
それはいつもの様に刹那が息子に稽古をつけるために訓練場に行った時にそれを見た。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
笑い声をあげながら背中から緑色の粒子を炎の様に噴出し音よりも早く滑る様に滑走しながら右手に持つ杭打器の様な武器で鋼鉄製の的を粉砕している息子の姿に刹那は歓喜した。
その後も刹羅は父が来た事に気づかずに駆け回り続け、
武具を創造していた事と背中から炎を噴出していた事から構築術式の亜種かと思い少し残念がっていた刹那だが、思い違いをしている事に気づく。
構築術式に似ているが違う。構築術式ならば創るモノ次第で高速移動は可能であろうが、いくら呪力での強化があるとは言え生身で音速で動き続けるのは不可能だ。ましてや微塵の負担も無さそうな様子を見れば明らかだ。
眺め出して10分程経った頃になってようやく父がいる事に気づいて刹羅は慌ててこちらに滑り寄り謝罪をした。この時も背中から緑色の粒子を噴出していた為に、刹那は興味深そうにそれらを見つめた後、息子に術式を聞いた。
刹羅に宿った術式は『
息子は間違いなく次代当主になれると。
「はははははは!!なんだそれは!?なんとまぁ素晴らしい術式よ!」
自らの夢の成就を確信した刹那は、息子が説明する術式効果を聞き喜びを抑えられず腹の底から声を出して笑った。
刹羅の『緑粒呪法』は呪力を燃料に緑色の粒子を生成しそれを武器や推進剤、衝撃波などに変換する事が可能。
そして緑色の粒子はそれそのものが一種の毒性を持ち、ありとあらゆるモノを劣化・腐食させる。効果のオンオフはできないが効果を及ぼす対象は選別できるらしいから問題なし。
何より素晴らしいのがその燃費の良さだ。『緑粒呪法』は
10の呪力に対して4の呪力が返ってくる。莫大な呪力を持つ刹羅ならば全力全開で戦っても三日三晩は持つだろう。
なんと強力な術式であろうか、なんと素晴らしい術式であろうか。相伝など関係ない。才能あるこの子がこの様な術式を持って生まれた。これは天命なのだ。この子は当主になるために生まれてきたのだ。
孝行息子を持てた事を喜び、その後も刹羅に様々な経験を積ませ自らの願いを叶えた彼は晩年こう言い残したそうだ。
『私は孝行な息子を持てた。私の期待を常に上回る結果を出し続け、五条を差し置いて最強になった我が子を誇りに思う。文句?文句か……強いて言うならばもう少し私の胃を労って欲しかったなぁ……スピリット・オブ・マザーウィルの時は胃に穴が空いたよ。』