烏野高校の猫又君   作:青黄紅白

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本編までのざっくりとした時系列になります。

2008年度
4月 田代秀水、入学。(宇内天満ら高3)
6月 烏野高校排球部、IH予選準優勝 宇内天満ら引退。

インハイ予選後
①烏養一繋、体調不良で烏野高校排球部顧問を離れる。
②猫又繋護(小6)、烏野高校に入学を決意。
③烏養繋心、烏養一繋にコーチを任され、猫又繋護の入学に合わせてコーチになると決めた。その後は上級コーチの資格の取得を目指して猫又育史の娘の紹介で実業団で勉強。


現在ではスポーツコーチングリーダーという資格が存在します。
(2020年~2024年3月まではコーチングアシスタントという名称。更に2012年辺りでは日本体育協会公認スポーツ指導者。簡単に言えば、〝指導員〟、〝コーチ〟、〝教師〟といったランクで別れていました)

→詳しくは「日本スポーツ協会公認スポーツ指導者」を検索してみて下さい。バレーボールに限らずこういう資格が存在します。
URLはこちら https://www.japan-sports.or.jp/coach/tabid58.html#coach3

2009年度 春高3月開催最後の年(2010年3月開催)
4月 黒川広樹、入学
8月 猫又繋護(中1) 庵里中学校、関東大会4回戦敗退

2010年度
4月 澤村大地達、烏野高校に入学
8月 庵里中学校、関東大会3回戦敗退
烏養繋心、上級コーチの取得に成功 卒業試験と言うことで、新潟県の中学校のコーチになる。

2011年度 
4月 田中龍之介達、烏野高校に入学
7月 烏養繋心が指導していた中学校が新潟県大会でベスト4
8月 庵里中学校、関東大会4回戦敗退 猫又繋護引退

2012年3月
17日 県民大会で伊達工業高校に敗北、そして東峰旭と西谷夕が衝突。暴力行為かつ学校の備品(モップ)を破壊したことで2人が部活停止を言い渡される。
26日以後? 武田一鉄が烏野高校に赴任、烏養繋心と打ち合わせ。指導開始。

2012年度
4月
6日(金) 烏野高校入学式(日向翔陽達入学)
8日(日) 本編「2012年4月①」開始

2012年のカレンダーになります。合わせてお読み頂くとより時系列が分かると思います。「2012年 カレンダー」で検索しても出てきます。
https://www.benri.com/calendar/2012.html


2012年4月①

 夜ご飯を食べ終わって、和室でモルテンの5号球を触っていると母さんがひょっこりと顔を覗かせた。

 

「繋護! 時間!」

「んー」

 

 ボールを転がしてから立上がって、学ランをちゃんと直しながら居間へと歩いていく。

 中学で使ってきた4号球から一回り大きくなったから最初は感覚のズレもあったけど、やっとマシになってきた実感がある。高校からはずっと5号球を使うからこの先ビーチバレーやらソフトバレーをやらない限りはボールに慣れるところからやらなくても大丈夫だ。

 居間に入ると、椅子に座りながら祖父ちゃんが新聞を読んでいた。俺の足音に気が付いたのか、祖父ちゃんが新聞から顔を上げて俺と眼が合う。

 

「もうそんな時間か」

「うん、そう。祖父ちゃんもだよ?」

「ケッ、何が悲しくて猫又の顔なんざ見ねえといけねえんだ」

 

 そこに母さんが乱入してきた。

 

「真緒と美緒もお父さんの顔見たいって言ってたのに、残念ねぇ」

「うぐっ、そ、そうかよ。仕方ねえなあ、孫の頼みだからなぁ!」

「あなた、真緒と美緒も大好きだものねぇ」

「うっせ!」

 

 祖父ちゃんの天邪鬼な様子を見て、思わず母さんと祖母ちゃんもと一緒に笑う。そして、俺達3人の様子を見て、祖父ちゃんはふて腐れたようにそっぽを向き、そのなんとも言えない姿にまた笑う。

……この時間に連絡を取り合うって事は祖父ちゃんも知ってるんだから、楽しみにしてないんなら最初から居間にいなければ良い。つまりはそういうこと。

 俺達3人は祖父ちゃんが孫を溺愛してるのは知ってるから、なかなか会えない姉ちゃんと美緒とパソコン越しで会えるようになって喜んでたらしいし。その為にパソコン教室に通ったとかなんとか。

 そうだね、千葉とのギャップはもちろんあるけど、こうやって烏野生として祖父ちゃん祖母ちゃんと一緒に暮らせるのは楽しい。井闥山とか梟谷に進学しても楽しかったと思うけど。

 椅子に座って早速ノートパソコンを操作していく。スリープモードから解除されてノートパソコンが排気音を鳴らし出した。

 

『お母さーん? お祖父ちゃん、お祖母ちゃん聞えてるー? 皆の顔見られないんだけどー』

「聞えてるわよー。……あれ? 繋護、お願い」

「分かった」

 

 約束してた時間にはちょっと早いけど、パソコンのスピーカーから美緒の声が聞えてきた。東京(千葉)と宮城にいるから、パソコンのアプリでお互いに近況報告をしようって約束してる。大体月に1回以上。今日はそういう日。入学式もあったし。

 

「どれどれー?」

 

 パソコンを操作すると猫の方の祖父ちゃん祖母ちゃん、父さん、姉ちゃん、美緒の5人がパソコンの画面に映る。でもこっちの声は届いてないみたいだ。ちなみに美緒は姉ちゃんも着てた中学校の制服を着てる。いわゆるセーラー服。

 

『お姉ちゃん、これ繋がってる? お母さん達の声聞えてないよね?』

『んー? ……うん、大丈夫。私達の声はちゃんと届いてるはず。あっちの設定が間違ってるだけだと思うな』

『どうせ烏養が設定変えたんだろ。前に「俺も覚えるか」って言ってたからな。黒電話すら使えなかった烏養がよ』

「おいっ! 余計なこと言うんじゃねえ、猫又!」

 

 ……なるほど、だから設定が変わってたのか。最後に触ったときから大分変更されてると思ってたけど。

 まあ、新しくインストールしないといけないとかって訳じゃ無いから楽勝。

 

「……祖父ちゃん」

「何だ」

「まだあっちには聞えてないよ」

「それを早く言え! ……猫又の野郎。言いたい放題いいやがって」

「それはお互い様でしょ。お父さんだってよくお義父さんのこと言ってるじゃん」

「俺は良いんだよ」

「おーぼーだー」

 

 烏の方の祖父ちゃんと母さんの会話を聞きながらアプリの設定を変えていってと。まだかかるな。

 

「それにしても美緒の制服姿良いわね。こうして動いてると写真とはまた別の印象が見られるわ。また後で明育君から頂いた美緒の中学校の入学式の写真見せてちょうだい」

「オッケー。後でね」

「真緒もそう。制服姿だとちょっと幼く見えてたけど、こうしてるとお姉さんって感じがするわ」

「ね。なんというか、もう子供には見えないって言うか。……いや、私の娘ってことには変わりないんだけど」

「後1年もすればお酒も飲める歳だものねぇ。本当に時間の流れって早いわぁ」

 

 ……うーん、見事に年寄りの会話って感じ! 言ったら怒られるから言わないけど!

 まあ、それはいいや。後はミュート機能を切ってと……。これでどうだ。

 その瞬間、父さんが『あ、ほら、映ったよ』なんて言いながらこっちの方に指を指して、画面の中の4人と眼が合った。

 

『お兄ちゃん遅ーい!』

「ごめんって。……聞えてる? 見えてる?」

『大丈夫ー!』

『なんかあった?』

「いや、祖父ちゃんが設定変えてただけ」

『やっぱり!』「おい!」

 

 そんな姉妹との会話だったり。

 

「よお、猫又」

『ああ、烏養』

「散々好き勝手言ってたようじゃねえか、ああん?」

『ほっほっほっ、事実だろう?』

 

 ライバルを相手にしてバチバチに威嚇し合う2人の祖父ちゃんの会話だったり。

 

「文代さん、御壮健で何よりです。明育君もこんばんは。真緒ちゃんと美緒ちゃんの写真ありがとう御座いました」

『典子さんも美繋さんもお元気そうで良かったです。こちらこそ繋護の写真ありがとう御座いました』

 

 祖母ちゃん同士の会話だったり。

 

『こっちはもう桜咲き始めたよ、宮城は?』

「あと2、3週間って所かな。蕾すらまだだ。後で写真送って」

『分かった。……あ、今度父さん達と食べたいからずんだ餅送ってくれないか?』

「はーい」

 

 父さんと母さんの会話だったりが聞えてきて、学校での休み時間の教室みたいな雰囲気を味わう。あの雑多な雰囲気。

 今回はこのメンバーだけだけど、繋心兄ちゃんだったり、烏の方のおじさん達とか猫の方のおばさんがいるともっと賑やかになる。いやー、テレビ通話ってすげーな。

 

『繋心君は?』

「『今日くらいは家族だけにしてやるよ』だって」

『繋心君レアキャラじゃん。何言ってんの』

「姉ちゃんと美緒がプリプリしてたって伝えとく」

『『よろしくー』』

 

 どっちかというと、猫の方の祖父ちゃんに顔を合わせたくないんだと思う。いつもやりこめられてて立場が無いって言うか。猫の方の祖父ちゃんは「烏養の爺に似てるのが悪い!」って言うけど。

 でも、猫又家と烏養家の関係は凄まじく良い。祖父母同士が連絡を取り合うってなかなかないらしいし。父さんと母さんが結婚してからそれはもう顕著。

 だってさー、自分の子供が因縁のライバルの子供と結婚するって普通無いよねぇ。そりゃあ大騒ぎするよ。俺だってそう思うもん。

 だからこそ、俺が烏野に行くって決めたときも一悶着あった。今でも良く「転向届はこっちでやるからなー」って言われるし。

 ……お?

 ふと猫の方の祖父ちゃんと眼が合った。烏の方の祖父ちゃんは「ぐぬぬ」って顔してる。まーた言いくるめられたのか。

 

『制服似合ってるぞ、繋護』

「本当? 中学はブレザーだったから学ラン着たかったんだよね。まだちょっとブカブカ。身長伸びてくれると良いけど」

『栄養付く物ちゃんと食べてれば伸びるさ。俺はともかく烏養はそれなりにあるからな』

「せめて170cmは欲しい」

『ほっほっほ、宮城の飯は美味いもんが多いから色々食べる機会も増えるだろ。いっぱい食べろ』

「うん、それで祖父ちゃんが指導してる音駒高校に勝つよ。もちろん全国大会でね」

『ほぉ?』

 

 そう言うと、祖父ちゃんは慣れ親しんだ祖父ちゃんの顔から音駒高校の監督の顔つきへと変わった。俺は猫の方の祖父ちゃんの孫でもあるけど、同時にライバルの孫でもある。こういう時の祖父ちゃんは冷静に敵を観察する猫みたいな眼差しをしてくる。……父さん曰く俺も良くそうなるらしい。猫又家の男は顔つきが似てるとはよく言われる。

 

「……いてっ!?」

「よく言ったぞ、繋護!! 化け猫にひと泡吹かせてやれ!」

『迎え撃ってやるよ、烏養!』

 

 俺と同じように姉ちゃんと美緒に制服姿やら新生活のことを話してた烏の方の祖父ちゃんが俺と肩を組んでパソコンに向かって右手の人差し指を伸ばす。祖父ちゃん達の顔はイタズラが成功した時の子供みたいだ。

 そんな2人の祖父ちゃんを見て、俺以外の皆は呆れながらも笑ってる。

 子供の頃から続く友人、バレーボールプレイヤーとしてのライバル、それでいて親戚でもある2人の祖父ちゃんの為にも絶対にゴミ捨て場の決戦を実現させたい。

 

「わっ、もうこんな時間」

 

 時計を見たらしい母さんの指摘が聞えてきたから、パソコンの画面に表示されてる時間を確認すると21時近くになってた。大体1時間位会話してたことになる。えー、そんなに時間経ってるとは思わなかった。

 明日から仮入部期間も始まるから早めに休んでおきたい。いつでもこうやって連絡取り合えるし。

 

『何かあったらまた連絡しますから。お義父さんとお義母さんも宜しくお願いします。繋護も高校生活楽しんで。母さんのことも頼むな』

「うん」

「こっちのご飯そちらに送るから待ってて頂戴ね」

『ありがとう御座います!』

 

 父さんのお願いに頷く。すると、今度は母さんが口を開いた。

 

「明育さん抜けてる所あるから真緒も美緒もちゃんとしてね。それで大学生活、中学校生活楽しんで。お義父様とお義母様、真緒と美緒の事宜しくお願いします」

『んー』『はーい!』『ああ、任された』『美繋さんも遊びに来てね』

「はい! またそちらに伺います! それじゃあ明日からも頑張りましょう!」

「「『『おー!』』」」

 

 母さんが最後に締めて、アプリを切ろうとした瞬間に姉ちゃんが話し掛けてきた。

 

『繋護ー、彩音のことほったらかしにすんじゃないよー』

「分かってるよ、大丈夫だって。じゃあね」

 

 彩音ちゃんにも学ラン姿の写真送ったし。

 そして、アプリを切ってる中、俺の後ろでは母さん達が言いたい放題言ってた。

 

「いやー、繋心と繋護どっちが早く結婚するんだろうね。今から楽しみだわー」

「繋心は早ければ再来年とかでしょ? 流石に繋心の方が早いよ」

「繋心のことだから踏ん切りつかねえかもな」

「えー、情けないねー、繋心は」

 

 繋心兄ちゃんを楯にして俺はこの場から離れていく。繋心兄ちゃんが結婚できるかは俺達がどれだけ結果を残せるかにかかってる。頑張らなければ。

 おーし。今日はもう寝て、明日からの高校生活に備えよう。1年何人入るかなー。

 




皆様こんにちは。青黄紅白です。
1話目をお読み頂き誠にありがとう御座いました。

あらすじにもありますが、猫又育史の息子と烏養一繋の娘が結婚してできた子供の1人が主人公の猫又繋護です。
本作【烏野高校の猫又君】は猫又繋護が2012年4月に烏野高校に入学して男子バレー部のメンバーと共に全国制覇を目指す作品となっています。
楽しんで頂けましたら幸いで御座います。


【猫又繋護のプロフィール(2012年4月時)】

身長 165.3cm
体重 57.2kg
誕生日 1996年4月2日
クラス 1年5組
最高到達点 助走あり291cm 助走無し274cm
足のサイズ 27.5cm
ポジション リベロ
最近の悩み 宮城に来てからご近所さんから色々貰うこと。「1週間くらいで5万円も貰ってしまった……! どうしよう……!!」


【登場人物まとめ】

猫又繋護 本作の主人公
  明育 あきのり 父親 
  美繋 みつな 母親 
  真緒 姉  93年度生まれ 大学1年
  美緒 妹  99年度生まれ 中学1年

猫又育史 音駒高校男子バレー部監督
  文代 猫又育史の妻
  葵育 あおい 長女 結婚して羽染葵育
  育音 いくね 次女 結婚して下園育音
  明育 猫又繋護の父

※葵育と育音は双子 2人の子供もいずれ出てきます

烏養一繋 烏野高校男子バレー部元監督
  典子 烏養一繋の妻
  繋人 けいと  長男 烏養繋心の父親 宮城県警勤め
  繋至 けいじ  次男
  繋介 けいすけ 三男
  美繋 猫又繋護の母

原作に無いキャラクターの紹介を都度していきます。宜しくお願いします!
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