オレの事を話した翌日もかわらず。
「うん、美味いな。やっぱり」
「そうか!」
ズルズルとラーメンを啜るオレの言葉に月光のオヤジさんは嬉しそうに笑い、頼んでいた替え玉をオレの丼に入れてくれ、味玉とメンマも加える。
「毎日食いに来て、太るぞ」
「オレは脳の処理にカロリー消費するんだよ。それより月光よ、学校はどうした?」
「サボった。才賀もだろ」
「オレは書道の展示会に参加してただけだ。あんな堅苦しいのは苦手なんだよなあ」
モグモグとチャーシューを頬張り、ラーメンのスープを飲み干そうと丼を掴むと同時に飛び込んできたパンチを受け止め、最後の一滴までしっかりと飲み干す。
「御馳走様、今日も美味かったです」
「また、来いよ。あと喧嘩は程々にな」
「はいはーい」
オヤジさんの忠告を聴きつつ、オレと仲良く手を繋ぐ月光に笑みを向ける。
「いきなり、どういうつもりだよ」
「お前に変な気配を感じる」
「某の事か?」
「なんでボーシがいるんだよ!?です、ですなんちゃらがどーたらって言ってなかったか!?」
「打出の小槌だよ。アレを使えば暫く此方に滞在していても大丈夫なんだろう、一寸法師」
「その通りだ!分かったか、月光!」
ドドン!と韻を踏み、歌舞伎の様に構える一寸法師に「コイツの何処に憧れるんだよ」と言われて「強さを求める生き様」と応えたら、微妙そうな顔で月光はオレの事を見てきた。
「しかし、鉢かづきは何処に居るのだ?」
「鉢かづきなら23秒後にその路地を曲がってエンゲキブと一緒にやって来るんじゃないか?ちなみにバイト志望だから手助けしてやれよな」
そう言うと「マジかよ、未来見えすぎだろ」とドン引きする顔も見るのは二度目だ。本当、見るときとタイミングを間違えると死にそうになるさ。
偉そうでムカつく顔だと言われたことあるけど。月光はウソを言わないからオレは信頼している。まあ、そんなことを言ったらドン引きする顔が見えるがな。
「月光様!」
「マジで23秒で来やがった」
「才賀よ、悪さはせんのか?」
「しないな。オレは良い子だからな」
そもそも、そんなことしたら母さんと妹に嫌われるだろう。オヤジ?オヤジはヤクザみたいな殺し屋だから、そんなもんは気にしない。
オヤジに関しては巓の姉さんも理解してくれているとは思うけど、カズキにちょーっと不満を抱いているようにも見えるんだよな。
なまじ強すぎる苦悩は分かる立場だし。
まあ、オレは普通に強い。
巓の姉さんも普通に強い。
それだけだ。人と何も変わらない。