月光とエンゲキブと鉢かづきの到着と同時に片膝を落とす仮面ライダーV3に変身した天道の肩を叩き、「あとは任せとけ」と月光が金棒を担ぐ。
ブレーメンの音楽隊に苦言を叫び、勢いを削いでいく。いや、アレは起こり得る未来の話をしているのかと納得し、月光が金棒を振りかぶったその時、「なぁおう」と猫の鳴き声と突風が吹き荒れた。
「なんだぁ!?」
「チィッ!?」
「一番上のニワトリの翼だ!プレシャスじゃねえ、おそらく御伽噺の何処かのアイテムだ!」
オレの叫びに猫が「なぉおう。風を起こすなら『西遊記』の芭蕉扇だ。だが、あんなにコンパクトな見た目はしてないぜ!」と叫んだ刹那、マントが翻る。
工藤が見え、未来の再確定だ。
未来を視て、予定を変更する。
「月光!猫!此方だ!」
地面を四角く切り裂き、邪紅と清白の二刀を突き立て、力任せに地面を引きずり上げ、アスファルトの巨大な盾を作って走り出す。
オレのやろうとしていることに気づいた月光と猫工藤はオレの後ろに構え、間合いが消えた。
「決めろ!!」
その瞬間、このままだとアスファルトに潰されると勘違いした奴らは、バラバラに逃げ、ブレーメンの音楽隊を月光と工藤が叩きのめす。
ただ、ニワトリは突風を利用して、一ぴきだけ真上に逃げ、月光と猫工藤も追えない高さに構え、また音波の衝撃波を撃とうとしている。
───だが、此方にはまだ居るんだよ。
バレーのレシーブのように拳を組み、オレに向かって走る赤い仮面の男の片足を受け止める。
「テメェでトドメだ!決めろよ、天道ォ!!」
力任せに投げ上げた天道は身体を錐揉み状に回転させ、緑色の複眼を光らせる。
「ブイスリャァーきりもみキィック!!」
ニワトリの身体に天道の飛び蹴りが命中し、翼が外れてオレのところに落ちてきた。……ルパンの紋章、ルパンのコレクションじゃねえかよ。
あとで文句を言ってやる。
ゆっくりと地面に着地した仮面ライダーV3に夜だっていうのに、大人も子供も大興奮の雄叫びを上げ、月光は月光で「俺も仮面ライダーやりてえよ」と言う。
オレだってXライダーになりてえよ。
……そういや、オヤジもベルト持ってたな。母さんに聞いたら分かるか?と考えながら、ゆっくりと猫と工藤に視線を向ける。
「工藤と長靴を履いた猫か」
「なぁおう。ずっと見てたぜ、サカイ」
「そりゃあ、どうもだ。工藤もな」
「えぇ、最後は彼に持っていかれたけれど」
「仕方ねえよ。仮面ライダーは男のロマンだ」
母さんに言えば、作ってくれるか?
でも、母さんは舞踊家なんだよな。