「騎士団をつくりたいだぁ?」
思わず間抜けな声を出してしまった
俺の名はライアン、どこにでもいる傭兵だ
今は狭間の地とかいうよくわからん場所にいきなり送り込まれて困惑していたところだ
「はい、この地はどこもかしこも荒れ果てていて全く統治がなされていません
このままでは無辜なる民たちが危険です」
目の前にいる金髪の女はただでさえわからんづくしで困り果てている俺にさらに困りごとを増やしてきた
整った身なり、高そうな鎧に剣、いかにも高名な騎士様といった見た目だ
「私1人の力には限界があります、だからこそ協力者が必要なのです」
女は一方的に続ける
「待てよ、そもそもあんた誰なんだ?
名乗りもしないで力を貸せだのなんだの勝手すぎるとは思わないのか?
あと騎士団についてだが...」
「私はグロリアと申します!あなたは?」
「...ライアンだ」
「ライアン!よき名ですね!
さぁ私と共によりよき世のため力を尽くしましょう!」
この女ほんとに騎士か?
礼儀も何もあったもんじゃない
こちらの話も聞かずに勝手に喋り続けている
正直騎士だのなんだのはもう間に合ってる
さっさと断ってひとまず探索といくか
酒場はどこかなと...
「聞いていますかライアン!私の計画ではまずこの地を治めているであろう仕えるべき主となんとかして接触を____」
「お断りだ」
「へ?」
「断る といったんだ」
そのままさっさと俺は歩き出す
「何故ですかライアン!見たところあなたかなりの実力者ですよね!そんな方が民のために動かずしてどうするのです!」
民のため...か...
昔そんなことを言っていた仲間たちの事を思い出す
全員欲に負けて権力だの金だのを求めて最後には守るはずだった王を殺しちまった
この女もいずれそうなるだろう
期待するだけ無意味だ
口では人はなんとでも言える
そんなことを考えながら歩き続けていると
「ではあなたが首を縦に振るまで私はついていきます!」
こいつ...面倒なことになった...
無視して歩こうとする俺の背中に女は続けて叫ぶ
「私はたとえどこに行こうとも騎士として民を守り抜くというあり方だけは変える気はありません!そのためには戦力が必要なんです!あなたがなんと言おうと諦めませんからね!」
民を守るあり方は変えないだと?
振り返って女の方を見る
ふざけているようには見えない
俺の目の前で大真面目にこいつは言ったらしい
民を守るのだと
騎士というものを信じれなくなった俺の目の前で
その考えがどこまで続くのか俺は少し気になってきた
「わかった...好きにしろよ」
「入団希望ということですね!これからよろしくお願いします!」
「そこまでは言ってねぇ
ついてきたけりゃ勝手にしろってことだ」
「つれないですねぇ
まぁ今はそれでよしとしましょう!」
こうして狭間の地にて俺の新しい日々が始まった
正直興味本位でついてくることを許したことを後悔するくらいこいつには振り回されることになるのだが...
その話はまた別の機会にしよう