水着のエンゲキブに鼻の下を伸ばしまくる天道を無視し、オレは月光と一寸法師と一緒に海の家で売っていたかき氷の山を食っていると、鉢かづきが鼻の下を伸ばしまくった桃太郎と一緒に来るのが見え、どうしたのかた未来を更に深く視る。
フジキさんも巻き込んで、本当にバカだな。
ってか、まだフジキさんと話してないな。
「(チルチルに戻るのは避けられないのか)」
イヤな気持ちになりながら、オレは更に先の未来を視て、イヤな気分になる。こんなことになるのか。オレの見た未来を書き換えて、何をする気だ。
「どうかしたのか?」
「いや、お前の事だから面倒臭いからって隠しそうな顔をしてたからよ」
月光の指摘に「そうか?」と返しながらブルーハワイ色に変色した一寸法師の前の皿に焼きそばとイカの姿焼きを差し出す。
「うおおおぉぉっ!!」
一寸法師のイカ退治を見ていると、天道がエンゲキブの浮き輪を担いで戻ってくるのが見えた。鉢かづきの話が進み、アラビアンナイトの絵本に乗り込むことになったその時、オレだけが弾かれた。
「……どういうつもりだ、おい」
「悪いわね。私の役目でもあるのよ」
ゆっくりとアラビアンナイトの絵本を手に取ったママ役を睨み付ける。分厚い本をベルトで縛り、腰元に添えた姿に違和感を感じる。
「……まさか、禁書を奪ってきたのか?」
「いえ、違うわよ。この空白の書は糸色景の能力でなければ繋げる事は出来ないわ。身体の乗っ取りも意外と便利に思えるときもあるのね」
そう言うとオレの間合いに踏み入ってきたママ役の身体が押し当てられ、慌てて飛び退き、火照るように熱くなってきた顔を片手で覆う。
「フフ、相変わらず。貴方はこの加尾に弱いわね。曖昧に、未来も過去も見ていた貴方が正常で要られたのも、この糸色景のおかげでしょう」
トントンと自分の胸元を突く彼女の動きに意識が乱れ、未来を見据える目が別のものを移す。月光、チルチルに戻りきる前に止めねえと…!
「……さて、と。貴方の目的は、このアラビアンナイトに入ることでしょうが、残念ながら貴方は入ることは出来ないわよ」
「理由は?」
「チルチルに目覚めなくてはいけない。あの子もそうしなければ救われない。運命の歯車に、大きな石を投げ込んだところで砕けてしまう」
その言葉に未来がまた変わる。
ママ役と話すたび、オレの未来は変わる。
こういうことしてくるのは、本当に糸色景の身体を使っているからだと理解できる。
マジでムカついてきたぜ。