「……本当に宇宙最強なのかよ」
「ん?」
ズルズルとラーメンを啜っているオレにそんなことを聞いてくる月光の視線は怪しんでいるようにも見えるが、そういうときもあるだろう。
ゴクンとラーメンを飲み込み、月光を見る。
「マジで宇宙最強だぜ。ちなみにオレの死因は老衰な?いやー、170歳まで生きるのが確定してると退屈だったけど。お前らと出会えたのはマジで幸運だ」
億万通りのルートの中、一つだけだ。
他の世界のオレもこのルートを選んでいるんだろうけど。オレって暇になったら世界征服しているし、宇宙帝国ザンギャックを乗っ取っていたりもする。
向こうの世界だとマジで大変だな。
「お前が宇宙最強とか信じられん」
「最強のチルチルさまもビビったか?」
「あ?」
「お?」
ゴンと額をぶつけてにらみ合い、笑う。
少なくともオレはお前に救われた。ガキの頃に錬金術師に薬で連れてかれそうになったとき、イデヤに助けて貰ったのもあるが、宇宙最強のオレも一人じゃ何も出来ないことだってあるんだ。
オレに突っ掛かってきた月光がオヤジさんに止められ、何とも言えない表情になるが、それはそれで良いことだとオレは思うぜ?
「すみません。入っても大丈夫でしょうか」
カランと下駄の音に背筋が伸びる。
慌てて、ラーメン屋の出入り口を見る。
「か、母さん?!」
未来を視るが出てこない。
あんの女。
トヨウケビメがよ。
オレの視る未来にまた割り込んできたのかと苛立ちながらもオレを見据える白磁の肌に、軽く丸に結った髪から見える首筋、青い目にオレは何も言えなくなる。
「境さん、お久しぶりです」
「お、お久しぶりです。母さん」
ダラダラと流れる汗を拭い、まさかラーメン屋にやってくるとは思わず、地面に正座するオレに月光は「宇宙最強が負けた」とか言っている。
くっ、あとでぶん殴ってやる。
「境さん、貴方が家を飛び出して二年が過ぎました。お母さんは手紙も電話もしてくれなくて、英良さんに頼んだのに全く帰ってきてくれませんでしたね」
「う、うっす」
「私と息も夏休みになれば貴方に会えると待っていたのに、気づいたら夏休みは終わっていました。なのに、貴方は帰って来なかったわけですが」
「………………や、やむを得ぬ事情があったんで」
「言い訳は聞きましょう。しかさ、英良さんにクソオヤジと言ったのは許しません。確かに英良さんは飄々としていますが、子供を第一に考えてくれています」
「うっす」
「いえ、こういう事を言うために来たわけじゃありませんでしたね。先ず、元気に過ごせているようでお母さんはとても安心しています」
「うっす」