オレのアレコレを隠さずに話す母さんに何とも言えない気持ちになりながら、トヨウケビメに「けど。このままだと貴方は負けるわ」と言われた。
「……オレが負ける?」
「えぇ、耐久力で負けるわ。貴方は気付いていなかったみたいだけど、オオイミ王はダメージを半減する甲冑を身に付けていた」
その言葉に思わず、溜め息を吐く。
「アンタ、剣士の割に何も気付いてねえのか?オオイミはオレと戦うときに甲冑を脱ぎ捨ててたよ。正真正銘、お互いをぶつけ合っていたんだ」
あの身体の奥底が煮えたぎる。
オオイミもこの感覚を味わった。もうエンゲキブも月の王国の存亡も関係ない。オレとアイツにあるのは、どっちが強いのかを決める意思だけだ。
強すぎて孤独だったろう。
安心しろよ、オレが倒してやる。
お前もオレより下だって、自分より強いヤツはいないという寂しさを消してやる。この銀河系で一番強いのは、糸色境だって覚えておけばいい。
しかし、アイツも同じことを考えている。
最強の証明はオレの存在価値でもある。
「……正直、嘗めていたわ」
「なにがだ?」
「私と戦うときも本気じゃなかった。多分、この先の未来でも貴方が本気になれるのは、オオイミ王と戦える次の満月だけ。────糸色境という人間はこの世で一番強いと証明する機会はその時しかない」
「そうだな。だが、他の奴らもいる。オレのために何かしようとしているバカが何人もいる。ソイツらを助けるために、ちょっくら過去に行くさ」
「そう。蛮竜の継承の儀を使うよね」
「糸色家も一つに還るときだ」
「境さん、怪我はしてはいけませんよ?」
「問題ねえよ。母さん、歴代を越えるだけだ」
そう言うと母さんとトヨウケビメは呆れたように溜め息を吐いて、オレを見据えてきた。どっちも言いたくないが、失礼だと思うぜ。
「けど、そのオオイミっていう人に勝つにはそこまでしないと境さんはダメだと思っているということは分かりました。お母さんは応援します」
「ありがとう、母さん」
長野の糸色本家に向かうために準備する。
今年のアレもまだしていない。
「糸色境、私は貴方に詫びるつもりはないけれど。もしもオオイミ王に勝てるとしたらあなたしかいないというのは理解したわ」
「おう。期待しとけよ、トヨウケビメ。お前も見たことない人間の行き着く先を見せてやる。オレだけが、宇宙最強だってオオイミに教えて、ザンギャックだろうがなんだろうがブッ倒してやるよ」
そう言ってオレは拳を突き上げる。