「今日こそぶっ飛ばしてやるよ、
ガシャーンとオレの目の前に運ばれてきたラーメンが宙を舞い、地面に落ちる前にキャッチし、なんとか無事だった事に安堵し、料理を粗末にしようとしたバカなヤツを睨み付ける。
「おい。オレのラーメンが零れるだろうが」
割り箸を噛み、パキッと割る。
「知るか!此方はテメェに負けて笑いモンなんだよ、ボンボンがよォ!!」
「ボンボンって、お前のシャツもウチの商品だぞ。あとスニーカーはスクラッチ社と提携して作った糸逢家のデザインじゃんか」
「うるせェーっ!!」
「ん、ちょ、タンマ!」
ズルズルとラーメンの麺を啜りながら向かってきた男の拳を割り箸で受け止め、店の外にぶん投げ、邪魔にならない地面に引きずり落とす。
噛まずに麺だけを啜り込み、噛み、ゴクンと麺を飲み込み、スープと煮卵、チャーシュー、メンマを飲み干して丼をテーブルに置いて歩く。
「ったく。転校生だからって絡むなよォ…オレは心優しい青年を目指しているんだぜ?」
「ケッ。何が心優しい青年だ。岩崎月光のヤロウとツルむやつは敵だ!」
「……岩崎君、どうやらオレを巻き込んでいるのは君のようなんだが?」
「知らん。あと気色悪い呼び方すんな」
チャーシューを切る厨房の岩崎月光に話し掛けると、またツンケンとした言葉が返ってきた。
そうオレは二杯目のラーメンを受け取って、未来を視る度に猛る月光を連想する。折角、県を跨いで転校してきたってのに張り合いがないぜ。
「月光、チャーシュー分厚いぞ」
「知らん」
「無視してんじゃねえ!」
「お前も喰っていけよ。岩崎ラーメンは美味しいからよ、な?」
パンチしてきた男をオレは身体を無理やり動かし、席に座らせ、月光に「コイツにもラーメン頼むよ」と言えば「ナヨいのか図太いのか分からんヤツだな」とバカみたいに言われた。
まあ、そんなことしても気味悪いとか言われ、逃げられるわけだが、武術を嗜めば相手の身体ぐらい簡単に操れるモンなんだがなァ……。
「さてな。しかし、そろそろだぞ」
「あァ?何がだよ」
「お前の運命、変わるぞ」
「ケッ。また、それかよ。転校初日にも『お前、岩崎月光だろ』だか『御伽噺が暴れるぞ』だか変な事抜かしやがって」
「ハハ、全部事実だよ。オレは見えるからな」
「生憎と霊感は信じねえぜ」
「妖怪はいるけどな」
「ありゃあ変な着ぐるみだ」
「いい加減に認めろよ」
「イヤだね!!」
本当に強情で面倒臭いヤツだな。
「なァ、才賀」
「なんだい?お前、レーカンショーホーなんかに手出したりしねえよな?」
「アホ。そんなんしたら一手で詰むわい」