「月へんに神で、ツキヨミね」
文化省の秘密組織だと話す「長靴を履いた猫」のイデヤと、工藤の二人、その二人に付き従っている武装した自衛隊に頭の後ろを引っ掻く。
「才賀君、貴方も此方で動きましょう」
「工藤サン!?なんでコイツを呼ぶのさ!」
「ブレーメンの音楽隊の攻撃に対して、最適の行動を取っていたのは彼だけよ。あの時、才賀君は斬ろうと思えば動物を斬れていた」
「まあ、な」
月光と鉢かづき、天道、エンゲキブの四人を見る。オレだけが動けば四人の内、一人は大怪我を負っていた。勝つためなら仕方ないと言える。
だが、友達を見捨てるのは男じゃねえ。
「才賀、オメェの好きな方に行けよ」
「月光、ちょっと!」
「そ、それより違法執行者というのはどういうことなのですか!?前に来たときはその様な事を言われた覚えは!」
「前って70年前だろう。古いんだよ」
鉢かづきの問いに、イデヤがそう答える。
「鉢かづきは古くねえよ。しかし、政府公認の秘密組織ってことなら、此方は三つだぜ。『世界科学連邦I.N.E.T.』『サージェス財団』『糸色財閥』だ」
オレの言葉に自衛隊も動きを止める。
イデヤは知らないのか。ずっと困惑しているが、工藤はオレの挙げた名前に納得している。
「あとイデヤだっけか?」
「……なんだ」
「平賀さんにこう言っとけ。警備がザル過ぎる。お前ら、帰ろうぜ。工藤もまた明日学校でな」
「えぇ、さようなら」
ちょっと残念そうな工藤に悪いことしたなと思いながら月光に「寂しがり屋の癖にツンケンすんなよ。バカヤロウ」と拳骨を叩き込んでおく。
「未来見えるのよね。何が見える?」
「少なくともエンゲキブは幸せになるぜ。どっかの誰かさんが、そりゃあもうエグいベーゼをかまして勝利宣言してらあ」
ヘラヘラと笑って、そう言ってやる。
「俺か!?」
「「なんでだよ!?」」
「違うのか!?」
「才賀様、何方と?」
ワクワクする鉢かづきに「さあ、ねえ?」と呟きながら月光を見ると顔を真っ赤に染め上げて、走り出していってしまった。
「テメェ、月光!俺のマイスウィートを!」
「ちげえよ!!」
ドタバタと走り出していく天道に呆れながら、オレは笑っているエンゲキブを見下ろす。
「安心しろよ、宇宙最強の男も居るんだ。お前の絶望なんざ簡単にブッ壊してやるよ」
「なぁにそれ、訳知り顔め!」
「おう、訳知り顔だぜ。過去も見えるからな」
そう言うとエンゲキブの動きが止まり、困ったように笑いながら「みんなには、まだ内緒にしてね」とまた笑って誤魔化した。
「似た者夫婦め」