「エンゲキブさん、あれなに?」
「バカな男子」
「ライダーキックッ!!」
天道のV3ライダーキックで倒れなかった「ジャックと豆の木」の巨人に今度は金棒になった鉢かづきを担いだ仮面ライダーアマゾンが飛びかかり、巨人の脳天を叩きつぶしながら、倒していく。
オレも加わりたい。
が、イデヤが金の卵を腹の中に大量に呑まされ、グロッキーになっているせいで動けない。動いたら工藤とエンゲキブが潰される未来が見えた。
オレも仮面ライダーになりてえよ。
「絵本の剣士って、大変だな」
「うぅ、産まれるぅ」
「イデヤ、猫は卵は産まないわよ」
「工藤サァン…」
なぁおう、なぁおう、とイデヤが鳴く。
スマートさは消えて、ドタバタとコメディーに呑み込まれてきたな。エンゲキブのママ役の持っていたあの筆の影響なのは間違いない。
「工藤、こっちに来てくれ」
「? えぇ、こうかしら?」
オレの呼び掛けに答えて近付いてきてくれた工藤を抱き寄せ、さっきまで工藤のいた場所に巨人のこん棒が落下し、唖然とする工藤とエンゲキブに笑う。
そういうこともよくある。
「未来が見えるって、本当なのね。私の気持ちを分かっているのに素っ気ないのはそういうこと?」
「いや、巻き込みたくないのが理由だ。少なくともオレの役目が終わったら、答えようとは思っているけど。オレより良い男は多いぜ?」
そう話しながら飛んできた瓦礫を切り裂き、バカみたいに暴れまわる月光と天道に「さっさと終わらせろ!」と言えば振り返ってサムズアップしやがった。
腹立つな、ちくしょうが。
あー、羨ましかねえよ。
「「月光条例執行だ…!」」
「うぅ、産まれるぅ」
ライダーパンチと金棒の一撃が「ジャックと豆の木」の巨人を殴り倒して、絵本の中に戻すことに成功し、破裂しそうに膨らんでいたイデヤの腹も直った。
「危うく爆発するところだったな」
「それは未来で?」
「三秒後に爆発してたよ」
オレの言葉に真っ青になるイデヤと、爆発するイデヤを思い浮かべる月光達の頭の中が手に取るように分かり、バカだなと笑う。
しかし、あの筆ってなんなんだ?と悩む。
プレシャス。
いや、ルパンのコレクションの可能性もあるし。マジで色々と候補が多すぎるぜ。けど、少なくともオレの見える未来は確実に集まってきている。
やる気だけで着いてこれないのもいるが、オレの記憶で見えたモモヤロウに勝つのは大変そうだ。まあ、勝つのは俺だけどな。
負けるわけがないんだよ。
日本一程度にな。
こちとら、宇宙最強だぞ。