赤ずきんの事件に関わる月光達のサポートに徹し、オレは手出ししないことに月光は「テメェ、何考えてやがる!」と胸ぐらを掴んできた。
「オレは赤ずきんは斬れねえよ。生憎、今回の事件には付き添えない、やむを得ない事情ってのがあるんだ。イデヤと工藤達とうまくやれよ、月光」
「ウソじゃねえな」
「ウソは言わない主義だ」
そう言うと月光はオレの胸ぐらを掴んでいた手を止め、雷砲を防ぐ武器を探している。あるには、ある。だが、月光に使いこなせない武器だ。
いや、防具はある。
オレの技に耐えるために作り直していた防具。しかし、アレは月の王様につもりだっんだが、仕方ねえかと月光に投げ渡す。
「テメェの熱い魂で叫んでみろ。応える」
「……サンキュ、借りとくぜ」
「ゲッちゃんがお礼を!?」
エンゲキブの驚く声を聞きつつ、オレはワシャワシャと自分の頭をかき回すように手で髪の毛を動かし、見える結末を一つに絞り込んでいく。
最悪の未来は避けている。
が、油断は出来ない。強すぎるし、賢すぎるし、オレは何でも出来るゆえに苦悩するぜ。とは言え、無駄すぎる事は出来ない。
オレに出きることをやるだけだ。
相楽左之助。
オレのじいちゃんは拳だけで、あの月の王様を殴り倒していやがる。じいちゃんに出来て、オレに出来ないわけがねえ。それに神様だろうが悪魔だろうがぶん殴るじゅんびはとっくに出来ている。
「悠久山和尚の求道の拳だ。じいちゃんは、何を拳に乗せて戦っていた?意地か?」
神前に注ぐ無窮を打つ正拳。
救世を望む餓鬼を滅し、打つ正拳。
左と右の拳に宿った破壊の極意。
コイツを抜けるのは、月の王様だけだ。カズキにも教えたことはあるが、どうも鍛練よりサッカーや野球の方が好きな普通の男の子なんだよな。
あれが、月に堕ちる。
そんな未来は許さねえし、向かわせねえ。
「しかし、なぁんであんな変態と賛は付き合うのかね。いや、ありゃあ仲良しなのは分かっているが。次郎よ、そりゃあ悪手だろうに」
未来の出来事に溜め息を吐いて、過去で起こった壮絶な大会に参加してみたい気持ちもある。蛮竜、本家本元の正統糸色家に伝わる武具を思う。
お前を使う度量はあるさ。
だが、オレのプライドを預けている武器はもう手の内に収まっている。折れず、曲がらず、絶対にオレの信念を届けさせる強い二刀だ。
「境様、如何なされました」
「独り言だよ、友達が頑張るからな」
せめて、応援はしてやる。
オオカミに呑まれたら、赤ずきんを助けろよ。