シンデレラは絵本の中に帰り、また帰ってきた。
「オイ。なんで天道もいやがる」
「なんでって、飯はみんなで食うだろ?」
オレの言葉にエンゲキブや鉢かづきは頷きつつ、オレの屋敷の大広間に並ぶ料理を見下ろし、ビビっている月光に賛がジュースを注ぐ。
「……メイドって初めて見たぜ」
「お坊っちゃまのくせにぃ?」
「誰がお坊っちゃまだ!?」
ギャーギャーと騒ぐ最中、賛がミニチュアサイズのお皿や箸、料理を用意していく。流石、巓のおばさんの娘だと感心しながらお茶を飲む。
ジュースは好きじゃない。
「境様、私達を呼んだ理由をお聞かせ願えますか」
「理由も何も勝ったら祝勝会するだろ。戦った奴らは飯を食う、罪も憎しみも食って笑って流してしまえって教えだ」
「要は食って騒げってことね!」
本当は、酒で洗い流すらしいけどな。
エンゲキブも納得し、賛の作ってくれた料理を食べる。暫くするとオレの耳元に顔を寄せて、賛が「お暇致します、境様」と言って帰ってしまった。
「年下すぎるだろ、あの子」
「才賀、テメェまさかロリコンってやつか」
「アイツは中等部だ。天道、アイツはオレの従姉妹で今は身分を隠してるんだよ、何かと糸色家は面倒臭い柵が多いからな」
「才賀グループの御曹司で、糸色家の当主、おまけに文武両道の天才とか漫画のキャラかよテメェ」
「アハハ!流石に無理だよ、才賀みたいに強すぎたりしたら売れないって!」
「エンゲキブの言う通りだぜ」
お前ら、ひどくね?と思いながら片目を閉じて、オレの事を観察している鉢かづきに視線を向ける。
「どうした?」
「いえ、
「私と才賀も従姉妹だったり?」
「そうなったら、月光と天道はオレの事を『お兄様』って呼ばなくちゃいけなくなるぞ。良いのか、ねちっこい昼ドラの舅並みにイビるぞ」
「返り討ちじゃいボケ」
「テメェごとき舅なんざボコり倒す」
馬鹿だな、オレより弱いくせに。
「まあ、これからは天道も関わるわけだ。生身で御伽噺の悪主人公達と喧嘩するのはキツいだろ」
「月光様には極印がありますものね」
鉢かづきも肯定する。
天道もエンゲキブのためなら生身でも怪物だろうが化物だろうが立ち向かえる男だ。そんなヤツを生身で向かわせたらマジで死ぬ。
「よし、サージェス行くか」
「なんで博物館なんだよ」
「秘密基地だ。あのガラスの靴も納めてる」
そう言うとエンゲキブ以外が止まった。
まあ、そうなるよな。