烏野高校の猫又君   作:青黄紅白

37 / 38
~椿原学園ベンチメンバー

監督 大佐渡巽

01 丸山一喜
02 越後栄
03 月岡千春
04 寺泊基希
05 三川大
08 岩室橙吾
09 当間義友
10 舞子侑志
12 貝掛亮文
14 姫川葵

スターティングオーダー
4 寺泊基希 10 舞子侑志 8 岩室橙吾
9 当間義友 2 越後栄 1 丸山一喜


2013年1月②

 朝起きて、身支度したら皆で朝御飯だ。体調崩したメンバーはいない。

 

「皆大丈夫だね?」

「「「はい!」」」

「いよいよ今日から春高が始まります。まずは朝御飯をしっかりと食べてエネルギーにしましょう。腹が減っては戦はできぬ、ですよ」

「「「はい!」」」

 

 和食ー。ご飯ちゃんと食べよう。

 

「びびってねえな?」

「「「はい!」」」

「じゃあ飯だ。飯食って1戦目に臨むぞ」

「「「はい!」」」

 

 続いて大地さんの挨拶。

 

「えーっと……、そうだな。

 もういよいよだ。数時間後には1回戦が始まる。しっかりと飯を食べて椿原に勝とう。ただ、ゴチャゴチャするだろうからはぐれないようにな」

「「「はい!」」」

「それじゃあ、頂きます!」

「「「頂きます!!」」」

 

 いっただっきまーす!

 

 

 準備をして東京体育館へと到着した。

 まずは開会式だ。入場方法は前年度優勝校がトップで後は北海道から南下していく。だから宮城県は比較的早いほう。

 そして俺達は宮城県女子代表の新山女子高校と一緒に並んで行進。「一緒に歩きたくないんですけど……?」って雰囲気醸し出しててめっちゃ居心地悪い。まあでも開会式だけだから、うん。

 「人数少なっ」ってめっちゃビックリされるんだけど。ウケる。……お。

 

「おーっす、繋護ー、久しぶりー」

「「「おひさー」」」

「っ! お久しぶりです!」

 

 「ウェ~イ」ってやってきたのは庵里の先輩で井闥山に進学した2つ上の蔦原雄太先輩、山城光弥先輩、1つ上の向原建次先輩、水科大喜先輩、そして同級生の角口淳人だった。全員ユニフォームを着てる。14人中5人レギュラー入りって庵里中凄くない? だから庵里に進学したんだけど。

 あっという間に囲まれて中学時代に戻ったみたいな錯覚を起こす。

 

「牛タン美味しく頂きました。ありがとう」

「いえいえ。今度は宮城に来て下さい」

「おう。

 それにしても烏野のユニフォームって面白いな。黒だったら赤のイメージ強いけど」

「謎ですよねー。祖父ちゃん曰く『なんとなく』だそうですけど。

 そういう井闥山も派手ですよね、蛍光ペンみたいです」

「蛍光ペンって」

 

 先輩達のユニフォームを見てそんな感想が漏れた。中学の時の学校説明会でも見たことあるけど、やっぱり蛍光ペンみたい。「目がぁー!?」ってなる。

 

「光を反射させて相手に嫌がらせする。……いやいや、そんなことないから」

「ノリツッコミお疲れ様です。――」

 

 大喜先輩が何か言おうとしたら、その前に「ちょっと待ったー!」って梟谷の大和先輩、秋紀先輩、秀一、渉達もやってきた。皆ユニフォーム姿だ。

 

「なんだか楽しそうなことしてんじゃん? 俺達も混ぜろよ」「「先輩方、お久しぶりです!」」

「梟谷の皆にはしょっちゅう会ってるし後で良いかなーって」

「そうなんだけどさー。烏野は宮城だから早いだろ?」

「まあな」

 

 やべえ、ユニフォームこそ違うけどマジで同窓会だ。はぁー、懐かし。

 

「あー、梟谷は烏野と練習試合してたんだろ? いいなー、やってみたかった」

「良いだろー? ……まあ、烏野マジで面倒くせえからな。何やってくるか分かんねえぞ。

 それに、山違うから戦えるのは決勝だ。ま、優勝は梟谷が貰うけどなー」

「「「は? 井闥山が優勝するから」」」

「ここはダークホース烏野が」

「「「ああん?」」」

「ひえっ」

 

 先輩達怖ーい。

 さっきも言ってたけど、井闥山も梟谷も山が違うから決勝戦でしか戦えない。連続で試合が続くから疲れも溜まっていくし。ま、どうなるか分からない。

 ただ、ここに負けに来た学校なんて存在しない。

 

『ただいまより、2012年度全日本バレーボール高等学校選手権の開会式を行います。選手の皆さんは学校毎に整列して下さい』

「じゃあな、繋護。決勝で会おう」

「はい。ま、優勝はウチが貰っていくんで」

「「「はぁーん?」」」

 

 あっかんべー。……そういや、キヨ君とモト君に会わなかったな。しゃーないか。

 

 

 開会式が終わって、葵育おばさんと育音おばさんと合流してアップをする体育館に向かう。

 

「電車止まってるから別ルートで向かうよ。大丈夫、間に合うからね!」

「「「はい!」」」

「人凄いからはぐれないように! 特にマネ2人! 男子気を遣ってあげろー」

「「「はい!」」」

 

 人ヤベー。取り敢えずアップできる体育館へと移動しないと。

 

 

 アップが終わって東京体育館に戻ってきた。特にトラブルは発生してない。

 そして、関係者パスを持ってないおばさん2人とはここで別れる。……多分言えば貰えるはずだけど。ていうか、なんで、貰ってないの?

 

「昨日も言ったけど、同時に4試合やるからしっかりと声をだしてお互いに何をしたいのかを確認すること。関係ない応援が邪魔になったりするから。

 それに、相手も緊張しててローテが一巡するまではフェイントだけでも点数稼げるからね。オープンバレーでもいいからまずは会場の雰囲気に慣れること。

 緊張を解すために動き回るって言うのとコート以外の広さと天井の高さ、自分の最高到達点がどれくらいかって言うのを確かめるためにもしっかりと足を動かす。

 あとはせっかくの全国大会だから楽しんでおいで。大丈夫、貴方達は強いよ」

「「「はい!」」」

「じゃあ私達は烏野の応援席で皆のこと応援してるから。頑張って!」

「「「はい!!」」」

 

 いよいよ1回戦が始まる。

 

◇

 

 烏野高校男子バレー部一同を見送った羽染葵育と下園育音はそのまま烏野高校の応援席へと向かっていき、無事に烏養一繋を始めとする応援団へと合流した。

 教頭や若林智子、遠藤清英などの烏野高校の教職員と堀内愛海や稲松和音などの有志による現役生も応援に来ていた。OB等含めて約80人近い応援団である。

 加えて猫又繋護の家族、込田家、日向夏など勢揃いだ。日向夏は久しぶりに会った猫又真緒達と一緒に観戦を始めていた。

 羽染葵育と下園育音は烏養一繋の隣に座る。

 

「お久しぶりですー、皆さん」

「葵育と育音、久しぶりだな」

「はい! 一繋さんも今日来られて良かったですね」

「ああ。……なんつーか、こっから見るのじゃ勝手が違え」

「監督席と応援席じゃ違いますよねー。あっち行きたいですか?」

「んー? いや、今はあいつらのチームだ。もどかしくはあるが応援するのも悪くねえな」

「私達がいっくら全国に出ようがオリンピックに出ようが、性別もあってゴミ捨て場の決戦はできませんでしたからねー。ゴミ捨て場の決戦もそうですけど是非とも勝ち抜いて欲しいです」

「だな」

 

 ここで猫又明育が姉2人に話し掛ける。

 

「飲み物いるか?」

「ん? 大丈夫大丈夫、持ってきてるから」

「そうか」

「……アンタが試合するんじゃ無いんだよ?」

「緊張なんてしてない」

「してるでしょうが。手震えてる」

 

 姉である羽染葵育に指摘されてようやく猫又明育は自分の手が震えてる事に気が付く。誤魔化すためにカイロを振りはじめた。

 

「大丈夫大丈夫。さっきのアップ見てた感じ大分動けてたし。繋護もそうだけど4番5番と9番は普段通りだったから」

「……そうか」

「烏野って応援の仕方決まってる?」

「いんや、特に」

「じゃあ適当にやるか」

 

 公式ウォーミングアップももうじき終わる。

 

◇

 

 公式ウォーミングアップが終わった。いつもの「いっけいけー! 押っせー押せー!」って応援も凄い。あと和太鼓。和太鼓マジやべえ。

 

「やっちゃん、応援頼むな!」

「はい! 絶対勝つって信じてます!」

「「「任せろ!!」」」

「良しお前ら! 準備はいいな!!」

「「「オォーッス!」」」

 

 やっちゃんを見送ってエンドラインに整列する。右からユニフォーム順だ。

 そして、あっちのエンドラインでも椿原学園の皆様がおんなじように並んでる。

 

「「「お願いします!」」」「「「お願いします!」」」

 

 主審の笛が鳴って、ネット際まで向かっていく。そして、1番と3番と握手した。中1の時の関東大会では応援係だったから2つ上の代とは会ってないはず。1つ上と同級生には会ったことがあるかもしれないけど。少なくとも椿原学園の1年と2年は覚えてない。多分対戦してないよな。

 挨拶が終わってベンチサイドに戻った。烏養コーチの話を聞く。

 

「猫又さんも言ってたけど、会場に慣れるまでは丁寧にな。合わせることを優先だ」

「「「はい!」」」

「見た感じ椿原は緊張して動けてない。先に雰囲気に乗った方が勝つ。つーことで〝普段通り〟になれるように大きな声を出す。いいな?」

「「「はい!」」」

 

 続いて武田先生。

 

「4月から今までのことを思い出して下さい。大丈夫、君達は強い。さあ、全国大会でもその翼を羽ばたたかせましょう!」

「「「オォーッス!」」」

「じゃあ行って来い!」

「「「はい!」」」

 

 やっちゃんを除いた全員で円陣を組む。

 

「烏野ー! ファイ!!」

「「「オォーッス!!」」」

 

 まずはポジションと背番号確認だ。

スタメンの6人がコートに入っていって、俺とノヤ先輩はアタックライン付近のサイドラインで副審にお腹側の背番号を見せる。

 1セット目はノヤ先輩、2セット目は俺が出る。疲れを軽減ってね。ふふふー、弱点見せて貰いますよー。つまり外で見てるやっちゃんからデータを貰って相手チームの研究ってね。アナリスト・やっちゃんのお披露目だ。俺達は進化し続けますよー。

 

烏野

1 大地さん 10 翔陽 5 龍先輩

3 旭さん 11 蛍(ノヤ先輩) 9 飛雄

 

椿原

4 10 8

9(リベロ) 2 1

 

 両校ともスターティングオーダーの確認が終わったから俺とノヤ先輩と入れ替わった蛍はウォーミングアップゾーンへと戻る。

 

「良し! 応援すっぞ!!」

「「「オォーッス!」」」

 

 スガさん中心に応援していくぞー!!

 

◆

 

 影山飛雄のジャンプサーブで一気に【5-0】と突き放した烏野高校は初戦とは思えないほどの爆発力を見せた。そして、逆に椿原学園男子バレー部一同は緊張とプレッシャーで思うように身体が動いていない。

 【5-0】と点差を付けられて、椿原学園男子バレー部監督の大佐渡巽は1回目のタイムアウトを要求する。

 

「はいはい。まずは1点取るぞ。サーブレシーブ、トス、スパイク。いつもやってることだろう? 特別難しいことを要求してるわけじゃ無いよ」

「「「はい!」」」

「まずは1本集中していこう! 声出して!」

「「「はい!」」」

 

 ベンチ入りメンバー14人が円陣を組んで活を入れる。

 

「良し! 1本集中していくぞ! 椿学ー! ファイ!」

「「「オォーッ!!」」」

 

 そしてタイムアウトが終わる。

 それでも烏野高校の躍進は衰えず、3人目のサーバーである日向翔陽がフローターサーブをアウトにする頃には【9-2】と烏野高校が圧倒的大差を広げていた。

 大佐渡巽は早くも2回目のタイムアウトを使い切り、ベンチ内は重々しい雰囲気で包まれていた。そんな雰囲気の中でもキャプテンの越後栄が手を叩いて自身に注目させる。

 

「俺達はここに思い出作りをしに来たんじゃねえよな? な、寺」

「おう!」

「ここに来てる以上弱い学校なんてねえんだ。そんで、烏野は白鳥沢と真っ向勝負をして勝ち抜いてる。舐めるのは無し無し。

 俺達だって神奈川県予選を勝ち抜いてきたんだぞ。これ以上情けないところ見せられねえ。ってことで1点ずつ返していこう!」

「「「シャーッス!!」」」

 

 部員の雰囲気を見た大佐渡巽が話し始めて、14人は静かに傾聴していく。

 

「1回深呼吸してみなさい。

……そうだ。せっかくの春高存分に楽しんで来れば良い。憧れのオレンジコートだろう?」

「「「はい!」」」

「仕切り直しだ。まずは1点ずつ丁寧に取っていこう。勝ってこい!」

「「「はい!」」」

 

 部員全員で円陣を組んで、越後栄のかけ声で気合を入れる。

 

「椿学ー! ファイ!」

「「「オォーッ!」」」

 

 タイムアウトが終了し、6人がコートへと向かっていった。

 

◆

 

 椿原学園が2回目のタイムアウトを使って、終わり間近で烏養コーチからの指示がでる。

 

「ローテが1巡したら交替取り入れていくぞ。今日全員出すからな、準備しとけ!」

「「「はい!」」」

 

 油断するつもりは全くないけど、春高での経験値を獲得するって意味だと色々試していっても良さそうだ。相手シンクロ攻撃に全く追いついてないし。飛雄の調子が良いってのもありそう。というかなんだこいつ。初戦でサービスエース5本とかやばすぎだろ。負けてらんねえ。

 やっちゃんを除いた全員で円陣を組んだ。

 

「このまま一気に突き放す! 烏野ー! ファイ!!」

「「「オォーッス!」」」

 

 ノヤ先輩のドリンクとタオルを回収してコートの中に戻る6人を見送る。頑張ってくれよー。

 

◇

 

 烏野高校がイケイケモードになってる所を見て、当然観客席の応援団も盛り上がっていた。田中冴子達和太鼓チームの後押しもあって、烏野高校排球部の躍進は止まらない。

 

「「「行け行け烏野! 押せ押せ烏野!」」」

 

 全員バレーを心がけている為、点差が開いたこともあって烏養繋心は交替を取り入れていく。

 【14-6】で烏野高校が勝っている中、サーブ権が途切れた東峰旭と縁下力。

 【15-8】で烏野高校が勝っている中、サーブ権が来た月島蛍と菅原孝支。前衛に上がった日向翔陽と成田一仁。

【18-9】で烏野高校が勝っている中、菅原孝支と月島蛍が交替。

 【21-11】烏野高校が勝っている中、縁下力と東峰旭が交替。

 そして、【25-13】で、烏野高校が第1セットを先取する。

 

「「「きゃあ!!」」」「「「良いぞー!!」」」

 

 第1セットを獲得した瞬間を目撃した烏野高校関係者が大いに沸き立った。

 嶋田誠は滝ノ上祐輔と肩を組んでガッツポーズ。月島明光は宇内天満達とハイタッチする。

 

「やっば! あいつら強いな!!」

「やべぇ! 1年経ってねえのによ!!」

「繋心指導者に向きすぎだろ!!」

 

 4月に行われた町内会チームとの練習試合を思い出しては、「高校生の成長やべー!!」とアラサー2人は思う。たった1年、されど1年で烏野高校男子バレー部は全国クラスまで成長した。

 また、遅れて来た影山美羽も日向夏や猫又姉妹、込田彩音と一緒に大喜びする。

 

「兄ちゃん、凄い!」

「影山君凄いですねー」

「んー、姉ながらビックリしてる。あいつ全国だって分かってるのかな。分かってなさそー」

 

 そう言って、影山美羽は弟の影山飛雄の写真や動画を撮っては確認と何度も繰り返していた。それでも納得がいかない様子でしきりに首を捻っている。

 

「お祖父ちゃん、繋護試合出るのかな?」

「どうだろうな。……ああ、ほれ」

「ん?」

 

 烏養一繋の視線の先を追った猫又真緒達が稲荷崎高校男子バレー部のジャージを着た男子学生数人を発見した。三脚にビデオカメラをセットして、色々とノートに書き込んでいる。いわゆる偵察部隊だ。

 

「なるほど」

「繋心君分かってるのかな?」

「分かってると思いたい。

 ……それに、今のメンバーでの公式戦は勝っても負けてもこの春高で終わりだ。1月末には新人戦……今の2年1年だけのチームでの試合がある。全国っつっても余裕がある時に色々やってかないとな。俺が監督ならそうする。全国だからこその経験値ってのは馬鹿にできねえしよ。3月開催の時とはやっぱちげーな」

「へー」

「あ、お兄ちゃん次のセット出るみたいだよ」

「「「本当だ」」」

 

 猫又美緒の言うとおり、猫又繋護がコート横でジョギングやストレッチをしていた。第2セットが始まる。

 

◇

 

 コートチェンジをして、椿原学園の応援席の方のコートに来た。ボール籠を置いてミーティングに入る。

 

「1セット目良くやった。が、試合はまだ終わってねえぞ。分かってるな?」

「「「はい!」」」

「2セット目はリベロを猫又に替えて、木下と山口を優先的に交替させるつもりだ。準備しとけよ」

「「「はい!」」」

「昨日の対策通りだ。あっちは4番の寺泊を中心としたゲームメイクで白鳥沢と似てるところがある。だからトータルディフェンスで4番の寺泊を止める。そうすりゃ相手は機能不全になる。

 油断すんなよ。1点1点確実に取ってけ!」

「「「はい!」」」

 

 やっちゃんを除いた全員で円陣を組む。

 

「烏野ー! ファイ!!」

「「「オォーッス!」」」

 

 さーて、暴れてやろうか。

 

◆

 

 一方、椿原学園男子バレー部一同もミーティングを行っていた。このセットを取られれば敗北する。しかし、部員の表情は先程よりもマシになっていた。

 

「どうかな? 会場には慣れたかな?」

「「「はい!」」」

「烏野は強いって事をしっかりと理解していこう。大丈夫。まだ1セット目を取られただけだ。2、3セットと取り返せば問題ない。さあ、自分達のバレーをやってこよう!」

「「「はい!」」」

 

 部員14人が円陣を組んで、気合いを入れた。スターティングオーダーの確認の為にスタメン6人がコートへと向かっていく。

 

◆

 

 ポジションと背番号の確認のため、大地さん達6人がコートへと向かっていって、俺とノヤ先輩はサイドラインで副審にお腹側の番号を見せる。

 

椿原

4 10 8

9(リベロ) 2 1

 

烏野

11 蛍 3 旭さん 9 飛雄

1 大地さん 5 龍先輩 10 翔陽(俺)

 

 相手はさっきと変わらず。ただ、こっちは背の高い3人をエースの4番にぶつけてブロックでの点数も期待って感じ。簡単に言えば白鳥沢戦の応用だ。

 

「よっしゃー繋護行って来い! いつでも出られるからな!」

「いえいえ。ノヤ先輩の出番はありませんよ」

「はぁ~ん!?」

 

 ハイタッチしたらノヤ先輩はウォーミングアップゾーンへと向かっていった。あと、スターティングオーダーの確認が終わってサイドラインで翔陽と入れ替わる。

 

「繋護ー、行って来い!!」

「任せろー」

 

 翔陽ともハイタッチしたら、まずコートに一礼してコート中央に集まる。

 

「良し。このセットも取るぞ!」

「「「オォーッス!」」」

「繋護は大丈夫か?」

「ええ、任せて下さい!」

 

 あっちがサーブだからバックライトへと向かっていく。あとサウスポーがいないからラリー中もバックライト。4番の心を折っていこう。

 1セット目はウチからサーブが始まったから、2セット目は椿原からスタートだ。

 

「「「マル1本ナイッサー!!」」」

「1本集中!!」

「「「オォーッス!」」」

 

 主審の笛が鳴って、1番がジャンプサーブを打ってきた。狙いは龍先輩と俺の間。

 

「頼む!」

 

 ほーい。……これくらいなら。

 センターからレフトに移動した旭さんが打てるようにアンダーでサーブカット兼トスを上げて、そのまま旭さんが助走に入った。そんで動揺してる10番のブロックの上からスパイクを叩き込んでくれた。おーし。【0-1】。

 

「オーッシ!」

「「「ナイスキー!!」」」

 

 コート中央に集まってペシペシハイタッチ。

 

「猫又ナイストス!」

「1セット目見ててできそうだなと思ってたのでね。どんどんアピールしていくつもりです。せっかくの全国大会楽しんでいきましょー」

「「……後輩が頼もしすぎて辛い」」

 

 えぇーつらいのかよ。

 

「良いぞ! その調子で奇襲してけ!!」

「「「はい!」」」

「影山サーブな」

「はい!」

「バックレフトだからな、飛雄」

「おう」

 

 俺がバックライトだから、大地さんと飛雄はバックレフトを守る。「なんでここにいる!?」なんて言うなよー。

 

「「「影山1本ナイッサー!!」」」

「1本で切るぞ!!」

「「「オォー!!」」」

 

 そのままバックライトで相手コートの様子を窺って、主審の笛が鳴ったら飛雄がジャンプサーブを打った。狙いはセンター。……ちょっと軌道が低い。

 

「「「前!」」」

 

 ネットインしてボールが相手コートのフロントゾーンに落ちていく。そのボールをセッターの2番が拾って、リベロの12番がレフトの4番に二段トスを上げた。

 俺は大地さんのブロックの上から打たれても良いようにライト側のサイドラインから1mくらい離れた所で。そして、ライトの大地さんにセンターの蛍とレフトの旭さんが合流して3枚ブロックの態勢を整えた。

 

「「「せーのっ!!」」」

「「「ブロック3枚!」」」

 

 集中力をぐっと引き上げて気持ちゆっくりになった視界の中で4番のモーションをよく見る。

 

 助走――クロス。

 身体の向き――クロス。

 視線――俺と目があった。

 スイング――ストレート。

 ⇒ストレート!

 

「しっ!」

「「「ノー!!」」」

「「「ねこ!」」」

 

 ボールの落下地点に合わせてアンダーの構えを作って、どっしりと構える。良し!

 

「飛雄!」

「オーライ!」

 

 うんうん。牛島選手ほどのスパイクじゃないな。上がったボールを見て、俺はブロックフォローに入る。

 

「レフト!」「センター!」「バック!」「ライト!」

 

 レフトの旭さん、センターの蛍、バックセンターの龍先輩、ライトの大地さんがトスを呼んで同時に助走に入った。

 

「お願いします!」

「「「1番!」」」

 

 飛雄はライトの大地さんに平行トスを上げて、大地さんが4番のブロックの完成前にスパイクを決めた。【0-2】。

 

「良し!」

「「「ナイスキー!!」」」

 

 コート中央に集まってペシペシハイタッチ。

 

「猫又もナイスレシーブ」

「はい! あとブロックはクロス側には打たせないようにがっつり締めちゃって下さい。あっちの4番牛島選手ほどの高さとパワーはありません」

「……こえー。敵じゃ無くて良かった」

「白鳥沢様々だな」

「良し。一気に突き放すぞ!」

「「「オォーッス!」」」

 

 飛雄のサーブはまだ続いてる。あと23点取って貰って全然構わない。

 

「「「影山1本ナイッサー!!」」」

「ここ切る!」

「「「オォーッ!」」」

 

 バックライトで相手コートの様子を窺う。そのうち主審の笛が鳴って、飛雄がジャンプサーブを打った。狙いはライト側。

 

「「「マル!」」」

「ぐっ! カバー!」

 

 1番のレシーブは乱れて、ボールはこっちコートに飛んできそうだ。でも、あっちの2番がセットアップに走ってネット際でジャンプする。

 

「ステイ!」

 

 2番が蛍のオーバーネットを誘うけど、俺の指示で蛍は手をひっこめて、逆にあっちの2番が触ったボールがこっちに返ってきた。主審が〝オーバーネット〟のシグナルを出してこっちの点数になる。【0-3】。

 後衛プレーヤーがフロントゾーンでネットより高い位置で返したら反則だもんな。ふっははー。

 コート中央に集まってペシペシハイタッチ。

 

「良く見極めたな!」

「よく翔陽誘われてますからね」

「「「あぁー……」」」

 

 「翔陽さんルール分かってる?」って言いたくなるほどオーバーネット誘われてるんだよな。いい加減学べよ。

 

「このローテだと相手のセッター後衛なので無理にブロックしなくて大丈夫です」

「……冷静でやべーな」

「力先輩と交替されますよ?」

「いやだ!!」

 

 龍先輩はこっから力先輩に向かって威嚇し始めた。ガルゥーって。

 

「よしよし。影山この調子でサーブ頼むぞ」

「はい!」

 

 このままだと第1セットと同じ展開になるけど、あっちの監督はタイム使わないのか。飛雄に対してめっちゃ苦手意識ついちゃってんの見て分からないのかな。

 

「「「影山もう1本ナイッサー!」」」

「ここで切るぞ!」

「「「オォーッ!」」」

 

 椿原の皆さん。腰引けてるぞー。

 バックライトで相手コートの様子を窺っていると、主審の笛が鳴って飛雄がジャンプサーブを打った。狙いはもう1回ライト側。

 

「「「マル!」」」

「……カバー!」

 

 さっきと同じで1番がアンダーで拾うけど、ボールはそのままこっちコートへ返ってきそうだ。チャンスボールは俺が担当。

 

「「猫又!」」「「繋護!」」

「オーライ!」

 

 コート中央に飛んできたボールをエンドラインから走ってくる飛雄に向けてアンダーで返球する。

 

「レフト!」「センター!」「バック!」「ライト!」

 

 レフトの旭さん、センターの蛍、バックライトに移動した龍先輩、ライトの大地さんの4人がトスを呼んで、同時に助走に入った。

 

「いけっ!」

「「「11番!」」」

 

 飛雄はBクイックに跳んだ蛍にトスを上げて、蛍が思いっきりスパイクを叩き込んだ。ボールはブロックに跳んだ8番の左手を掠めて思いっきりエンドラインよりも後ろに吹っ飛んでいく。ワンタッチでこっちの点数だ。【0-4】。

 

「良し!」

「「「ナイスキー!!」」」

 

 コート中央に集まってペシペシハイタッチ。すると椿原が1回目のタイムアウトを要求した。皆でベンチサイドまで向かっていく。

 

「良いぞ! その調子だ!! このままガンガン攻めてけよ!」

「「「はい!」」」

 

 ベンチサイドに集まって、俺はノヤ先輩からドリンクとタオルを受け取る。あー、美味ぇー。

 

「さっき稲荷崎の偵察部隊を発見した。でもな、俺達が強いのは変わりねえんだ。稲荷崎だけじゃねえ。会場中の学校をドンドン威圧していこう。『烏野やべー!!』ってな!」

「「「はい!」」」

 

 マジか。まあいるよな。俺達もやってたし。まずは椿原に勝つ。ただそれだけだ。

 

「皆。油断することの無いようにいきましょうね! 狩りは獲物を仕留めた時が一番危ないって言って、剣道や武道では〝残心を残す〟と表現します。

 椿原学園も神奈川県を勝ち抜いた強豪です。現在流れはこちらにありますが、簡単にひっくり返されることは容易に考えられる。2セット取るまでは確実にいきましょう!」

「「「はい!」」」

 

 やべー、翔陽と飛雄が〝残心を残す〟って言葉に首傾げてる。剣道の授業あっただろうが。

 ……あー、早くタイム終わってくれないかな。

 

◆

 

 一方、椿原学園男子バレー部一同もミーティングを行っていた。

 

「影山君のサーブは強力だ。上で良い。コートに上げれば誰かがフォローできる。Aパス返そうとしなくてもいいから、まずは上に上げる。いいな?」

「「「はい!」」」

「あと猫又君にびびりすぎだ。リベロなんだから攻撃をしてくることは無い。それよりも3番と5番にはしっかりと2枚ブロックで対応しよう」

「「「はい!」」」

「点を取られたら取り返せば良い。まずは1点。しっかりとな」

「「「はい!」」」

 

 部員14人が円陣を組んだら、スタメン6人がコートへと向かっていく。

 

◆

 

 タイムアウトが終わって、コートへと戻ったらさっきと同じようにバックライトで相手コートの様子を窺う。

 

「「「影山1本ナイッサー!!」」」

「ここ切るぞ!」

「「「オォーッ!」」」

 

 タイムアウト明けだからミスする可能性もある。飛雄頑張れー。

 そのうち主審の笛が鳴って飛雄がジャンプサーブを打った。狙いはバックセンター。

 

「「「貝掛!」」」

「はい!」

 

 リベロの12番が体勢をくずしながら飛雄のサーブをなんとか上げた。

 

「オッケ!」

「レフト!!」

 

 セッターの2番が二段トスを上げに走って、レフトにオープントスを上げる。大地さんのブロックの上から打たれても良いように位置を調整していく。もちろんブロッカー3人はライトに移動した。

 

「「「せーのっ!!」」」

「「「ブロック3枚!」」」

 

 集中力をぐっと引き上げて気持ちゆっくりになった視界の中で4番のモーションをよく見る。

 

 助走――クロス。

 身体の向き――クロス。

 視線――蛍の左手側を見た。

 スイング――ブロックアウトを狙うように。

 ⇒クロス!

 

「ふっ!」

「ワンチ!」「ノー!」「ノー!」

「飛雄!」

「オーライ! 繋護!」

 

 4番のスパイクは旭さんの右手に当たって飛雄のチャンスボールになった。飛雄がそのボールを処理して俺がアタックラインでトスできるようにふんわりと返球する。おーし!

 

「やります!」

「レフト!」「バック!」「センター!」「バック!」「ライト!」

 

 レフトの旭さん、バックレフトの飛雄、センターの蛍、バックライトの龍先輩、ライトの大地さんがトスを呼んで、同時に助走に入ったのが分かる。俺はアタックラインを踏まないようにジャンプしてっと。……まあここは。

 

「東峰先輩!」

「「「3ばっ!? 5番!!」」」

「オラ!」

 

 バックライトの龍先輩でしょ。バックトスで龍先輩に上げて、龍先輩がフリーの状態でバックアタックを打った。バックレフトにいたリベロの12番が弾いてボールは後ろに吹っ飛んでいく。

 ワンタッチでこっちの得点だ。【0-5】。

 

「シャオラァ!!」

「「「ナイスキー!!」」」

 

 コート中央に集まってペシペシハイタッチ。

 

「ナイストスだ、繋護!」

「トスどうでした? もうちょっと高くてもよさげに見えたんですけど」

「うーん? いや? 良いトスだったぞ」

「分かりました。飛雄もナイス」

「チャンボだからな? 俺は日向じゃねえ」

「そろそろ影山サーブミスりそうだな」

「ミスりません!!」

 

 油断すんなよー。

 ってことで、飛雄のサーブはまだまだ続いてる。このまま一気に突き放したい。……タイムアウトはー、無いか。よしよし。

 バックライトに移動して相手コートの様子を窺う。

 

「「「影山1本ナイッサー!!」」」

「1本集中!」

「「「オォーッ!」」」

 

 主審の笛が鳴って飛雄がジャンプサーブを打った。……あ。

 

「「「アウト!」」」

 

 こっから見ても分かるほどアウトだ。エンドラインを3mくらい離れてボールが落ちたし。【1-5】。

 

「すみません!!」

「ドンマイ!」「ドンマイ!」

 

 やっぱりミスしたなー。まあでもこっちに流れを引き寄せたって意味だと最高。あとは点差を開いていくだけだ。

 バックライトよりのバックセンターで相手からのサーブに備える。特に前が蛍だから軟打を狙われたらカバーしないと。そしてあっちのサーバーは8番。ジャンフロ使いだ。

 

「「「岩室1本ナイッサー!!」」」

「1本集中!」

「「「オォーッス!」」」

 

 こっち打ってこないかなー。打ってこいやー。

 主審の笛が鳴って、8番がジャンフロを打ってきた。狙いは龍先輩。

 

「「田中!」」

「オラ!」

 

 龍先輩がオーバーで処理してボールはバックライトからセットアップに走る飛雄へと返っていく。

 

「レフト!」「バック!」「センター!」「ライト!」

 

 レフトの大地さん、バックセンターの龍先輩、センターの蛍、ライトの旭さんがトスを呼んで同時に助走に入った。アタックラインまで詰めてブロックフォローに回る。

 

「お願いします!」

「「「3番!」」」

 

 飛雄はライトの旭さんに速い平行トスを上げて、旭さんがスパイクを叩き込んだ。でも、4番の左手の指先に当たってボールはエンドラインよりも奥へふっとんでいって落ちる。ワンタッチでこっちの点だ。ブロックつかれるの早いな。【1-6】。

 

「オシ!」

「「「ナイスキー!!」」」

 

 コート中央に集まってペシペシハイタッチ。

 

「影山ナイストス!」

「はい!」

「旭、サーブ頼むぞ!」

「おう!」

「良し! このまま一気に行くぞ!」

「「「オォーッス!」」」

 

 飛雄との位置関係に気を付けながらバックセンターで相手コートの様子を窺う。そのうち主審の笛が鳴って、旭さんがジャンプサーブを打った。狙いは前衛の9番とセットアップに走るセッターの2番がいるレフト側。

 そして、俺はバックライト、飛雄はバックレフトへと走って行く。

 

「「「マル!」」」

「ぐっ! カバー!」

 

 ふっははー。1番がアンダーで拾って、ボールはアンテナの内側からこっちコートへと返ってきた。しかもこの軌道はサイドラインを割るアウトコース。

 サイドラインを跨いで見極めて見極めてー、ジャッジ。良し。アウトだ。【1-7】。

 

「「「ナイジャッジ!」」」

「イェーイ!」

 

 そのまま皆でハイタッチしていく。

 

「東峰さんナイッサーです!」

「おう! ……入ってたよな?」

「はい。めっちゃ良いコースでした」

「つーわけでもう1本頼むな」

「おう!」

 

 このまま突き放すぞー。バックライトで相手コートの様子を窺う。

 

「「「旭さんもう1本ナイッサー!!」」」

「1本集中!」

「「「オォーッ!」」」

 

 主審の笛が鳴って旭さんがジャンプサーブを打った。狙いはさっきと同じライト側。

 

「「「マル!」」」

「おし!」

 

 今度は取りやすいコースであっちの1番に完璧に返された。

 

「ライト!」「A!」「レフト!」

 

 ライトの10番、レフトからセンターに切り込んできた9番、9番とは逆に時間差を使うだろう4番がトスを呼んだ。2番は誰に上げる? ここは4番だと思うけど。

 

「当間!」

「「「9番!」」」

 

 Aか。ライト側に来ても取れるようにっと。とりあえず蛍がブロックに跳んだ。

 

「らっ!」

「ワンチ!」

「くそ……!」

 

 蛍の左手に当たったAクイックは、鋭い軌道でレフト側のフロントゾーンに落ちた。相手の点。【2-7】。

 

「オシ!」

「「「ナイス!」」」

 

 あっちコートでは9番を中心にウェイウェイし始めたのを見て、こっちはこっちで集まる。

 

「悪い! 俺もブロック跳ぶべきだった!」「僕も位置取りが悪かったです。すみません」

「ドンマイドンマイ! 次切り替えていくぞ!」

「「「オォーッス!」」」

 

 点を取られたら取り返せば良い。バックレフトで相手の10番からのサーブに備える。

 

「「「舞子1本ナイッサー!」」」

「1本集中!」

「「「オォーッス!」」」

 

 こっち打ってこないかなー。打ってこいやー!

 主審の笛が鳴って、10番がジャンプサーブを打ってきた。狙いはライト側。旭さんがアンダーで拾ってボールがセットアップに走った飛雄に返っていく。

 

「レフトォ!」「センター!」「バック!」「ライト!」

 

 レフトの龍先輩、センターの大地さん、バックライトの旭さん、ライトの蛍がトスを呼んで、4人が同時に助走に入った。取り敢えずブロックフォローで前に詰める。飛雄は誰に上げるかな。

 

「いけっ!」

「「「11番!」」」

 

 飛雄はライトの蛍に速い平行トスを上げて、蛍はブロックに跳んだ4番の左手に引っかけるようにしてコートの外にボールを押し出した。ワンタッチでこっちの点だ。【2-8】。

 

「っし!」

「「「ナイス月島!!」」」

 

 コート中央に集まってペシペシハイタッチ。次のサーバーは蛍で、前衛に翔陽が上がってくるから入れ替わらないと。

 ってことでサイドラインに向かう。

 

「翔陽良いとこ無いぞー」

「これから点取るし!」

 

 おー。頑張れー。

 翔陽とハイタッチしてコートに出たら、振り向いてコートに一礼。そしたら立って指示を出してる烏養コーチの所に向かった。

 

「これからブロックの高さが低くなるローテだからしっかりと触ってこう、ってのとセッターが前衛に上がってくるからツー警戒な」

「はい!」

「次も期待してますよ! 猫又君!」「ナイファイ!」

 

 烏養コーチと話し終わったら、武田先生と清水先輩とハイタッチしてウォーミングアップゾーンへ向かう。

 

「「「ウェーイ!」」」

「ウェーイ!」

 

 スガさんを筆頭に皆とハイタッチして蛍のサーブから始まるラリーを観察する。

 

◎

 

 昼食を食べ終わって、食堂で烏野高校対椿原学園の試合を観戦していた白鳥沢学園1年生の五色工の元に天童覚がやってきた。天童覚は五色工の持つタブレット端末を覗き込む。

 

「工~、今どんな感じぃ?」

「【8-14】で烏野が勝ってます。今日向とあのピンサーの7番が交替しました」

「……7番サーブ多彩だよね~。来年ガンバ!」

「はい!」

 

 木下久志のサーブで崩された代表決定戦の記憶が2人には残っていた。天童覚はともかく、五色工は新年度以降も戦う機会がきっとくる。その時またリベンジするつもりでサーブレシーブに力を入れていた。

 そして、2人が話している一方で、実況も聞えてくる。

 

『烏野高校は6番縁下に続き、7番木下を投入しました。岡部さん、どのように見ますか?』

『そうですね。烏野は人数が少ないですから連戦が続くとどうしても疲労が溜まってしまいます。コーチの烏養君は1人1人の疲労を溜めない方針でいるのでしょう』

『なるほど。確かに春高はまだ1日目。勝ち進んでいけば中日を挟みますが連戦ですからね。層が薄い烏野にとっては1人の離脱が致命的ということですか』

『ええ、そうです。リベロもそうですね。西谷君と猫又君は非常にレベルが高い。〝選ぶ〟と言う意味では烏養君は大変そうですね』

 

 「よっこらせ~」と言いながら天童覚が五色工の隣に座って、五色工もまた見やすいようにタブレット端末を傾けた。

 木下久志がジャンプサーブだけでなく、ジャンプフローターサーブや天井サーブなどと多彩な種類のサーブを打ち分けて、【9-18】まで点差を広げた。

 

『いやー、いいですね、木下君。あれだけ使えるサーブの種類が多いと相手を混乱させられます。あとはひとつひとつの球威と精度を上げられると相手にしたくないサーバーに名を残しそうです』

「工もサーブ頑張らないとネ」

「……全部です。今の俺じゃあまだまだ牛島さんみたいに出来ない」

「そりゃ若利君は3年で工は1年だし。……もう学年も代わるか。俺達もあと2ヶ月後で卒業しちゃうもんネ」

「もっと天童さん達とバレーやりたいです」

「んじゃ、丁度烏野も勝ったことだし体育館行こうか」

「はい!」

 

 【15-25】で烏野高校が椿原学園に勝利したところを確認して、天童覚と五色工は体育館へと歩き出す。2人と同じように烏野高校の勝敗を気にしていた他の男子バレー部部員も自分の練習に集中することを決めた。

 引退した3年生を除いた新しいチームでの新人戦はもう3週間後に行われる。

 

◎

 

 蛍のサーブの時にスガさんと替わって、見事こっちの戦術が上手くはまった。マッチポイントで旭さんがスガさんからのトスを打って、【15-25】で烏野の勝ち。まずは1回戦突破だ。

 

「「「ありがとうございました!」」」「「「ありがとうございました!」」」

 

 エンドラインに並んで、主審の〝試合終了〟の合図でネット際まで近付いていき、1番と3番と握手をしてベンチサイドに戻る。

 

「皆! 1回戦突破おめでとう! まずは僕達を応援して下さった皆様にお礼を言いに行きましょう!」

「「「はい!」」」

 

 烏野側の応援席の方に行って。右から大地さんでユニフォーム順に並ぶ。やっちゃんも清水先輩の左に立った。

 

「気を付けー! 応援ありがとうございました!!」

「「「ありがとうございました!!」」」

「明日も宜しくお願いします!」

「「「お願いします!」」」

 

 大地さんのかけ声で一礼すると、観客席の皆から拍手やら「ナイスゲーム!」とか「次も勝てよ!!」とかって声援を貰う。

 

「「「繋護先ぱーい!! ナイファイでーす!!」」」

「おお」

 

 聞きなじみのある声だと思ったら庵里の後輩ズがいた。そりゃあ見に来るか。とりあえず手を振っとこ。祖父ちゃん祖母ちゃん、父さん母さん姉ちゃん美緒、彩音ちゃん、慎吾さん、咲良さん、彩歌ちゃん達にも手を振っていると現実に引き戻される。

 

「稲荷崎にも勝てよ!!」

「「「……はい!」」」

 

 そう。次の相手はインターハイ準優勝の稲荷崎高校。井闥山からも1セット取れるだけの実力はあるから順当に行けば負ける可能性が高い。

 ……そんなの知らないけどなー。こっちだって練習してきたしー。優勝するにはここにいる学校全部倒さないといけないんだ。泣き言なんて言ってらんねー。

 

「皆さんナイファイです!」

「おう! やっちゃんも応援ありがとな!!」

「「「ウェーイ!」」」

「ウェーイ!」

 

 自分達の荷物を片すためにボール籠とか救急箱が置いてある方に向かっていきながら、やっちゃんとハイタッチしていく。すぐに稲荷崎との試合が始まるわけじゃないからまずは全国大会での1回戦突破を喜ぼう。

 

「おーし、ナイスゲームだった。でも目標忘れてねえな?」

「「「はい!」」」

「良し。じゃあ次の対戦校の邪魔にならないように移動するぞ。着替えてクールダウンだ。そしたら飯と音駒と梟谷の試合見てて良いぞ。ちょっと烏野OBに呼び出されてるから」

「「「はい!」」」

「但し、振る舞いには気を付けろよ?」

「「「オォーッス!」」」

 

 他校とのトラブル起こしちゃ駄目。絶対!

 あと森然と生川もどうなってるか確認しときたいよなー。まずはクールダウンだー。

 

 

 クールダウンをパパッと終わらせた後はご飯と補食を食べながら音駒と高知県代表の清川高校の試合の観戦をして無事に音駒が勝ったところを確認した。見た感じ、音駒の弱点は相変らず変わってない。祖父ちゃんも学兄ちゃんも気づいてない音駒の最大の弱点が。

 

「キャプテン! Tシャツ見てきても良いですか!?」

「ん? おう、良いぞ。誰か――」

「――俺も行きます!」

「おお。じゃあ山口と行って来い。誰かに迷惑かけるなよ」

「「は、はい!」」

 

 そして翔陽と忠は物販コーナーへと向かっていった。……仕方ないんだけど、こういう所で買い物すると目茶苦茶金かかるんだよなぁ。高すぎ。……パンフレットだけでも買う? いや、別に要らないな、うん。

 

「猫又はいいのか?」

「うーん、別に……って感じです」

「梟谷の試合でも見てきたらどうだ? 丁度始まったばっかだろ」

「……なるほど」

 

 そっか。じゃあ行って来ようかな。さっき母さんにも「庵里中の子、梟谷の試合も見ていくらしいわよー」って言ってたし。大和先輩達の活躍でも見てこようかな。

 

「そうですね、じゃあ梟谷の応援してきます」

「おう、行って来い。携帯忘れるなよー」

「はーい」

 

 物販コーナーも見るだけ見てこよー。

 

 

 サブアリーナに到着した。こっちもこっちで熱狂が凄い。

あと、【3-1】で梟谷は静岡県代表の栄和高校に負けてる。まあ序盤だし。そんな大差って訳でもないから十分対処可能だろう。

 それにしても井闥山に負けず劣らず梟谷の応援も相変らず凄いな。吹奏楽にチアリーダー、あと東京だから在校生とかもやべー。応援が500人以上って簡単に達成してそう。下手したら700人くらい、もっといるかも。……あと庵里出身の誰かもいそう。いやいるよな。

 体育館での調整もできるし応援も気軽に来られるしで開催地は有利だよなー、うん。

 

 

 ……う、うーん? なんかもう木兎先輩しょぼくれてね? このままだと負けるぞ。3年生でエースなんだからしゃきっとせえ!! しゃきっと!!

 そのうち物販コーナーのビニール袋を持った翔陽と忠が俺の方に来た。

 

「あ、繋護じゃん」

「おー、翔陽と忠。やっときたのか」

「試合どんなかんじ?」

「残念ながら【10-7】で負けてるね」

「マジか!? 木兎さーん! 頑張ってくださーい!!」「決勝で戦いましょー!!」

 

 そんな聞えるわけ。……!? 赤葦先輩がこっち見た! とりあえず手を振っとこ。頑張れー。

 

「うおっ、赤葦さんこっち見てる」

「本当だ。……木兎さーん、『エースの心得』Tシャツ俺も買いましたよー!!」

 

 物販コーナーで買ったらしいTシャツを取り出しては梟谷の人達に見せる。心なしか木兎先輩の顔色が良くなった気がした。

 

「梟谷とはブロックが違うんだもんな」

「そ。決勝でしか戦えない」

「梟谷には5セットでの戦いなんだろ。チョーわくわくすんな!」

「まだ1回戦目が終わったばっかだぞ。決勝は13日。相当先だ」

「あっ! 木兎さん調子上がってきた!!」

 

 聞けよ!! 良いけどさ。

 翔陽の言うとおり、徐々に木兎先輩の調子が上がってきて「ヘイヘイヘーイ!!」って雄叫びが響くようになる。これなら大丈夫そうだ。

 

 

 無事に梟谷の勝利を見届けて行きに使った道を通って戻ってると、物販コーナーに到着した。

 

「あれのS下さい!!」

 

 あれが星海光来先輩か。

 白と水色が入り交じった鴎台のジャージを着た星海光来先輩が【根性を笑う者は根性の前に泣く】Tシャツ――通称根笑Tシャツ――を買っている様子が目に入った。順調に勝ち上がれば準々決勝で当たる。まあ、まずは稲荷崎に勝たないといけないんだけど。

 

「あん?」

「っ……!」

「日向?」

 

 俺しーらね。他人の振り他人の振り。何か面白いTシャツあるかなー。やっぱり物販コーナー高すぎぃ! こんなのポンポン買えないって!

 翔陽と星海光来先輩が話している所に巻き込まれないように他人の振りをしていると、物販コーナーに来た飛雄も星海光来先輩と話し始めた。

 

「ちなみに、あそこの『俺知ーらね』って表情してるのがユース合宿に来られなかった同級生です。佐久早さんと古森さんの小バレからのつきあいの」

「何っ!? お前がかっ!!」

 

 飛雄ぉ! 巻き込んでんじゃねえ!!

 ジロジロ見られてる。不良さんと名付けよう。防犯ブザーの準備しておこう。よーし。

 

「てめえ、なんcmだ?」

「えっとぉ~、知らない人と話すときにはまず自己紹介って聞いたことないんですかぁ~

? 私達ぃ~、初対面ですよねぇ~?」

「「ギャル繋護だ!」」

 

 勝手に変な名前つけてんじゃねえぞー。おおん?

 取り敢えず無礼をしたことに気が付いたみたいで、星海光来先輩から自己紹介をされる。

 

「あ、ああ、悪いな。鴎台高校2年の星海光来だ。ユース合宿で影山と佐久早と古森に話を聞いた。『やべーリベロがいる』って。でなんcmだよ」

「先程は失礼しました。烏野高校1年の猫又繋護です。星海先輩のことも飛雄から聞いてます。身長174cm、最高到達点は305cmを越えました」

「まあリベロだしな。……リベロなら身長いらねえだろ! 寄越せ!」

 

 チェンソー持って追いかけてきそうだな。いや刀? どっちにしてもやばい人じゃん。

 

「いたいた。光来くーん」

「ん? 幸朗か」

 

 声が聞えた方を見ると、鴎台の6番のユニフォームを着た巨人がこっちに向かってきてた。

昼神幸朗。鴎台高校2年のミドルブロッカー。主力メンバーの1人だ。2mってやっぱりでかい。

 

「そろそろ集合。何やってんのさ」

「げっ。もうそんな時間か。じゃあな影山」

「はい。星海さんも試合頑張って下さい」

「おう」

 

 そして星海光来先輩と昼神幸朗先輩は人混みの中に消えていった。……試合前にTシャツ買いに来たのか。時間大丈夫かよ。

 

「影山もなんか買うの?」

「ああ」

「じゃあ4人で戻ろうぜ」

「「「分かった」」」

 

 物販コーナーの商品高すぎだよ。これ1つで烏野スポーツ店だと5、6枚は練習着買えるぞ。

 

 

 観客席で鴎台高校と筑井田高校の試合を見る。翔陽は「下で見たい」って言って飛び出していった。

 

「烏養さんの見立て通りだな。伊達工にすんげえスパイカーがいる高校って」

「サーブ、レシーブ、トス、スパイク、ブロック。全部出来るな、星海」

 

 あれで身長が30cm位有ればな。海外で戦って行くには170cm代のスパイカーは通用しないだろ。190cm代でも〝小さい〟んだし。せめてあと10cmは伸ばしたいって思ってんじゃ無いかな。

 んー、まあでも牛島選手よりは「ビビッ」って来ないな。「ビッ」くらい。キヨ君とモト君は「ビビッ」。これ一体何だ?

 

 

 借りてた体育館で軽く合わせたら宿に帰ってきてミーティングに入る。

 

「さっきも言いましたが、まずは全国大会での貴重な1勝おめでとう、皆!」

「「「はい!」」」

「じゃあ明日の話だな。今までに座学の時間でやってきたから長々とやることはねえ。

 タイプ的には青城と似たような感じだろう。が、稲荷崎には宮侑と宮治の宮ツインズがいてライトからもどっかんどっかん打ってくる。例えるならば、及川が2人いる青城だ」

「大王様が!?」「2人も!?」

 

 今まで座学の時間で稲荷崎の試合分析してきたよねぇ? 12月なんかここ5年くらいの稲荷崎の試合見たじゃん。もう忘れたのかよ。

 

「ライトに関しては宮兄弟が補填するような形で動いてくるし、レフトの尾白アランと銀島結は木兎みたいな感じだ。そんでミドルの大耳練も角名倫太郎もでかいし高い。

 が、サウスポーはいないから牛島みたいなやりにくさを感じることは少ないはずだ。……控えにはいるかもしれねえけど。

 こっちの守備の要は、リベロをバックライトにおいてブロックで誘導してそっちに打たせる。レフト側へは打たせるな。西谷、猫又、いけるな?」

「「はい!」」

 

 いつも通りのことだけど、勝敗の鍵は俺達がどれだけ拾えるかだ。まあでもコース塞いでくれたら取れる気しかしない。

 

「明日も全員バレーだ。全員で稲荷崎に勝つ。いいな?」

「「「オォーッス!」」」

「よし。じゃあ風呂入ってすぐ寝ろよ。明日5時起きとかになるからなー」

 

 いつもと大体同じだけどなー。あとおっふろー。3年生先だから勉強しとくか。今年のセンター試験どの位点数取れるかな。

 

◆

 

 調整を終わらせてホテルに戻ってきた稲荷崎高校男子バレー部一同は翌日の烏野高校男子バレー部への対策ミーティングを行っていた。

 監督の黒須法宗が中心となってミーティングを進めている。

 

「おーし、ほな明日の対戦校は宮城の烏野高校に決まったわけやが、まずマネ3人にお礼言えへんとな。前出てきてや」

「「「はい!」」」

 

 黒須法宗が椿原学園と烏野高校の対戦を観察・分析していたマネージャーの新井哲秀、鴨井悠一、杉中友治を呼んで、3人が黒須法宗の隣に並ぶ。

 

「北」

「はい。新井、鴨井、杉中、ほんまにおおきに」

「「「おおきにな」」」

「明日頑張ってな!」「「頼んます!」」

 

 キャプテンの北信介がお辞儀すると、レギュラー陣も続いた。

 

「ほんまにありがとな。

 ……良し、早速始めるとしよか。新井達、頼むねん」

「「「はい!」」」

 

 3年の新井哲秀、2年の鴨井悠一、1年の杉中友治の3人が黒須法宗の後を継いで、代わりにミーティングを進めていく。新井哲秀がプロジェクターを操作しながら司会進行、鴨井悠一と杉中友治がパソコンを操作していく。

 

「はい、ほな烏野についてです。

 基本的なスタメンは春高予選の白鳥沢戦と変わりのうて、1番の澤村大地、3番の東峰旭、5番の田中龍之介、9番の影山飛雄、10番の日向翔陽、11番の月島蛍です。ただ、1セット目では4番の西谷夕、2セット目では13番の猫又繋護がリベロで入りました。

 身長では11番の月島蛍が最長でっけど、最高到達点としては全員340cm以下で決して高さがあるチームやおまへん。

せやけど、10番のマイナステンポの速攻での陽動と同時に助走してブロックを攪乱さす戦い方が烏野の基本的な戦術です」

 

 有料サイトで配信されている椿原学園と烏野高校の試合のアーカイブと白鳥沢学園との試合を交互に流しながら新井哲秀が説明を続ける。

 

「ただ、セッターとリベロ以外が攻撃に参加してるさかいブロックフォローがおれへんこと、サーブとスパイク等1人1人の攻撃は決して高ないこと、守備力も1番4番13番以外はそこまでです。

 よって、烏野高校打倒のキーはいつも通りのバレーをして、5番田中龍之介から切り崩すことや思うています」

「そうやな。

 ……侑。影山飛雄についてなんかあるか? ユース合宿で会うてるんやったよな?」

 

 黒須法宗が宮侑に声をかけると、この場にいる全員が一斉に宮侑を見て、兄弟である宮治が彼を小突く。鼻を鳴らしては宮侑が話し始めた。

 

「ええ、そうでんなぁ。トビオ君は普通に上手い思う、が他がそうやない。

 ただ、佐久早、古森、トビオ君、雲雀田監督が言うとったんでっけど、烏野の1年でユース合宿には来へんかった奴がおるらしいんです。多分13番のにゃんこ君でんなぁ」

「確かにウシワカのスパイクを拾うとった、4番共に要注意やな。

 結論としてはリベロ2人、9番には要マーク、ちょろちょろ動く10番にはつられへんでブロック1枚でもコースを絞らす。ほんで徹底的に5番を狙う。ええな?」

「「「はい!」」」

「朝早いから早めに寝ること、ほな各自自由時間や。ホテルに迷惑掛けんといてや? 解散!」

「「「はい!」」」

 

 黒須法宗が2回拍手をして自由時間となって、各々が席を立ち始める。宮治も同様に続き、彼の背中を宮侑が叩いて隣で歩き出した。

 

「なあなあサム」

「なんやツム」

「トビオ君のあの速攻やってみたないか?」

「ああ?」

 

 2人の会話を聞いていた角名倫太郎と銀島結が「まーたこいつら変なこと言い出したよ」とうんざりしながらも2人の後を追う。

 

「また北さんに怒られるぞー」

「明日ちょいやってみるで。な? ええやろ?」

「……しゃあない。やったるわ」

「俺ら知らねえぞー」「勝手にしろやー」

 

 稲荷崎高校男子バレー部一同は消灯時間の22時まで各自翌日の烏野高校戦に備えて自由時間を過ごす。

 そして春の高校バレー1日目が終了する。

 

◆




兵庫県では大阪弁を話すらしいので大阪弁を使用しました。正しいかは分かりません。違っていたら申し訳ないです。
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