この爺さんとんでもなく強い
爺さんと戦っているグロリアを見ていて並の兵隊相手なら余裕で勝てるくらいの実力があることがわかった
ただこの爺それ以上だ
唐突に手合わせを挑んできた時にグロリアがこれ幸いとばかりに
「では私が勝ったら団員になってくださいね!」
とかなんとか言っていたが勝つどころか完全に追い詰められてやがる
正直散々振り回された身としてはいい気味だがこのままだと大怪我しかねないな...
俺は剣を取ると膝をついて肩で大きく息をしているグロリアの元へと向かった
「選手交代だ爺さん」
「ヴィンセントだ
先程名乗ったはずだがな」
「爺の名前なんざ興味ねぇよ」
確かに手合わせ前に名乗っていたとは思うが
適当に返事をしつつグロリアに耳打ちする
「俺がしばらく戦うからなんとか弱点を見つけろ」
グロリアはやや驚いたようだが静かに頷きそのまま後ろへと下がっていった
「さて...やろうかヴィンセン"ド"さん」
「安い挑発はやめておくことだな小僧」
刀を構え切先をこちらに向ける
応じるように俺も愛用のツヴァイヘンダーを爺に向けて構えた
先に動いたのは爺の方だった
一瞬の踏み込みでこちらに距離を詰め刀で切り掛かってくるがその刃が俺に届くことはない
グロリアの大剣も大概だが重量は俺の武器の方が上だ
しっかりと刀の衝撃を受け止める
「...なるほど」
爺がつぶやくと同時に一気に刀を振るスピードが上がる
手数で押し切るつもりか?
攻撃に耐えつつ一撃を叩き込む俺の技とは相性が悪い
元々弱点を探るためにでできたわけだから無理する必要はない、一旦後ろに下がりつつ受け流すのが賢明だと判断し攻撃が緩んだ隙を見て後退しようとする
...がその判断が甘かった
爺の刀から大量の血が吹き出し、血刃を形成して後ろに下がろうとした俺に襲いかかったからだ
この野郎!技を隠してやがった!
「今手を抜いたな小僧
そんな甘い判断では儂の前に立つことさえ許されんぞ」
全くもってその通りだ
相手はグロリアを力を隠した状態で追い詰めた相手だ
今更ながら腑抜けていたことを自覚するがそれで戦況が好転するわけでもない
血刃が直撃し体に痛みが走る
...だがそのくらいで怯む俺ではない
「ウォォォォォ!」
思い切り雄叫びを上げつつ地面を踏み締めてそのまま剣を横薙ぎに払う
俺の戦技踏み込み回転薙ぎだ
これなら痛手をやつに負わせられる
そう確信しつつ叩き込んだ
...何が起きた?
いつのまにか俺の鳩尾に爺の刀の柄が押し込まれていた
流石にたまらずうめき声を上げる
「おまえさんの敗因は二つ
一つは盾で攻撃を弾かれる可能性を考えなかったこと
もう一つは全く同じ攻撃を過去に儂にしてきたやつがおったことだな」
いつのまにか爺の左手には盾が握られており
それで俺の技をタイミングよく弾き返し、体勢を崩したところに柄を突っ込んだのだということに気づいたのはそんな言葉を聞いている最中だった
「安心しろ
流石の儂も恨みもない相手を殺すほど狂ってはいない」
そこで俺の意識は途切れた