チルチルと決着をつけるところに間に合い、服の裂けたチルチル───ミチルに服を被せて、月光とミチル、何処からかやって来た青い鳥を見渡す。
「とりあえず、オレが何とかしてやる」
「才賀、何する気だ」
「コイツを使う」
「メダル?」
「ヴリルだ。コイツは見たものの身体も体重も真似る。偽書、つまりは『青い鳥』の偽物の主人公を作ろうってコトだ。お前らに嘘を言わせる、すまない」
そう言ってオレは頭を下げる。
「………お前、良いのか?」
「ウソはつかない。ヴリルもそれを分かってくれているし、月光もミチルも青い鳥も、オレの我が儘に付き合わせて悪いな」
ゆっくりとヴリルの目を月光に向け、ヴリル月光も「人を守るためなら手伝う」と言ってくれる。流石は月光の完全模倣したヴリル月光だ。
当の月光───チルチルは「そう言うんじゃねえだろ」と不満そうに言うもオレは月光を見返す。
「月光、オレは未来でお前が、最悪の選択をしてここで死刑になるのを見てるんだよ。絶対に、オレはお前もミチルも青い鳥も見捨てねえ…!」
「…チッ。わかったよ、ヴリルとか言ったな」
「ああ」
「……頼む」
「わかった。人のためになる」
ヴリル月光も頷いてくれた。
「んじゃま、始めるか!」
オレの言葉に応えるようにヴリル月光と月光も飛び上がり、三人で殴り合う姿を見せる。オレもヴリル月光も月光も、みんなか本気だ。
「イトシキぃぃぃぃ!!」
「グッ、ヴリルでこの威力か!?なら、コイツでどうだ!!」
「アブラカタブラァッ!!」
オレの振り抜いた拳が砂岩に包まれ、地面に落ちていく。右足で砂岩を蹴り砕き、頭上を飛び交う月光とヴリル月光の二人に割り込み、蹴りを見舞う。
未来を視る。
はだかの王様をはじめとした長老達、天道やイデヤ、工藤にフジキさんも集まって来ている。シンデレラと赤ずきん、桃太郎、鉢かづきも塔の真下に集まり、俺達のやり合いを見合っている。
「死ねえェェッ!!!」
「決めろ!月光ォ!!」
「コイツでくたばんなァ!!」
ドリルに変化した腕をオレが掴み、月光ががら空きのヴリル月光の顔面へと極印を纏わせた右拳を叩き込み、月光条例を執行し、ヴリル月光は消えてメダルに戻った。
違和感に気付くか?と未来を視る。
「あのチルチルの正体は帽子だった!」
「オイ。ウソじゃねえのか、それ」
「月打されたのは帽子だったのはお前も理解しているだろう?なら、それはウソでもホントでもない、曖昧な中間のままだぜ」
まあ、オレはウソを吐いたのかと言われると怪しいところだが、信念や信条よりもオレは大事な友達の未来の笑顔を守る方が幸せだ。