転生先のゲーム世界でアバズレヒロインが清楚堕ちしてる件   作:図画工作で使うトイレットペーパーの芯

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婚約者に全て教えてもらうカス

 貴族教育とは数多の複合的教育を行うことを指す。

 まあ、前世で言うところの義務教育のちょっと難しい版かつ貴族版ってところか?

 

 国語は『政書学』という名前に変わり、通常の読み書き以外に、契約書とか公文書の読み書きとか作成の手順を学ぶ学問になっている。

 

 数学は普通に算術。記憶の無い時の俺はクソ苦手だったらしいが、前世の記憶がある状態でならできるかもしれない。

 

 社会は『治政論』と『歴史』に分かれている。

 まんま政治経済と世界史だな。暗記ゲーです。

 

 英語は『外交言語学』に置き換わり、読んで字のごとく帝国と関わりのある国の言語を学びましょうの回だ。

 俺が使ってるのが日本語なのか何なのかは分からない。

 俺的には日本語のつもりだけど、実は転生特典で翻訳されてます的な可能性もあるし。

 

 理科は無い。貴族教育には含まれないらしい。

 

 

「……ところで、なんでユルルがいるんだ?」

「わたくしがいてはダメですか?」

「嬉しいけどさ」

「……こほん、以下略です」

 

 あぁ、とユルルの表情を見て納得した。

 つまりダンスのレッスン同様、完全にやる気をなくした講師に代わってユルルが教師となって教えてくれるらしい。

 俺としては嬉しいのだが、またしても菓子折り持って謝りに行かなきゃいけない人間が増えたって感想です。

 

  ……にしても完全にユルルにおんぶに抱っこ状態だな。

  呆れられるのは慣れているけど、こんなんじゃ男として意識されないのも当然というか。

 

 ……クソ……俺がイケメンスパダリ完全無欠人間だったら……!!

 

 いや無いな。そんなん俺じゃない。

 できないことが少ないと楽しみが減りそうだ。

 それに、そんな非の打ち所のない人間がユルルの好みとは限らないし。……ちょっと希望的観測は入ってるけど。

 

「まあ、実家から逃げ出す口実だとしても俺に構ってくれるのは嬉しいよ、マジで」

 

 薄々察しているユルルの実家のエグい教育の実情。

 ズレバア伯爵は俺とユルルの関係が良好であるほど都合が良いと考えるはずだ。つまりこの状況も、ユルルが実家から逃げる口実になり得るということ。

 

 と思ったのだが、ユルルはなぜか口をツンと尖らせて若干拗ねたような口調で言った。

 

「……そんなんじゃありません。お父様はすでにわたくしを育てる意味がないと見たのか、教育を強制することはありませんし」

「そうなのか! それは良かった。まだ続いてるならいずれ攫ってしまおうかなって思ってたからな。ははっ」

「攫っ……! な、何を言ってるんですか。……むぅ、嘘つけば良かった」

 

 半分冗談、半分本気というヤツだ。

 ユルルがあの家にいたくないと言うなら、ありとあらゆる人間を説得して王城に住まわせる覚悟は持っていた。

 

 勿論、ユルルを守れることは最大のメリットになるが、外聞が悪くなってしまうというデメリットも当然ある。

 昔の俺だったら外聞とか噂とかユルルを守れるなんてどうでも良いわい!! って思ってたけど、この貴族社会を生き抜くにはそういった表(・)面(・)的(・)に(・)見(・)え(・)る(・)モノに気をつけなければいけないと最近思った。

 

「じゃ、早速頼むよ。ユルル先生」

「ええ、ビシバシいきますよ」

 

 そう言ってユルルは羊皮紙に問題の書かれた紙を差し出してきた。

 

 ……教えることは急遽決まったのでは? 

 とボブは訝しんだ。

 

「……流石に四則演算レベルじゃないか」

 

 文明レベルは明らかに前世よりも劣っているが、流石に貴族教育の算術ともなれば小学生でも解ける四則演算では無かった。

 ……うーん、微妙に違うけどコレほぼ連立方程式だな?

 

「レヴィ様の苦手な数学からいきますよ。これを解い……あら、申し訳ありません。私の課題を間違って配っていましたね」

 

 どうやら俺の数学嫌い度は連立方程式すら解けないレベルらしい。というより、ユルルでさえ課題として渡されるのがコレか。

 ここで解けるぜ!! 俺は!! ってドヤるのは簡単だが、折角教えてくれるユルルの面子を潰すのは忍びないし、何よりユルルと過ごす至福の時間を減らすのは嫌だ。

 

 好感度を上げたいけど、流石に高難易度の問題解けます! って自慢げに言うのは……ちょっと……ダサい気がする。

 

 徐々にちゃんと自習してる雰囲気を出してレベルを上げてもらうのが一番良いだろうな。……勿論数学以外は今でも自習してるけどさ。兄上との約束だし。

 

「レヴィ様はこちらです。今のレヴィ様でも解ける問題を作……こほん、見つけてきたのでやってみてください」

 

 どことなく胸を張る自慢げなユルルである。

 明らかに『作ってきた』って言いかけたよな? 

 

「見(・)つ(・)け(・)て(・)く(・)る(・)の(・)大変だっただろ? ありがとな」

「……ええ、もう大変でした。算術は解ける楽しみを知るのが一番の道ですから」

 

 俺が気づいてることに気づかないフリをするユルルが、微かに口角を上げてそんなことを言った。

 やれやれ、ありがたい限りだぜまったく……と思いながら羊皮紙をチラリと見ると、そこには──

 

 ──『5+8=?』と書かれていた。

 

 

 

 いやそのレベル!?!?

 

 

 




突如としてTLに流れ始めたTSマルフ◯イに情緒を壊されてる間に旅行の予定が入ってしまったので鈍足更新中です(旅行中に書くな)。
10月6日からまた更新頑張ります。
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