「貴方の強さは、何処に向くの?」
「オレの強さは、前だけだ。後ろを守るヤツもいるが、オレの強さは前だけを切り裂く」
「そう。なら、相手してあげる」
また、スカートなのに蹴りを出してきたママ役の攻撃を受け、ヒールの爪先が額を掠める。強いというよりマジでオレの動きを視ている。
やっぱり、コイツも未来を視ているのだろう。
上段蹴り、中段蹴り、下段蹴り、三連続の蹴りを躱して、攻めるも顔を殴れず、腹も殴れず、極め技に徹して、地面に叩き伏せるも不規則な角度から、脳天に膝蹴りが叩き込まれ、オレは膝を落とす。
「……チッ。マジで蹴ってきやがるのか」
「当たり前でしょう。貴方の事を見極め、この身体の行く末を確信できる事がなければ無意味です。それとも逃げますか?」
「こちとら宇宙最強だぜ、ママ役さんよ」
「貴方の最強は宇宙だけでしょう。この身体に入っているのは魔王やコアには届かないわ」
「届く。オレは最強だ」
「そのエゴは何処まで続くのかしら」
「100万年後もオレを越えるヤツは居ねえよ」
「未来を視たのね」
「視た上で、オレは立っている」
ゆっくりとママ役の額に手のひらを添えて、打つ。
ひんやりとした生き血は通っているのに、どこか現し世にいる人間の存在感は無く、むしろすけているようにも思える薄さだった。
「うん、合格。ちゃんと狙えたわね」
「うるせぇよ、効いてないだろ」
「効いているわよ。この身体には、ね」
そう言うとアラビアンナイトの本を投げ渡してきたママ役の事を睨み、どこまでもオレの事を煽ってくる相手に溜め息を吐き、絵本の中に飛び込む。
「上空かよ、くそが」
ゴウゴウと落下する最中、天道と一寸法師が見える。
「オレの友達に、何しやがるッ!!」
空飛ぶ絨毯に乗る三人組の脳天にかかと落としとゲンコツを叩き込み、落ちてきた奴らを天道と一寸法師と一緒にボコボコに殴り倒す。
「身ぐるみ剥いどけ」
「おう!」
「食らえ!」
「さて、と。ベルトもあるぜ」
「V3か!?」
「いや、普通にスカイライダーだ」
そう話しながら天道と一寸法師と一緒にアラビアンナイトの中に捕まっている「はだかの王様」を助けるために、歩いていく。
「(月光、お前が罪に問われるのは間違いだぜ)」
「苦虫を噛み潰したような顔だな」
「イモムシなんざ食うかよ」
そう話しながら、オレは高い塔に立つ月光にそっくりな女を見上げる。チルチル、お前の運命も全部オレが変えてやるから覚悟しておけ。
御伽噺で最強だろうが、勝つのはオレだ。