サカサと生活を始めて、幾つか分かったのは憑依する相手は妖怪や悪魔ではなく、幽霊だそうだ。サカサ自身はその行為を「憑依合体」と呼称している。
サカサは憑依した幽霊の技術を取り込み、一時的に使用できるという。しとりばあちゃんの見稽古の変質して隔世遺伝したものなのだろう。
「境くん、美味しい?」
「カレールーを使わずに、なぜだ?」
「今の憑依幽霊は料理好きだった近所のお婆ちゃん幽霊でね。カレーはルーを使うよりスパイスを調合して作る方が楽しいんだって」
「そこは美味しいじゃないのか」
「味は二の次さね。坊やはサカサちゃんの親戚なんだろうけんど。あたしゃまだ信用しとらんよ、男はサルだからね。油断したら、もおっ!!やめてよ!」
「オレは好きな子居るし。あとサカサとオレは親戚だが、かなり血縁的には遠いぞ。七か六世代は前の姉妹から分かれて出来た二つ目の家系だし」
そう言ってオレはスプーンを置いて、しっかりとサカサの事を見据える。オレよりサカサが心配しねえといけないのは田沼と夏目の二人だろう。
あからさまに恋慕を向けていたぞ。
アレだ。
ハーレムってやつだろう。
「さて、と。
「最初のやつか」
跳ねて回し蹴りを放つサカサを目を閉じて対応する。ありがとう、しとりばあちゃん!心眼を使えば煩悩に負けることはないぜ!!
ん、さっちゃんはおませさん
「(過去から直で話し掛けてきただと!?)」
ん、極めるとはこういうこと
「(しとりばあちゃん、すげえわ)」
なんで、こんだけスゴいのに右手が使えなくなる攻撃を受けたんだ?と悩みつつ、スカートなのに蹴りを連発するサカサにオレは溜め息を吐く。
スカート以外、持っていないのか。
せめて体操服とかあるだろ。
「余裕こいてんじゃねえぜ!」
「いや、余裕じゃなくてスカートがな」
「あ?お、おわああああっ!?見んな、ばか!」
……スカートを抑えて怒るサカサに憑依したヤツは、どうやら女の子だったらしく、溜め息を吐く。憑依合体の条件は、同性であること。
そして、強さは上昇する。
「おい。サカサ、アレ使うぞ」
「(あれ?)」
「うるせぇ!行くぜ、武装だ!」
リボンをほどき、光る。
サッと目を逸らす。
だから、な?
サッカー部がよく着けるレガースにも似た具足を身に付け、サカサの両足に炎が走る。
「
「燃える蹴りか?」
「焼き焦げろ!スカート覗き野郎!」
そう言ってまたサカサが右上段蹴り、地面を跳ねて左後ろ回し蹴り、身体を上下に反転させ、両手で地面を叩き、身体を押し上げ、真上に向かってドロップキックを蹴り出してきた。
すげえ身体能力だな。