四番谷口の打球はレフトスタンド一直線
の
はずだったが
強風によって押し戻された
しかし
ぎりぎりスタンドにはいりそうだが
金生中レフトはフェンスをよじ登りジャンプ
パシッ
「アウト」
最低でも二塁打、最高ならホームランという打球ををアウトにする超ファインプレー
「そ、そんな、あれを捕るなんて」
打った谷口が一番驚いただろう
みんなもビックリしている
その後も金生中の堅い守りに0点に押さえられる。
逆に金生中の攻撃は華麗な守備とは逆に一塁にランナーが出たらバントでおくりこつこつ攻める、地道だが堅実な攻撃をしてきた。
五回終わって五対〇で金生中リード
四番谷口がまたもレフトに鋭い打球を飛ばしたがレフトのファインプレーでアウト
五番小山の打球はライトへのファール
誰もが見送る
はずの打球をライトとセンターが飛び付いていくグローブにかすったがとることは出来ずファール
「今のでも追いつくのかよ」
「礼儀もいいし本当にいいチームだな」
「このチームに負けたんなら満足だよ」
墨谷ナインの何人かは鉄壁の守りの前にあきらめかけている
「(どうしよう。このままじゃ。キャプテンのオレがしっかりしなきゃ)」
「キャプテン」
「どうした隆志?」
「あの〜相手の守備何ですけど、バッターが打つ前から動いているんですけど」
「何だって」
谷口が小山の打席に注目する。
ピッチャーが投げる。
それと同時に守備が動く
結果どのコースにうってもアウトになる
「アウト」
「(そういえばオレも二本ともレフトだった)」
「タイム。島田、ちょっと来てくれ」
「何ですか?」
「お前は流すのが得意だったな?」
「はい。流し打ちは得意です。任せて下さい」
「いや、今回は引っ張ってくれ」
「キャプテン、待って下さい。オレは引っ張っるの苦手何ですよ?」
「いいから、やれ」
「分かりました」
しぶしぶ納得する
島田がバッターボックスに入る。
「(キャプテン、点が入らないから頭にきてるのかな?)」
「島田に何をいったんですか?」
「みんな、聞いてくれ」
全員が谷口に注目する。
「おそらく、金生中は俺達の得意なコースに投げることで打つコースを予測し、ピッチャーが投げると同時に守備が動いてるんだ。だからどのコースに打ってもアウトになる」
「そんなバカな」
「そう言うお前はどこへ打った遠藤?」
「やだな〜キャプテン二本ともレフトへの長打コースだったじゃないですか」
「ん?ああ!!」
「そういえば、オレはライト」
「オレはセンター」
と次々に声がする
「でも、そんなことって出来るんですか!?」
「う〜ん。確かに難しいことだよな」
「できますよ」
みんなが驚いて隆志に注目する
「みなさん。あちらのベンチのマネージャーを見て下さい」
マネージャーはパソコンをいじっていた。
「何だ?あれは?」
「何か機械みたいだな」
「えーと、アレは確かパソコンっていうものだった気がします」
「その通りです(この時代じゃパソコンは珍しいか)おそらく、あれに皆さんの性格、スイングスピードを記録して打球の飛ぶ方向をシュミュレーションして守備にサインを送ってるんです。」
「シュミュレーション?」
みんな、何だそれというような顔をしている
「(時代ってすごい変化をとげたんだな)」
としみじみ思う隆志だった。
「(まあ、携帯もない時代だからな)」
「隆志、シュミュレーションって何なんだ?説明してくれ」
みんなを代表して谷口が聞いてきた
「えーとですね、つまりあのパソコンでこれから皆さんが飛ばすコースを先に見ることが出来るんです」
「そんなのありかよ」
「大丈夫だ。手はうってある。島田の打席に注目しようじゃないか」
島田が打席に入っている
ピッチャーが投げた
「(引っ張っるのは苦手なんだけど)」
ギン
コロコロ
鈍い音をたてて打球はサードに転がった
しかし、金生ナインは全員が右に走り出したので捕れるはずもなく、レフトがあわててボールを拾ったが
島田は既に三塁にストップしていた。
「あれれ?どうなってんだ?」
説明を聞いてなかった島田はびっくりしている。
「よし。相手の裏をかいたぞ。加藤お前は流せ」
「はい」
キーン
加藤が流した
普通ならレフトフライだがみんなが右に寄ったためこれも三塁打になる。
金生ナインは呆然としている
「どうしたの皆さんお手て叩かないの?拍手は?」
五十嵐が挑発する。
金生中バッテリーがタイムをかけ
ベンチに行く
「どうやらこちらの仕掛けがばれたみたいですね」
「どうしますか?」
「普通に守ったらどうでしょうか?」
「そう慌てなくても大丈夫ですよ。彼らの性格をもう一回インプットしなおしてシュミュレーションを修正しますから。サイン通り動いて下さいね」
「「分かりました」」
その頃墨谷ベンチでは「おそらくばれましたね。どうしますか?」
「ツーアウトだから意表をついてセーフティースクイズにしよう」
谷口がさりげなく浅間にサインを送る
「プレイ」
「シュミレーションによると次はスクイズですね。ウエストして下さい」
マネージャーもサインを送る
ピッチャーが投げると同時に加藤が走り出す。
浅間がバントしようとしたが
ウエストされてバットが届かず加藤がホームでアウトになり、チェンジ
「いいねらいでしたね」
金生ナインから嫌味が飛ぶ
あいつら猫かぶってたのか
墨谷ナインが怒りに燃えるがスコアは五対一
この回松下はツーアウトランナー三塁のピンチを向かえた。逆転するためにはこれ以上点はやれない
「ここはカーブでいく」
松下がカーブを投げた
相手バッターは上手く会わせてセンター前へ
「さっきのお返しだ」
浅間がダイビングキャッチ
「アウト」
浅間のファインプレー
「ざまぁみやがれ」
浅間が親指を下に向ける
「あれ?体が?」
浅間が倒れてしまった。
「浅間」
みんなが心配して集まる
肩をかしベンチの前まで浅間を運び横にならせた
「これは捻挫ですね」
「次の打順はオレからだが隆志、お前に任せたぞ。」
ポンッ
隆志の肩に手を置く浅間
「そうだな。隆志、行け代打だ」
「それだったら丸井を出して下さいよ」
「おそらく丸井のデーターもやつらは持っているだろう。ここは隆志の方がいい」
「頼んだぜ隆志。一発かましてこい」
「(丸井さん、自分だって出たいはずなのに、オレなんかよりもずっと悔しい思いをしているのに)はい。丸井さん、丸井さんのバットを貸してもらえませんか?」
「ああ!!一発かっ飛ばしてこい」
「はい!!」
隆志は右打席に入る
「(おそらくオレのデーターはない。オレの体格から見て飛ばせるとは思わないはずだ。それなら先ずはインコースをせめてくるだろう。インコース尚且つ飛距離をださせないのはズバリインコース低め、インローしかない。それからこの打法が役にたつ)」
隆志はバットを斜めではなく真っ直ぐ上に構えている
マネージャー「何だ?あの構えは?まるっきり初心者の構えじゃないか。見るからに力は無さそうだし。インローにしよう」
マネージャーからサインがでる
相手ピッチャーが投げる
「(ズバリインロー)」
ブンッ
読みは当たったがバットはあたらなかった
「隆志、振りが大きいぞ。落ち着け」
五十嵐がアドバイスを送る
「(いかんな隆志はかなり緊張してるみたいだ)タ・・」
「タイム。隆志、ちょっと来い」
谷口がタイムをかけようとしたが、それより前に丸井がタイムをかけた
「何ですか丸井さん?」
「もっと楽にいけよ。三振したっていいんだからさ。お前はオレのために気負い過ぎだ。お前の打席なんだからさ、もっと楽しめよ。例え三振したって誰も文句はいわないからさ。なあ、みんなそうだろ」
「ああ」
「当たり前だろ」
「オレ達だって打ててないんだからさ」
「気楽にいけよ」
「もっと挑戦しろよ」
「皆さん」
「隆志、結果は確かに大事だ、でも、それよりも大事なことは勇気を出して自分を試すことだ」
「はい。キャプテン」
隆志が再びバッターボックスに入る。力みのない神主打法だ
「(構えだけはしっかりしてきましたね。さて、どうしましょうかね?今と同じインロ―でボール一個分懐へ)」
マネージャーがサインを出す
「(もう一度インロ―に来るはず)」
ピッチャ―が投げる
「(よし)」
隆志はバットを縦に振った
キィーーーーーーーーン
打球は場外ホームラン
「よっしゃー」
隆志はベースを一周すると墨谷ベンチにかえる
みんなが出迎えてくれた
「「ナイスバッティング」」
「ありがとうございます。皆さんのおかげです」
隆志は嬉しさいっぱいだった。
「でも、なんであの縦のスイングでホームランにできたんだ?」
遠藤がすぐさま尋ねる
「テコの原理を利用したからです」
「お前って難しい言葉ばっかり使うな」
遠藤は感心していた。
隆志の一発で流れがきたようにも思えたが
金生中のデーター野球の前で墨谷打線は沈黙。裏をかこうとすれば、裏の裏をかかれてしまい
結局九回裏まできて五対二で金生中リードである
墨谷ナインは必死に策を考えるがなかなかいい策がみつからない。
「みんな、何も考えることはない。俺たちは俺たちの野球をすればいい」
一番の西田が入る
カキーン
西田が打つが
追いつかれてアウト
ナイスバッティング
金生中から嫌味がとぶ
「ちくしょう。あいつら頭来た。一発ぶん殴ってやる」
「やめろ五十嵐」
「丸井さん」
「お前はあいつらとケンカするためにオレからレギュラーを奪ったのかよ?悔しかったら悔しさをボールにぶつけてこい」
「すみませんでした」
「悔しかったら悔しさをボールにぶつけてこい、か。オレもそうするか」
松下が打席に入る
ピッチャー「よろし・・
「ご託は良いからさっさと投げやがれ」
相手ピッチャーが投げる
「こなくそ」
キーーン
打球はセンターへ
センターは待ち構えていたが思ったより打球が伸びている。
センターは二歩ほど下がったボールを捕る
「アウト」
ツーアウトになる
「キャプテン。五十嵐のところで代打で丸井を出してはどうでしょう?もう勝負はついてるんだし」
「なんだと!!お前は負けるつもりなのか!!野球は九回ツーアウトからだろ。なぁ五十嵐」
「任せといて下さい」
五十嵐がバッターボックスに入る。
「(丸井さんのためにも打つ)」
ピッチャーが投げる
キーーン
打球はレフトへ
レフトが構えるが五十嵐の打球はレフトの定位置から急激に伸びてフェンス直撃の二塁打になった。
四番の谷口を向かえる
が金生中ベンチでケンカがおきていた
金生中バッテリーがタイムをかけてベンチにかえる
マネージャーが怒ってベンチメンバーと喧嘩していた
「どうしたんですか?あなたらしくない」
「どうしたもこうしたもない。コイツらが僕のデーターにけちをつけたんだ」
「まぁ仕方ないでしょう」
「仕方ないだって。君は僕のデーターが信じられないんですか」
「この試合に至ってはな」
「なんだと!!今まで勝てたのは僕のデーターのおかげなんだぞ!!僕がいなければ負けてしまう。僕はもう帰る。後は好きにしたら良いさ」
「ああ。かえってその方がいい」
バッテリーが試合に戻っていった。
「ツーアウトツーアウト。後一人よ。バッター集中」
「おう!!」
四番の谷口が入る。
金生中は大きな見落としを一つしていた。
今の墨谷ナインの爆発力を
考えることから解放され、集中力が増した墨谷は強かった。
キィーーーーーーーーン
四番谷口のツーランホームランを口火に墨谷打線は大爆発を起こし。九回ツーアウトから逆転勝利をおさめた。
金生中ナインも負けはしたが本当の自分達の野球ができて、満足そうだった。
墨谷の快進撃はどこまで続くのか