あり得ざる御伽噺は夢か幻の絶境   作:SUN'S

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一話、遅れました

今回は四話です

ごめんね


赤ずきん 急

向こうも無事に終わったわけだ。

 

「敢闘賞をあげるわ。禁断の書」

 

「要らねえよ。破滅するだろ」

 

「あら、ざんねん」

 

消えるママ役に溜め息を吐く。

 

オレを追い詰めたのは妙のばあちゃんだけだったんだが、流石に秘めたポテンシャルは未知数だ。なにより、女の子を殴る趣味はない。

 

無駄に攻撃してきた奴らに溜め息をこぼしながら、落ちてきた赤ずきんを受け止める。あの女の仕業か?と思いながら、笑顔の赤ずきん。 

 

「よう。幸せそうだな」

 

「……あ、あたしの出てきた絵本のひとだ」

 

その言葉に、そういう覚えられ方かと苦笑いが出てしまうが、まあ、こういうこともあるさと納得する。消えそうな赤ずきんに『癒やしの力』を使い、消えることがないようにオレは抱き上げる。

 

「ちょっくら、話していくか?」

 

「ううん、絵本に帰るよ。おにいさんも最初から分かってて、手を広げていたでしょう?」

 

「そりゃあな。赤ずきんは妹に読み聞かせていたから、こうして会えたのはすごく嬉しいが、今度は月に打たれていないお前と会っときたいな」

 

そう言いながら絵本に戻っていく赤ずきん。

 

「あ、なんか見えた」

 

「ん?」

 

赤ずきんが振り返ると、中指を突き立てた。

 

「トショイインに迷惑かけちゃダメよ!だむですとろぉい」

 

「オレも言われるのかよ。それ」

 

クソヤロウ、か。

 

オレなんかと付き合う方がおかしいだろ。億通りの未来を視て、そいつの考えも幸せもやりたいことも、やれることも何でも出来る。

 

退屈でつまらない。

 

そんなのに巻き込めるかよ。

 

「こんなとこで見てたのかよ」

 

「月光、使わなかったんだな」

 

「そもそも使い方がわからん」

 

「……まあ、そういうやつだよな。けど、あの土下座は一番覚悟を感じたぜ」

 

オレには出来ないよ。

 

オレの背負った看板は、そう簡単に諦めることを許さない。すべての頂点に立つことが決まった人間は、やる気も削がれる?

 

いいや、違うね。

 

ソイツらは覚悟が足りないだけだ。

 

こちとら五百年の歴史で最強だ。

 

伊達や酔狂で名乗れるかよ、自負だぜ。

 

「で、どうするよ」

 

「なにがだ?」

 

「向こうは完全にお前を引き込むつもりだぜ。お前、そういうの大嫌いだろう」

 

「大嫌いじゃねえよ、超嫌いだ」

 

ゆっくりと絵本を閉じて、月光に赤ずきんの絵本を差し出すと「あ?……あいつのか」と悩ましげに絵本を受け取って読み始める。

 

お前のためになるのかは、分からないけど。

 

「気を付けろよ。だむですとろい」

 

「テメェがな、だむですとろい」

 

ゲラゲラと笑って、拳を合わせる。

 

 

 

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