今回は四話です
ごめんね
向こうも無事に終わったわけだ。
「敢闘賞をあげるわ。禁断の書」
「要らねえよ。破滅するだろ」
「あら、ざんねん」
消えるママ役に溜め息を吐く。
オレを追い詰めたのは妙のばあちゃんだけだったんだが、流石に秘めたポテンシャルは未知数だ。なにより、女の子を殴る趣味はない。
無駄に攻撃してきた奴らに溜め息をこぼしながら、落ちてきた赤ずきんを受け止める。あの女の仕業か?と思いながら、笑顔の赤ずきん。
「よう。幸せそうだな」
「……あ、あたしの出てきた絵本のひとだ」
その言葉に、そういう覚えられ方かと苦笑いが出てしまうが、まあ、こういうこともあるさと納得する。消えそうな赤ずきんに『癒やしの力』を使い、消えることがないようにオレは抱き上げる。
「ちょっくら、話していくか?」
「ううん、絵本に帰るよ。おにいさんも最初から分かってて、手を広げていたでしょう?」
「そりゃあな。赤ずきんは妹に読み聞かせていたから、こうして会えたのはすごく嬉しいが、今度は月に打たれていないお前と会っときたいな」
そう言いながら絵本に戻っていく赤ずきん。
「あ、なんか見えた」
「ん?」
赤ずきんが振り返ると、中指を突き立てた。
「トショイインに迷惑かけちゃダメよ!だむですとろぉい」
「オレも言われるのかよ。それ」
クソヤロウ、か。
オレなんかと付き合う方がおかしいだろ。億通りの未来を視て、そいつの考えも幸せもやりたいことも、やれることも何でも出来る。
退屈でつまらない。
そんなのに巻き込めるかよ。
「こんなとこで見てたのかよ」
「月光、使わなかったんだな」
「そもそも使い方がわからん」
「……まあ、そういうやつだよな。けど、あの土下座は一番覚悟を感じたぜ」
オレには出来ないよ。
オレの背負った看板は、そう簡単に諦めることを許さない。すべての頂点に立つことが決まった人間は、やる気も削がれる?
いいや、違うね。
ソイツらは覚悟が足りないだけだ。
こちとら五百年の歴史で最強だ。
伊達や酔狂で名乗れるかよ、自負だぜ。
「で、どうするよ」
「なにがだ?」
「向こうは完全にお前を引き込むつもりだぜ。お前、そういうの大嫌いだろう」
「大嫌いじゃねえよ、超嫌いだ」
ゆっくりと絵本を閉じて、月光に赤ずきんの絵本を差し出すと「あ?……あいつのか」と悩ましげに絵本を受け取って読み始める。
お前のためになるのかは、分からないけど。
「気を付けろよ。だむですとろい」
「テメェがな、だむですとろい」
ゲラゲラと笑って、拳を合わせる。