おにぎりが、いた。
飛んでるおにぎりを見上げつつ、コイツを倒せるのは鉢かづきだけだなと思い、学校にいるエンゲキブに電話し、月光に来てもらう。
ミサイルを撃とうとするイデヤに「人の命は一度きり。死んだら戻らねえよ」とだけ伝える。しかし、「おむすび、ころりん」のネズミに混じってるな。
「ネズミの兄さん、今日も臭いぜ」
「そう言うなって、な?」
猫のイデヤは口を開いて放心し、工藤もあまりの臭さに鼻と口を押さえて遠くに言っている。シュールストレミングの三十、いや、五十倍の悪臭だな。
ギネスに参加してお金を貰う未来も見える。
年間の更新契約を交わして、悪臭のギネスを抜ける相手がでるまでずっと悠々自適に暮らすネズミの兄さんを視るも絶対に教えるつもりはない。
だって、寂しそうな背中だからな。
「で、どうするよ」
「どうするって。ネズミの兄さんはダメだぜ」
───というより、ネズミの兄さんのおかげで近づけずにミサイルを撃つことも躊躇っている自衛隊を掻き分け、月光とエンゲキブ、鉢かづきがやって来た。
が、あまりの臭さにエンゲキブも逃亡。
月光は「聞き耳ずきん」を被って、「おむすび、ころりん」のネズミ達にやって来た。まあ、そっちも死にそうなぐらいに鼻を摘まみ、息を止めている。
「なんでテメェは平気なんだよ」
「人間、呼吸はしなくても五時間は持つ」
「さ、流石は才賀様」
「んじゃま。いただぎす!」
跳び上がっておにぎりの腕を掴み、その上を走っていく月光は鉢かづきをバカみたいにデカくしていき、バクン!とおにぎりを食べた。
「ヒューッ、やるねえ!」
カバンを開いて、梅干しの壺を取り出して、鉢かづきの口にショットする。更に食う速度が増して、ゆっくりと地面に降りる。
まだ、放心するイデヤの目は白目に変わり、ネズミの兄さんは「ケケケッ。ネコの癖に俺様の臭いで気絶しやがったぜ」と笑っている。
「蜂蜜の味がします」
「蜂蜜漬けの梅干しだからな」
美味しそうに食べ終えた鉢かづきのお腹はすぐに細くなる。消化器官どうなってんだ?と思いながら、追い付いてきた天道はネズミの兄さんを視るなり離れた。
まあ、そうなるわな。
あんだけひどい目に遇えばそうなる。
「とりあえずネズミの兄さんのおかげだな」
あとで風呂に放り込むとして、飯はどこかで出前を頼めば良いかと考える。あとは、まあ、邪魔されないことだけを考えて、次の奴らを探すか。
イデヤは使いものにならんし。
さて、どうしたもんかね。