「『聞き耳ずきん』だな。動物の声が聞こえる不思議な頭巾の御伽噺だな」
「ケーサツにも知り合いかよ」
「政治家にもいるぜ」
「金持ちは違うな」
世界有数っていうか世界五指の金持ちだ。オレが稼いだ訳じゃねえし、仕事の未来もたまに視てやることはあるが、基本的に糸色家は栄える。
黄金律。
簡単に言えば金運の高さはバカみたいに高く、下手に関わると必要ないのにお金を持っている状態になることだってある。特に、糸色景の持っていた黄金律は驚異の100%だったそうだ。
そんなのに勝てるわけねえ。
「月光、鉢かづきと倒してこい」
「……お前、喧嘩売ってるな」
「月光様、あちらに!」
ドタバタと走っていく月光と鉢かづきを見送り、ハーメルンの笛を取りにやって来る御伽噺の登場人物の姿が見え、オレは絵本を見下ろす。
「本の中に帰れ」
脳天にかかと落としをめり込ませ、意識を仏陀斬ると絵本の中にハーメルンの笛吹男は戻っていく。あのまま放置していたら、何千人もの子供が連れていかれていた。
子供を泣かすヤツは許さねえ。
主人公だろうがなんだろうが、蹴るし斬る。
そうしないと子供がかわいそうだ。
「マイスウィートどこだ~~!!」
「……なぁにしてんだ。天道」
「才賀、エンゲキブがいねえんだよ!」
「エンゲキブ?エンゲキブなら、あっちで読み聞かせをしてるぞ」
「うおおおおおおおっ!!マイスウィート!!」
あいつもアイツでどうした?と首を傾げ、未来を視るとまた月光と喧嘩していた。ちなみに、アイツの革ベルトはプレシャス「伝説の鎧」だ。
仮面ライダー、オレもなりたかったぜ。
まあ、実際に変身したところで悲しみを帯びた強さをオレが振るえるとも思えんし、あいつで良かったんだろうと思うことにした。
あとでXライダーになってくれ。
それが無理なら、オレが変身するぞ。
「……にしても、アイツら何処まで行くんだよ」
「境様、邪気が満ちております!」
「あの笛吹男、まだ諦めぬか!」
「子を拐う外道めが!」
学ランを飛び出して怒る刀達の言うとおり、諦めずに本の出口を変えて出てこようとするハーメルンの笛吹男の顔面を連続で蹴り潰す。
何か話そうとしているが、オレは子供を虐めて泣かせるヤツと話すつもりはない。このまま蹴り潰して、あの世に帰ってもらう。
絵本の中だった、間違えたぜ。
「このっ蹴りすぎだぁ!!」
「そりゃあそうだな」
「「我らが斬る!!」」
清白を振り抜いて、絵本を楽しみにしている子供達の気持ちを叩きつけ、絵本に送り返した。まったく、プレシャス目的が多いぜ。