ガリアムス様、弥未瑠様、水樹木様、紅葉0121様。評価ありがとうございます。
「夜襲の…………リュカオーン…………?」
その名前は、あの馬鹿から………いや。今の俺に、アイツを非難する資格は無いか――胸の内が、こんなにも熱くなっている、今の俺には。
「………久しぶりだな、こんな感覚は」
目の前には、狼がいる。とても大きい、狼がいる。
現実で、数多の強者に挑んできた。その中には
「(アレだけしぶとかったレッドキャップゴブリン達が一撃で消し飛んだ………当たれば即死亡と考えていい。なら――)っ!!」
情報の整理をする暇もなく、黒狼の凶爪が襲いくる。
「考える時間は与えない、と?………上等だ。構えろリュカオーン――行くぞ」
―――久しく表に出てこなかった、
致命の太刀を構えた浪人と、爪を輝かせた黒狼が地面を踏み抜いたのは―――同時だった。
ダァン!!!
「っぐ………!!重いにもほどがある、ぞ!!」
『グルオォォン!?』
抑え込めないことを悟った宵無垢は、わざと全身の力を抜き吹き飛ばされることで距離を取りながら、吹き飛ぶ瞬間に致命の太刀で前足を斬りつけた。リュカオーンもこれは予想外だったのか、初めて聞く
「太刀が通る………ということは、サンラクが言っていた"負けイベント"では無いようだな?」
この瞬間、宵無垢はリュカオーンを"殺すことの出来る存在"と認識した。それと同時に―――
「だが、太刀から伝わったこの感覚………リュカオーン。
目の前の敵が、獣でないことも認識した………
ガキィン!!!!
「影…………というよりは
太刀と牙が、太刀と爪が、またはそれらの逆が。繰り返される攻防の中、宵無垢は語りかける。リュカオーンは何も示さない。示すのであれば、それは餌を狩るための戦いである。
「夜そのもの、ということは……お前は夜に溶けることも、夜から分身を作ることもできる筈だ。つまり、お前は俺を"本気を出すに値しない弱者"、もしくは"よく吠える餌"と認識している訳だ―――
巫山戯るなよ、犬風情が」
『ガルッ…………!?』
それは、
「
『………!!』
言いたいことを言い終えた、その時。リュカオーンが
「………謝罪、と受け取って良いんだな?」
『………グルァ』
「………ならば、続きと行こうか!!」
『グルオォォン!!』
そうして、止まっていた戦いが、また動き出す。それと同時に――
「がっ………!?やはり出来るじゃないか、
――宵無垢の真後ろを、帝王の尻尾が薙ぎ払った。
「分身の数に限りはあるのか?いや、それは今どうでも良い―――久しぶりに血が滾ってきた!!さぁ、もっと死合おうか!!【夜凪】!!」
夜を凪ぐと名付けられた回転斬りを放つ。が、その刃は空を斬る。そしてそこに、帝王の牙が襲いくる!!
「やはり駄目か………【流脚】!!」
牙が迫るその瞬間、流水のような蹴り技を放つ―――
『!!………グルゥアァ………「悪いが、
やったことは単純だ。蹴り技で地面が砕け、土塊等が舞い始めるその瞬間。煙と土塊で帝王の目を誤魔化し、宙に跳んだのだ。
「やはりこの体格差だとやり難くてな……かわりに、
言い終わったその時、太刀の鋒が素早い突き技となって帝王の左眼に突き刺さった。
『グルァァアァアア!!』
「ぐぁっ……!!流石の貴様でも、眼を潰されれば悶絶するか!」
即座に振り落とされようが、こんな程度では止まらない。
先程のレベル上げで身につけたスキルを惜しみなく使い、畳み掛ける。
「【返し斬り】、【天昇】、おまけで【流脚】、分身には【風車】ぁ!!」
『ガルァア!!』
リュカオーンが吠える。すると突然
「!?今の感じ………影移動か!!夜そのものなら納得だなぁ!!」
リュカオーンは強い。分身、影移動、何よりその身体能力。だが勝てないほどではない。現に今、宵無垢は回避不可の攻撃以外は捌けている。
「こんな
夜は、まだ明けない。
ガキィン!!! ダガァン!! ゴガシャア!!!!!
「ハァ、ハァ…………カハッ!!」
アレから
「コレだけやって…………殆ど無傷、かぁ………カカッ、ここまで言い訳のしようもなく負けたのは、お前が初めてで――
死にかけのこの身体でも、語ることならば出来る。故に………
「リュカオーン……お前の力からして、もしかするとお前も分身なのかもしれない……
言い切った少し後に、リュカオーンが行った行動――それは、宵無垢にとって予想外にも程がある行動で会った。
ペロンッ
「………んぁ?」
――舐めたのだ。先程まで殺し合いをしていた相手の頬を。
「………お前なりの労い、なのかね?まぁ良いか――さぁ、やってくれ」
宵無垢が願うその瞬間、黒狼の口が開けられた。
「(アァ…………コレが悔しいというものなのか………
意識が消えるのは、一瞬であった。
〔リュカオーンの
〚リュカオーンの影の戦闘記録を参照、条件達成を確認。特例で
〚リュカオーンの影からの要望を承認。PN:宵無垢に称号〘夜襲の影の好敵手〙を付与。〛
〚リュカオーンの影がユニークエネミークエストEX〘影狼は昇り、陽狼に転ず〙を開始しました。〛
リュカオーンの思念(影):夜襲のリュカオーンは強敵をこそ好む。なれど、己と対等に戦い、己が存在を唯一としてくれた好敵手を、リュカオーンの影は獲物として認識しない。そこにあるのは唯一つ―――今一度、彼の者との再戦を。
この思念は該当する夜襲のリュカオーンの影を打ち倒すことでのみ消すことができる。
・リュカオーンの思念(影)が付与された部位には防具及び武器の装備が不可となる。
・リュカオーンの思念(影)を持つプレイヤー以下のレベルのモンスターは一部を除き逃亡し、プレイヤーよりも高いレベルのモンスターはプレイヤーに積極的に攻撃を仕掛けるようになる。
・リュカオーンの思念(影)を持つキャラは他の呪いやバフに対して完全な抵抗を獲得する。
・リュカオーンの思念(影)を持つキャラはNPCとの会話で補正がかかる。
修羅の道を歩む者は、強さを得るか邪悪となるか………将又、全く違う道を歩むのか。ここに記せるのは唯一言―――夜は、まだ明けない。
作者の小説、どれが一番続きを読みたい?
-
初心者ゲーマー、武術チート(本作)
-
召喚"獣"って何だっけ
-
転生しました、新人です。