剣劇の火花が舞う。
戯れに剣を振るうオオイミの攻撃の合間合間に飛び交う必殺技の数々にオレはある種の尊敬を抱く。腐らず、ここまで民を守ってきたのは尊敬できる。
「宝剣マギツキに迫るとは名刀だな」
「おうさ。オレの愛刀達だぜ!」
宝剣マギツキの放つ思念を吸い取る邪紅刀の刀身は重さを増し、清白刀はオレの思念をオオイミに向かって叩き付け、更にお互いの額をぶつけ合う。
もっとだ、もっとやり合おうぜ!
「オラァ!」
「フンッ!」
オオイミの振りかぶった宝剣マギツキに切り返し、血反吐を吐いてオレもオオイミも地面を削り、一度も膝を折らず、お互いにお互いを切り裂く。
ボタボタと滴る血潮に笑みが深まる。
限界の限界まで、行ける。
そう思っていたのに、糸色景の身体を乗っ取ったママ役がオレとオオイミの剣を蹴り上げ、最高の戦いに割り込んできやがった。
「トヨウケビメッ、貴様!?」
「アンタ、どういうつもりだ」
「エンゲキブ……カグヤの頼みよ。止まりなさい」
その言葉にガラスを見る。
エンゲキブだけじゃない。
月光も天道も鉢かづき、イデヤ、工藤、フジキさん、桃太郎や一寸法、シンデレラ、赤ずきん、他の絵本の奴らまで一緒に見ているのが見えた。
「……はあ、終いだな。ヒーローが顔を見られるのは不味いだろう。オオイミ、次にやる時は最初から全力全開、クライマックスで勝負しようぜ」
「仕方あるまい。余が猶予を与えよう」
現世に戻るなり月に帰っていくオオイミを見上げ、どうしたものかとオレの事を見つめるエンゲキブ達に詰め寄られ、病院云々が出てきた。
「いや、悪いけどよ。怪我は治した」
「お前、俺より滅茶苦茶だな」
「そりゃあそうだろ。宇宙最強だぜ?」
月光の言葉にいつものように返し、オレを見据える糸色景の身体を乗っ取ったママ役───ハチツルギの一人、トヨウケビメを見遣る。
「で、アンタはどうする」
「ママ……」
「フフ、心配しなくても良いわよ。境くんが返してくれたハゴロモがあるわ。なにより私を抜いたナナツルギの事もちゃんとお伝えするつもりよ」
「そうしてくれ。流石にオレもアンタが加わった未来を視るのは疲れる。あとオレのばあちゃんの身体、いい加減に返してくれるよな」
「「「ばあちゃん!?」」」
オレの言葉に、月光と天道と工藤がトヨウケビメを見つめて、本当にばあちゃんなのかと観察している。実際、こんなの見なきゃ分からない。
事実、オレは血筋的に感じ取った。
糸色家はそういうのが多いんだよ。