ATUIOMOI 改 キャプテン編   作:ウッチー39号

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第12話 スーパールーキー

今日は一年生がレギュラーになれるかのテスト

一年生にとっては絶好のチャンスなのだ

一年は張り切っている

 

 

「よし一年生アップはすんだな。これからテストを始める。我こそはレギュラーにふさわしいと言うものは前に出ろ」

 

 

 

五十嵐が一人だけ前に出る

 

 

隆志も前に出る

 

 

それにつられて

たくさんの一年が前に出る

 

 

しかし、

 

 

 

谷口以外の二、三年生が睨みをきかす

 

 

 

みんなヒビって次々に辞退していく

 

 

 

残ったのは五十嵐と隆志だけだった

 

 

 

「なんだ二人だけか?まぁいいか。じゃあまずはバッティングから。松下たのむ」

 

 

 

「隆志、オレが先にいく」

 

 

「分かった。五十嵐頑張れ」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

五十嵐が右のバッターボックスに入る

 

 

 

「バックしっかりな(絶対に五十嵐のやつは抑えてやる。まずは内角の厳しいところを)」

 

 

松下が独特の二段モーションから投げる

ビシュー

 

 

 

五十嵐に向かってとんでいく。

しかし、五十嵐は微動だにしない

ぎりぎりのところで避けた

 

 

「(どうだ、びびったか)」

 

 

 

「何でぇ今のストレートかよ。余りにも遅かったから曲がると思ったのによ」

 

 

 

「何だと!打てるもんなら打ってみろ」

松下が投げた

 

 

 

五十嵐がスイングする。

打球はあっという間に外野の頭を越えていった。

 

 

 

「(何てシャープなふりなんだ)」

 

 

 

「(くそう。まだまだ)」

 

 

 

「(面白くないな)」

カキーン

カキーン

カキーン

カキーン

カッキーーン

カッキーーン

カッキーーン

カキーン

グワァキーーーーーン

全てフェンス直撃。

 

 

 

しかも、最後は場外ホームラン。

 

 

 

「よし交代。次、隆志」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「球質は素直だから当たれば飛ぶぜ。お前の手をみればどれだけバットを振ってきたか分かる。頑張れ隆志」

 

 

 

「ありがとう五十嵐」

 

 

隆志は自分の手をみた。

それは野球を始めてわずかのやつの手ではなかった。何年もバットを振ってきたような手。

豆が潰れてタコになってる

つまり、隆志はここ数カ月でそれほどまでにバットを振ってきた

 

 

 

隆志はマリナの地獄の特訓を受けてきた。

それは本当に地獄の特訓だった

 

 

普通の人ならもたないだろう

 

 

 

谷口でさえもついてこれたかどうか

 

 

 

隆志も何度も投げ出しそうになった。

 

 

 

しかし、隆志には特別な思い入れがあった。

 

 

 

野球が大好きだった

何年も、何年もやりたくてもやれなかった野球

部活をしながらも必ずめについてしまう野球部

 

 

野球部が野球の話をしている時にどれだけ話しに入りたいのを我慢したか

 

 

野球ができないもどかしさ。

 

 

 

その思いが隆志を強くした

 

 

みんなが嫌いな球拾いや雑用も進んでやった。

 

 

 

日頃の雑用が運をよぶ

これが隆志の信念だが

 

 

 

球拾いだろうが雑用だろうが何でも良かった

 

 

 

隆志はやっと念願の野球部に入れたのだから

 

 

 

隆志が左打席に入る

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

「ああ。よろしく(五十嵐もこのくらい礼儀正しかったらな)」

 

 

 

ビシュー

「(しまったど真ん中に)」

 

 

 

しかし

ブンッ

隆志は空振りしてしまった

 

 

「(隆志の実力ってこんなものなのか?もう一球ど真ん中に投げてみるか)」

 

 

 

「隆志、肩に力が入りすぎだ。楽に楽に」

五十嵐がアドバイスする

 

 

 

「うん。(やっぱりかなり緊張するな。でもいいなぁ〜野球ができるって)」

 

 

 

「(空振りはしたがスゴいスイングスピードだな)」

真後ろにいる谷口には分かった

 

 

松下がまた真ん中に投げてきた

 

 

 

「(楽に」)

ガギー

 

 

 

ボールは真後ろのバックネットへ

 

 

 

「もっとリラックスリラックス」

 

 

 

「(いける。オレの球は通用する。考えてみれば一年に打てるほどオレの球は悪くない)」

 

 

 

「(真後ろにとんだってことはタイミングが合っている証拠だ)」

 

 

 

「(そうだった。マリナに何度も言われたじゃないか。力を抜けって。大事なのは腰の回転)」

 

 

 

松下が投げた

 

 

 

隆志はオープンスタンスで構えた

 

 

 

「(バッティングの基本はセンター返し)」

カキーン

 

 

打球はきれいにセンター前に

 

 

 

「(やった)」

 

 

 

「(まぐれまぐれ)」

今度はアウトローぎりぎりに投げた

 

 

 

「(引っ張ってみるか)」カキーン

 

 

打球はライト前へ

 

 

 

「(今度は内角に)」

 

 

 

「(今度は流そう)」

カキーン

 

 

打球はレフト前へ

 

 

 

「(いけるぞ)」

 

 

 

「(後ろから見る限り、今の三球はまぐれじゃないな。なかなかいいバッティング技術を持ってるな。これで長打があればもっといいんだけどな)」

 

 

 

谷口がそう思うのも無理はない。

 

 

 

隆志のバッティングは相手の球の勢いを上手く利用してはねかえす打法

しかし、それは左だけならの話である

 

 

「すみません。タイムお願いします」

 

 

 

隆志が左打席からでて右打席へ

 

 

隆志が右打席へ入る

隆志の右での構えは神主打法。

それもバットを目一杯長く持ちバットを高々とあげる

 

 

 

「(何て威圧感だ)」

ビシュー

 

 

松下が投げた

 

 

 

 

 

 

カキーーーーーーーィーーーーン

 

 

 

ボールは五十嵐の場外ホームランよりも遠くにとんでいった。

 

 

 

「(これが、特訓の成果。あんに飛ぶなんて、今度こそ本当に努力が報われた)」

隆志はみんなにばれないように涙をそっと流した

元の世界でも隆志は野球の努力をしたが実らなかった

だからこそ、涙を流さずにはいられなかったのだろう

 

 

「隆志、やるじゃん」

 

 

 

「そこまで。次は守備だ。五十嵐、隆志希望のポジションはどこだ?」

 

 

 

「う〜ん。困ったなぁ」

 

 

 

「どうしよう」

 

 

 

「何だ?二人ともないのか?」

 

 

 

「一通り全てのポジションはやってきたからなぁ〜。しいていうなら内野かな」

 

 

 

「キャプテンすみません。オレ、どこもやったことないです」

 

 

 

「え?さっきのバッティングを見る限り素人には見えなかったけど」

 

 

谷口だけじゃない

みんなも驚いている

 

 

 

「基本的なことは叔父に教えてもらったんです(女に教わったなんていえないしな。この時代で女性が野球をすることはないはずだからみんな信じてくれないだろうしな)」

 

 

「じゃあとりあえず内野に行ってくれ。五十嵐からだ」

 

 

 

「はい」

 

 

五十嵐と隆志をショートの位置に立たせる

 

「いくぞ(五十嵐、これで守備もよかったらレギュラーとして申し分ない)」

キーン

 

 

 

「(しまった)」

打球はセカンドよりへ

 

 

 

五十嵐はダイビングキャッチでとり、そのまま空中でジャンピングスローでファーストに

 

 

 

「もういっちょ」

 

 

五十嵐はエラーなしで全球処理した

 

 

 

 

「(すばらしい反応だ)よし、次、隆志。いくぞ」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「(まずはこのくらいかな)」

キーン

 

ごく普通のゴロ

 

 

 

「(先ずはダッシュ、腰を落として、グローブの角度は80〜90°捕ったら右手をそえて、ファーストに投げる)」

 

 

 

バシ

ファーストがとる

 

 

 

「(痛い)」

 

 

 

「(これは)隆志、今度は外野に言ってボールを捕ったらバックホームだ」

 

 

 

「はい」

隆志は外野に走る

 

 

 

「いくぞ(まずは軽く)」

 

キン

 

 

 

打球は隆志の頭上

 

 

 

「(確か腰を落として落下点を予測して右手をそえてとる)」

 

 

パシッ

「(捕れた)」

 

 

 

「バックホームだ」

谷口が叫ぶ

 

 

 

「いっけー」

 

 

ゴォーー

 

 

 

ダイレクトでキャッチーに

 

「「あの距離をダイレクトで」」

 

 

 

「へへ(ハンドボールでの経験が活きたかな)」

 

 

「(思った通り隆志は外野向きだな)」

 

 

 

結局、隆志は十球中七球

捕った。

 

 

 

「五十嵐、隆志お前たちもこれからは練習にまざれ」

 

 

 

そして、練習が終わった。

 

 

「今日はここまで。レギュラーの発表は一週間後だ。解散」

 

 

 

「キャプテン、一緒に帰りましょうよ」

 

 

 

「ああ丸井か。何でグローブを持ち歩いてるんだ?」

 

 

 

「新しく買ってもらったんですよ。レギュラーになったって言ったらすぐ買ってくれました。それよりどうしたんですか?」

 

 

 

「ああ、レギュラーのことでな」

 

 

 

「五十嵐と隆志のことですか?隆志はともかく五十嵐はレギュラーにしないほうがいいと思います」

 

 

 

 

 

「どうしてだ?」

 

 

 

「アイツ、生意気だからチームワークがバラバラになりますよ。それに加えて、サルか

らっきょうのような顔。見てるだけでギタギタにしてやりたくなりますよ」

 

 

 

そこまで言った後に後ろから五十嵐が通りすぎていった。

 

 

 

「でも、僕は好きかな。」

すぐにフォローを入れる

「やべぇ。聞こえたかな」

 

 

 

「兎に角レギュラーのことはもっとよく考えてみるよ」

 

 

 

「お疲れ様でした」

 

 

 

そして、隆志と五十嵐の実力に刺激されこの一週間でみんなめきめき力をつけた。

 

 

 

谷口は家でレギュラーを考えていた

 

 

 

「タカ、もう夜中の三時だぜ早く寝ろよ」

 

 

 

「父ちゃん。なかなかレギュラーが決まらないんだよ。外された人の気持ちを考えると」

 

 

 

「そんなのは気にしないで男ならビシッと決めろ」

 

 

 

「そうだね。ありがとう父ちゃん。お陰で決まったよ。

 

 

 

そして、一週間後。

 

 

 

「みんな集まってくれ。今から次の金生中戦のレギュラーを発表する」

 

 

 

「(キャプテン、よく考えたんだろうな。目が真っ赤だ)」

 

 

 

「セカンドは丸井に変わって五十嵐。以上だ」

 

 

 

 

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