今日は予選一回戦」
「墨谷二中練習を始めて下さい」
「よし。ノックいくぞ」
みんな相手が江田川中ということもあり、緊張してる様子もなくのびのびしていた。
「五十嵐、隆志バットを磨いといてくれ」
「はい」
「はいキャプテン(名前覚えてくれたんだな。うれしいな)」
「墨谷二中は練習を終わって下さい」
江田川中の練習が始まったしかし、
エラーの連続である。
「いくぞ!ショート」
キン
フラァとショートの頭上にボールが上がる
しかし、ショートとセカンドが激突した
これには墨谷二中のみんな爆笑してしまう
「今日は楽勝だな」
「みんな、油断は良くないよ」
「キャプテン心配しすぎですよ江田川中くらいオレが完封してみせますよ」
「そうですよ。楽勝ですよ。松下さんセカンドに打たせて下さいよ。オレっちが軽くさばいてみせますよ」
コロコロ
ボールが転がってきた
「すみません。ボールとって下さい。何だ五十嵐じゃねぇか」
大柄のぽっちゃりした男がボールを取りに来た
「やぁ、井口」
井口はずうずうしくも相手チームのベンチに入り込んできた
「何やってんだよ五十嵐」
「見りゃわかるだろバット磨きだよ」
「バット磨きなんか後にして、話そうぜ、久しぶりに会ったんだからな」
「・・・おい」
五十嵐が顎でベンチを指した
井口が振り替えってみると墨谷ナインが井口を睨んでいた。
「あはは。及びでない。皆さん、今日はオレが投げるからよろしく」
井口はベンチに帰っていった。
「礼儀を知らないなお前の先輩は。同じピッチャーとして恥ずかしい」
「同い年ですよ」
「あれが一年生のとる態度かよ」
「あそこは上手ければ一年生でも出してくれるんですよ」
「どういう意味だ」
「なんでもないです」
「みんな、いくぞ」
「「オー」」
「これより、墨谷二中対江田川中の試合を始めます。江田川中の先行」
「プレイボール」
江田川の一番バッターがバッターボックスに入る
松下がロージンバックを手にとり
落とす
そして、彼独特の二段モーションからボールを放る
ビシュ
パンッ
「ストライク」
「ナイスピッチ松下。いい球来てるよ」
小山が松下にボールを投げ返す。
「松下さんナイスピッチ」
オレがベンチから声を張り上げてベンチを盛り上げる
五十嵐以外の一年はオレに続いて、松下さんを盛り上げる
「(隆志のやつ、普段から雑用とか進んで引き受けたり、ベンチを盛り上げたり一年生の仕事を分かってるな。五十嵐にも見なわらせたいぜ)」
「(隆志のやつ無意識に周りの一年を引っ張ってる。すごいな。オレよりキャプテン向きかもしれないな)」
ベンチからの声援で気分を良くした松下は
一、二番を三振に三番をサードゴロに打ち取った
「ナイスピッチです松下さん」
「隆志、ありがとう。その調子で盛り上げてくれ」
「隆志、もっとベンチを盛り上げろよ」
「はい。丸井さん、ドリンクをどうぞ」
「お、気が利くな」
「いえ。一年生として当たり前のことをしているだけですよ」
「まぁ頑張れよ」
「キャプテン、タオルをどうぞ」
「(隆志は本当に気が利くな)」
「(こういった日頃の雑用が大事なんだ。頑張るぞ。それに誉めてもらえるのはうれしいしな)」
気合いが入る隆志
井口が投球練習を始める
ビシュ
ゴォーーーー
ズバーン
墨谷ナインが唖然としている
「みんな落ち着くんだ。バットを短く持ってあわせていこう」
一番の加藤がバッターボックスに入る
井口がロージンバックをつけ
勢いよくそれを投げつける
一度胸の前で構え、そこから振りかぶって投げる
ゴォーーー
投球練習よりも更に速い球だ
しかし
ボールは加藤の顔面を襲う
ドーーーン
鈍い音をたてて加藤に直撃した
「デッドボール。テイクワンベース」
二番の松下が入る
井口がセットポジションから投げる
ゴォーーー
またしても打者の顔面を襲う
「(危なっかしな)」
何とか松下がよけた
しかし、松下は完全にビビってしまい、三振
三番西田はベースから離れてしまい三振
四番の谷口がバッターボックスに入る
「(オレが打って流れを呼び込む)」
いったんボックスを離れて深呼吸をし、ワンスイングをした後、ボックスに入る。
集中力を高めてピッチャーを見る
しかし
「こらー、君たち何をしているんだ」
谷口がベンチを見てみると西田と松下が二人で五十嵐を殴っていた
「タイム」
谷口がタイムをかけ、ベンチに帰る
「何をしているんだ」
「だってキャプテンコイツが生意気なんですもん」
「ベースから離れて打てる訳がないって言ったんですよ」
「でも、その前にオレにデッドボールになれって言ったじゃないか」
「だってアイツはいつも、立ち上がりが悪いんですよ。今のうちに点をとっておかないと、あの豪速球が決まり出すんですよ」
「そうしてもらいたいもんだね」
「分かったからベンチで喧嘩をするなよ」
谷口が再びバッターボックスに入る
井口がセットポジションから投げる
「(確かにストライクゾーンに近くなって来ている)」
しかし
谷口が打ち返した
キーーン
打球はフェンスに直撃した。
当たりが良すぎたため、ファーストランナーはホームに帰れなかった
しかし、井口はピンチにも全く動じずランナーが二、三塁にいることをいいことにワインドアップで投げ込み五番の浅間を三振にした
みんなが球の速さに騙されてボールをふってしまった
二回、江田川は四番の井口からだ
「タイム。キャプテン」
五十嵐がタイムをかけて谷口を呼ぶ
「どうした、五十嵐」
「井口は敬遠した方がいいと思います。松下さんの球じゃスタンドですよ」
「分かった。松下」
「何ですか」
「どうやら彼には一発があるらしいんだ。ここは敬遠しよう」
「五十嵐の指示ですか?嫌ですよ」
「(う〜ん松下にだってエースの意地があるだろうし。でも、ここで打たれたらなぁ)よし、分かった。クサイとこをついていこう」
「一年坊なんかにオレの球が打てるか」
ビシュ
なんとど真ん中に投げた。
「あーあ。オレしーらない」
「(楽勝だぜ)」
ガァーーキーーン
井口の打球は場外に消えていった。
「(オレに決断力があれば)」
谷口は後悔した。
そして、五十嵐の忠告どおり井口の豪速球が決まりだし
九回までヒットを打ったのは谷口だけで
後は、加藤がファーボールで出塁しただけだった。
現在、得点は一対0
江田川リードである
ちなみに井口は一打席以降はすべて敬遠であった
九回裏
どうなる墨谷ナイン?