サカサのお兄ちゃんの登場で更に気付いた。
蛮竜の継承者は、コイツだ。
最初に出会ったとき、糸色景や切の姉ちゃん、母さんに似た顔立ちで普通に危なかった。いや、100%で間違えたオレが悪いのは分かっている。
しかし、サカサの登場の仕方も間違える要素だろ!?と蛮竜に文句を言いつつ、サカサのお兄ちゃんの蹴りを受け、校舎の屋上から落ちそうになる。
「あぶねえな!?」
「こんなのでお兄ちゃんは死なん!」
「前に沖縄であった
がむしゃらに見えるが、正確にオレの急所に人差し指をねじ込もうとしやがるサカサのお兄ちゃんに舌打ちし、お兄ちゃんで百年以上も空手の正拳を繰り返すバカでクソカッケェ妖怪を思い出す。
「ヌン!!」
「指の破壊力じゃねえなッ」
コンクリートを貫く指先の破壊力。殴って砕いた訳じゃねえ。人差し指だけで二重の極みを撃っていやがる。突き刺して、関節を連ねて三重の衝撃を重ねる。
相楽左之助の編み出した三重の極みだ。
しかも自己流にアレンジしていやがる。
「ヌン!!」
「……なんで手刀で飯綱使えんだよ」
「お兄ちゃんだからだ!」
「(一種の自己暗示か?妹を守るために強くなる。まあ、そういう類いは、心をへし折るしかない)」
ゴキンと拳を鳴らし、殴りに向かうも赤く染まった目を向け、オレとサカサのお兄ちゃんに蹴り込んできた火気のサカサを睨む。
「俺も混ぜろや!」
「「お兄ちゃん対決だ!妹はあっち!」」
「.........サカサ、やっぱバカじゃねえの?」
オレはイブキのお兄ちゃんだぞ!
ちょんとお兄ちゃんとしての意地もある。コイツに勝てば最強のお兄ちゃんだ。イブキ、あんまし会えないけど。お兄ちゃんは元気だぞ。
オヤジをボコボコにしてくれ。
「お兄ちゃん、ステイ!」
「はいっ!!」
「お兄ちゃん、壁に潜んでたよね」
「はい!」
「ボクがあそこにいるの多いの知ってるよね」
「はい!」
「......じゃあ、お風呂上がりのボクは?」
「いつもあそこで着替えてます!」
「お兄ちゃんなんて、だいっきらい!!」
「ゔッ」
ん、今のはその子が悪いね
「(しとりばあちゃん、オレの視界から未来の情報を得るのはやめてくれないか?)」
流石に目を閉じてることが増えて疲れる。
しかし、サカサのお兄ちゃんがこんなのでオレの継承の儀式は無事に終わるのかと一抹の不安を抱きつつ、土下座するサカサのお兄ちゃんに悲しさを感じる。
兄の愛は届かないらしい。
オレも気を付けねえとな。