のんびりと授業を受けていたとき、オレの頭に矢文が突き刺さる未来を見て、ノートに挟んでいた下敷きを構え、素早く振り下ろすと矢じりは隣席に突き刺さり、悲鳴が響くもオレは無視して手紙を読む。
「さ、才賀、その矢は何だね?」
「果たし状みたい、感じ?」
先生の問いに例えが浮かばず、そう答えると「古風な果たし状だな」と先生も引き釣った笑顔を作り、隣席のクラスメートに「悪いな、机変えるか?」とオレは謝りつつ、向こうも「それならこの矢じり…もらえる?」と言われ、それでいいのかと首を傾ける。
昔は「ボンボンだろ、金出せ」とか「才賀ァ!てめぇは殺してやる!!」とか「お前は敵だァ!!」とか色々と言ってくる奴らばかりだったんだけど。
やっぱり、都市部の学生は真面目が多くて驚く。
「才賀、勉強も運動も出来るんだ。あまり危ないことに首を突っ込むなよ?岩崎とつるんでいたらロクな大人にはなれん」
「おばあちゃんが言っていた。同じ道を往くのはただの仲間にすぎない。別々の道を共に立って往けるのは友達だ。例え月光が悪に染まろうとオレはアイツの友達だ」
そう言うと先生は微妙そうな表情を浮かべた。オレの家を知っている以上、口出ししたら何かされると思っているんだろうと独りで納得する。
「境様、善き御言葉にございます」
「兄上、喋ってはいけぬぞ」
モゾモゾと学生服の中で話す刀に注意もせず、オレは矢文を開いて読む。
ガラスの斬風来たる
至急、救援求む
そう書かれた矢文を丁寧に畳み、教科書とノートを鞄に詰めて「先生、少し野暮用が出来たんで。早退します」とだけ伝えると、エンゲキブと視線が合う。
まあ、向こうも察しているな。
窓を開け、飛び降りる。
なんか悲鳴も聞こえた気がする。
「境様、宜しいのですか?無遅刻無欠席すると」
「確かに悪いことだけどさ。自分の保身と、友達の命を助ける方、どっちが大事かは決まってるだろう。邪紅、清白、今回もオレの我が儘に付き合ってくれ」
「斯様な言葉は不用」
「我らは主人殿の剣なりや」
「承知!もはや我は何も言わぬ所存!!」
オレの言葉に二人は応えてくれる。
オレは地面を蹴り、空に舞うと口笛を吹く。
すると、バイクに取り憑いていたしとり婆さんの仲間だった妖怪、一角が飛び上がり、オレを乗せて空を駆け抜ける。
「この一角をお呼びか!お館様!」
「ああ、ちょっと最速で頼むぜ。
「お任せをおぉぉ!!!」
オレの伝える場所まで最速で駆け抜ける。