「エンバーミングに出やがる、このフランケンシュタインってよ。なーんか見たことあるんだよな」
「月光もそう思うか」
「おう。天道もか?」
「しかもこの『サガラ』ってヤツを見てると、どうにも才賀の野郎をぶん殴りたくなるぜ」
「ぶん殴りに行くか」
そのムカつく才賀君はテメェらの隣に座っているし、「エンバーミング」は現実に起こっていた史実だ。ちょっと向こうで書き直されてるらしいけどな。
───そもそも、糸色景の物語だ。
「あんたたち、何言ってるのよ。相楽って才賀のご先祖様の相楽左之助じゃないの。この前の歴史の授業で出てたでしょう?」
「……バックレた」
「そもそも学校が違うぜ、マイスウィート」
バカみたいにメロメロになっている天道を無視し、オレはエンゲキブの事を見据える。相楽左之助がオレのご先祖様だって一度も伝えていないんだがな。
どうにも怪しすぎる。
オレは、お前の名前も知らないからな。
しかし、誰も気付いていない。いや、そういう風に誘導しているんだろうが、オレに誘導は無理だと理解しているんだろう。
「天道、そろそろ期限だよな」
「待て、まだ二回しか変身してねえ」
「此方はアマゾンでもいいんだぞ!」
「うるせぇーっ!テメェらがショッカーをやっとけば良いんだよ!!仮面ライダーは俺だ!」
また、バカなことを言っている天道に近づき、ベルトを剥ぎ取ってオレは走り出す。
「Xライダーはオレだ!」
「待てや!!V3が一番つえぇ!!」
「一号だ、ボケぇ!!」
やいのやいのと奪い合っているとエンゲキブがベルトを受け止め、じーーーっとベルトを見つめる。未来でここまでは見ている。
「変身して、楽しい?」
「「「楽しい」」」
俺達の言葉に悩むエンゲキブは鉢かづきを見遣ると「ハッちゃんがこれを飲んだら、更にパワーアップするんじゃないの?」という言葉に電流が走る。
「鍛えて、パワーアップか」
「仮面ライダーが、新一号になったあれか」
「V3なら…ダブルタイフーンの強化か?」
オレ達の会話に着いていけないエンゲキブと鉢かづきは苦笑いを浮かべ、みんなで話し合っているところを楽しそうに眺めている。
「エンゲキブはどれだ?」
「あたし、仮面ライダー見たことない」
「ビデオ借りに行くぞ!」
「金がねえ」
「オレの家なら全部揃ってる」
そんなこんなでエンゲキブと鉢かづきと一寸法師に仮面ライダーを広めることになった。この世界にもヒーローはいるんだが、数が多いんだよな。
それこそ敵の数も多いんだよな。