一悶着どころか十着ぐらい喧嘩して帰ってきた我が家に入るとトヨウケビメが部屋にいた。オレの敷布団に寝転がって、笑っている。
「おいで?」
「ふざけんな。殺す気か」
「あら、見えるのね」
オレには劣るが中々にイケメンの揃ったナナツルギの奴らを睨み付け、トヨウケビメ以外の全員に妙の婆ちゃんに習った真・呼吸投げを使い、吹き飛ばす。
「ほら、立てるだろ」
「あら、ありがとう」
クスリと笑ったトヨウケビメにグッと来るのを押さえつつ、土足で我が家に入り込んできた剣士の振るう曲剣を額で受け、逆に粉々に砕き、唖然とする剣士の首を掴み、縁側の石段に向かって、スクリューパイルドライバーを決めて、脳天を砕く。
衝撃に耐えきれず、歯がへし折れたな。
「おっし。あとロクツルギだな」
パンパンと手の汚れを払い、訳も分からずに自分から、地面に激突し、ボロボロになっていくロクツルギにトヨウケビメは目尻を押さえる。
「どうなっているのかしら?」
「コイツらに避けないと死ぬってイメージを押し付けているだけだ。まあ、そろそろ白面の者が月打されるし、戦国時代のカグヤも目覚めるな」
「あの天女喰らい……か」
イヤそうに顔をしかめるトヨウケビメに剣を振るうロクツルギの一人だったが、ヒールの踵で切っ先を止め、逆にアゴを蹴りあげ、意識を奪った。
「やるねえ」
「まあね。で、鎧は?」
「ここだ」
手首に着けた鎧を見せる。
前に伊賀崎で見たことあるんだよな。それの原型か?と考えながら手足が折れ、動けないゴツルギを見下ろしてオオイミの考えを読む。
成る程、総攻撃の前にトヨウケビメを連れ帰るつもりだったわけか。まあ、オレがいるせいで紙上の人間は消えないけどな。
絶対に忘れない糸色景もいる。
「さてと、ゴミは帰れ」
一人ずつ月に向かって放り投げる。オオイミのところまで届いていることを確信し、オレはアクビをする。明日は七夕の日だ。
少なくともオレは休めるし、会わないといけない。
「成功するわよ」
「知っているよ」
この未来を歩むと決めたときから、彼女だけはオレの事を色眼鏡をかけずにみていた。天道や月光は、ただのバカだから無関係だからな。
流石に疲れるか?
まあ、そのときはその時だと笑おう。
「境くん、1日ですごく変わったわね」
「────おばあちゃんが言っていた。俺の進化は光より早い。全宇宙の何者も俺の進化にはついて来れない。オレは糸を色づける境、糸色境様だぜ」
そう言ってオレは親指を突き立てた。