「天の邪鬼とウリコ姫?」
「瓜子姫な?イントネーション、くそかよ」
オレの屋敷に集まって世界各地の童話を調べながら、月光の手に取った本を見る。天の邪鬼が消えていなくなっていやがるな。
ってことは、月打ちされている。
天道もジュースを飲む手を止め、オレと一緒に月光の広げる絵本を見下ろす。
「オイ。子供を襲うのか、この天の邪鬼って」
「あ?ああ、襲うな」
「この時間帯なら小学生があぶねえ!」
「どこさがすきだ!?」
「走れば見つかる!!」
馬鹿の一つ覚えでバイクに股がる天道と月光の襟首を掴み、睨んできたバカ二人に、銀色のメカニカルなサーフボードを投げ渡す。
「探すなら、空だ」
「コイツって『
「は、はん?」
流石、天道は流行りを分かっている。
「オラ、その固定具に足差し込めば落ちねえんだ。空をカッ飛ばすぜ!!」
「オウ!!」
「はんじゅうどーって何だよ!」
機械に疎い月光もサーフィンは経験したことあるらしく、ぎこちないが空を飛ぶオレと天道を追いかけ、空を移動している。
刹那、オレは飛び降りる月光を未来で視て、慌てて後ろに振り返るも神社の境内に立つ鉢かづきに迫る着物の千切れた女───瓜子姫を金棒でぶん殴った。
「……天の邪鬼じゃなかったのか」
「瓜子姫と成り代わった後に打たれたんだな。ちいっと不味いな。そろそろ本に詳しいヤツを引き込まねえと、此方も手数が足りん」
「本に詳しいヤツか」
天道の知り合いには、居ねえな。
「月光様、お疲れ様でございます」
「おう。オメェも暑いのに、よく気づいたな」
「読み手の世界の人々は靴を履きますので」
そういう見分け方もあるのかと納得し、オレは未だに電話と格闘する天道に呆れる。
「……ばけ猫の臭いか」
スンと鼻を鳴らす。
オレの事を見つめる目の数も気になっていたが、どうにも御伽噺の中にはオレに敵愾心を持っているヤツもいるようで面倒くせえな。
「才賀様、どうかしましたか?」
「なんでもないよ。強いて言うなら、雑魚が集まってもオレには勝てないぞ……だな」
「?」
不思議そうにする鉢かづきの鉢を軽く押し上げる。
「やっぱり、美人だよな。鉢かづき」
「お、お戯れを…!」
サッと顔を隠す彼女に、やっぱり可愛いなと思いながら歩いていると殺気を受ける。成る程、ひとりは鉢かづき関連って確定だな。
とりあえず、喧嘩を売るなら相手の強さを知っておいてもらわねえとな。こちとら宇宙で一番強いと自負しているんだからな。