「月光!天道!任せるぞ!」
「「足引っ張んなよ!あァ!?」」
喧嘩する二人を無視し、一角の迅速を馬車の後ろに付け、迫り来るガラスの靴を飛び出してきたローブ姿の女にオレの後ろに居たシンデレラは「魔法使い!」と叫ぶ。
「あの人の傍にいる邪魔をするな!」
パンチを繰り出す彼女の攻撃を往なし、邪紅刀の思念を吸い取る力を使い、彼女の活力を吸い取って意識を落とす。
女の子を傷つけるのは趣味じゃないし、悪いことだって母さんに習ってるんだよ。あと父さんは反面教師すぎて、まったく参考にならない。
「一つだけ、言うぜ。王子様よぉ…」
「僕の魔法使いを返して貰おう!」
「
醜悪な怪物に変身したガラスの靴を見据え、バサリとオレは学生服を脱ぎ捨てて、ドレスに着替えると動きを止める王子様を見下ろす。
「ギャハハハハ!!!なんつぅー格好だ!」
「月光様、笑ってはいけませんよ!?」
「ふっ、ほほほほっ!なんて格好するのよ!」
オレの真後ろで巻き起こる笑い声にたじろぎ、足を止める王子様の身体を一角の迅速の二輪後輪が吹っ飛ばし、浮き上がった王子様へとバイクは跳ねる。
「四身一体、慈合斬り」
求心と推心の剣戟によって「お姫様を求める」という醜悪な怪物の精神その物を心斬し、元のガラスの靴の戻ったモノをキャッチし、魔法使いに近付け、ガラスの靴の中に戻って貰った。
バイクの車体はアスファルトを擦り、急停止する。シンデレラの方を向けば、月光と天道も壁に激突していた。ちょっと未来を視たら、エンゲキブの姿も見えた。
「お館様、どうする。俺なら追えるぞ!」
「……はあ、オウ!馬鹿猿共!テメェらのせいでエンゲキブは一生シンデレラの代役になるぞ!!月光、天道、あんのシンデレラを娶る代わりにエンゲキブが金髪王子様にお妃様になっても良いのか!!」
「いい訳あるかあァ!!」
「テメェ、マイスウィートをォ!?」
オレの煽りに簡単に乗った馬鹿猿共に呆れながら控えていた忍びにガラスの靴を手渡し、最速のシンデレラに追い付くために準備しようと未来を視る。
月光が、鉢かづきに食われた。
「……お姫さん、車も食えるのかよ」
「境様、御伽噺とは真に不思議ですな」
「不思議で片付けて良いのか、あれ?」
爆走する鉢かづきに対抗心を燃やす一角の迅速のハンドルを握り、エンジンを吹かす。
「加減抜きだ。突っ切れ、迅速」
「おうさ!!!」
グギィッ!と首が痛むが「癒やしの力」で治す。
待ってろよ、シンデレラ。