次に俺が目を覚ました時真横に爺がノびてた時は心臓が止まるかと思った
どうやらグロリアが勝ったらしい
変なやつだと思ってはいたが存外やる時はやる奴だったみたいだ
「あ!気がついたんですねライアンさん!」
声のする方に目を向けるとこちらに走ってくるグロリアの姿が見えた
どうやら水を汲んできてくれたようだ
少しは彼女に対する評価を改めた方が良さそうだ
「ありがとうグロリア」
彼女は心底気味悪そうな顔をした
おいどういうつもりだ
「ライアンさんって人にお礼とかいえたんですね...」
やはりこいつは無礼な奴みたいだ
その後話を聞いたところ勝ちはしたがその際に爺を木に叩きつけてしまったらしい
「私の祈祷、黄金の怒りは相手を弾き飛ばしつつ攻撃する祈祷なので飛ばした方向が悪かったんですよね〜」
「結果的に勝てたんだ
俺から特に文句はない」
「そりゃそうですよ
あなた負けましたし文句なんか言わせませんよ」
コイツ...
まぁ今回に関してはグロリアの言うとおりなので黙っておく
「...でどうすんだこの爺さん
本当に仲間にするのか?」
「戦力としては問題ないのはよくわかりましたし
是非一緒に来て欲しいんですよね〜」
「とはいえ俺はやっぱり反対だ」
「何人も殺してそうだからですか?」
「そこじゃない
この爺さん俺たちが来るまでずっと自害しようとしていたみたいなんだよ」
「え?そうなんですか!」
「お前鈍いんだか、鋭いんだかわからんな...
誰と争ったわけでもなさそうなのにそこら中に血がついてただろ
それに血そのものも新しかった
明らかに爺さん本人のものだ」
「だとしたらなんでこの人死んでないんですか?」
「死ねなかったんじゃよ」
いきなり声がした
思わず剣を取り警戒体制をとる
「安心せい、もう何もせんわ」
確かに横たわったままで何もしようとはしていない
ひとまず剣を置き話を聞いてみる
「理由は知らんがな...
どうもこの地に来てから死んでも勝手に蘇るようになった」
「そんなわけないだろ
人が死ななくなるなんて」
「そう思うんなら試してみるか」
目で先ほどまで俺たちに向けられていた刀を指す
「いやいい...」
どうやら嘘をついているようには見えない
「と言うかなんで死のうとしてたんですか?」
お前はよくもまぁズケスケと...
「まぁ...話してもよかろう」
そう言うと爺は静かに語り始めた...
「儂は元々とある王国の近衛騎士じゃった...
だがある日他国から戦争を仕掛けられてな...
それ自体はよくあることじゃ...
昔から隣国からは土地を狙われておったからな...」
「だがその日は違った...
裏切り者が城内に潜んどった...
殺されたよ...儂が忠誠を誓った王も...
儂のことを爺やと呼んで慕ってくれとった姫様も...
儂とともに近衛騎士をしとった息子も...」
「何も残らんかった...
儂が外におった陽動部隊を叩いてから戻ってきた時にはな...」
そこまで語ると一度爺は黙った
涙が目に浮かんでいる
よほど無念だったらしい
「そして儂は復讐を誓った!この戦争を企てたやつも!裏切り者も!1人残らず殺し尽くすと!」
「そして儂は成し遂げた...
もうすっかり年老いてしまったがそれでも仇は打ったんじゃ...」
「儂にはもう何もない...
守りたかった存在は皆死んだ...
だからもう儂はあちらに逝きたい
皆にもう一度会いたいんじゃよ...」
そこには俺たちの対峙した戦士の姿はもうなかった
あるのはただの哀れな老人の姿であった