BLEACHの世界に転生したけど何故かステータス画面があるんだが   作:最強主人公2

5 / 5
天より降りし柱

瀞霊廷、護廷十三隊総隊舎。

 

「それで、虚の出現状況はどうなっている」

 

 一番隊隊長、山本元柳斎重國の問いに、報告役の死神が背筋を伸ばした。

 

「はっ。流魂街の複数の区域で、通常とは異なる行動を取る虚が確認されております。いずれの個体も、周囲の魂魄を無差別に襲うのではなく、特定の場所を目指して移動していたとのことです」

 

「特定の場所、ねえ」

 

 二番隊隊長、四楓院千日が口元に笑みを浮かべた。

 

「虚が獲物を選ぶこと自体は珍しくねえ。だが、ほかの魂魄を無視してまで何かを追いかけるとなると、少しばかり興味が湧くな」

 

「興味で済ませる問題ではない」

 

 三番隊隊長、厳原金勒が眼鏡を押し上げる。

 

「出現地点、移動経路、霊圧の特徴。現時点で判明している情報を整理しろ。曖昧な証言だけでは、対策の立てようがない」

 

「現在、調査を進めております。ただ、現場に到着した隊士が交戦した際、虚は周囲の魂魄には目もくれず、ある一点に執着するような動きを見せたとのことです」

 

「ならば、そいつを捕まえて聞けばいい」

 

 六番隊隊長、齋藤不老不死が楽しげに笑った。

 

「どこまで痛めつければ口を割るのか、試してみるのも悪くないでしょう?」

 

「生きたまま捕らえられれば、の話だがな」

 

 九番隊隊長、久面井煙鉄が手元の鉄棒を鳴らした。

 

「俺なら、出てきた端から叩き潰す。面倒なことを考える必要もねえ」

 

「それで何の情報も得られなかったら、ただの無駄死にだ」

 

 厳原が冷たく返す。

 

「敵の正体も目的も分からぬまま隊士を投入するのは愚策だ。まずは情報を集めるべきだろう」

 

「俺は強い虚と戦えるなら、それで構わねえがな!」

 

 五番隊隊長、尾花弾児郎が豪快に笑った。

 

「多少の犠牲が出ようが、戦果を挙げりゃ問題ねえだろう!」

 

「犠牲を出すこと自体は問題ではない」

 

 山本が静かに口を挟んだ。

 

「問題なのは、犠牲に見合う成果を得られぬことだ。敵を仕留めることもできず、情報すら持ち帰れぬ者に、戦場へ出る価値はない」

 

 その言葉に、広間の空気がわずかに張り詰める。

 

「使えぬ駒を守るために、使える駒を失うつもりはない。各隊長、そのつもりで指揮を執れ」

 

「相変わらず容赦がありませんね、総隊長」

 

 七番隊隊長、執行乃武綱が、皺だらけの顔に笑みを浮かべた。

 

「ですが、嫌いではありませんよ。役に立たぬ者が消えれば、残る者も少しは必死になるでしょうからな」

 

「ふふ……」

 

 十一番隊隊長、卯ノ花八千流が小さく笑った。

 

「虚が強ければ、私も出向いてみたいものです。久しぶりに、心から楽しめる相手と出会えるかもしれませんから」

 

「お前は何でも斬り合いに結びつけるな」

 

 四楓院千日が呆れたように言う。

 

「そうでしょうか?」

 

 八千流は穏やかに首を傾げた。

 

「私にとっては、それが何よりの楽しみですから」

 

 その笑顔に、誰も冗談を返さなかった。

 

 四番隊隊長、志島知霧は無言で報告書を眺め、八番隊隊長、鹿取抜雲斎は静かに腕を組んでいる。十番隊隊長、王途川雨緒時は帽子の角度を直し、十二番隊隊長、善定寺有嬪は喉の奥で不気味な笑い声を漏らした。

 

 十三番隊隊長、逆骨才蔵は、相変わらず気配を薄くしたまま座っていた。

 

 誰もが異なる思惑を抱いていたが、共通していることが一つだけあった。

 

 この十三人の前では、弱さは罪に等しい。

 

「引き続き調査を――」

 

 山本が言いかけた、そのときだった。

 

「た、大変です!」

 

 広間の扉が勢いよく開き、一人の死神が駆け込んできた。

 

 隊長たちの視線が、一斉に彼へ向けられる。

 

「何事だ」

 

 山本の声に、死神は慌てて膝をついた。

 

「空から……空から、天柱輦が降ってきました!」

 

 一瞬、誰も口を開かなかった。

 

「……天柱輦だと?」

 

 山本が目を細める。

 

「はい! 巨大な柱状の物体が空中に出現し、そのまま流魂街へ降下しました! 現在、周辺の住民が騒然としており、現場の隊士たちも状況を確認しているところです!」

 

「空から柱が降ってきた、か」

 

 四楓院千日が椅子から身を起こした。

 

「虚の妙な動きに続いて、今度は天柱輦。偶然にしちゃ、出来すぎてるな」

 

「現場の位置は?」

 

 厳原が尋ねる。

 

「流魂街の居住区にございます!」

 

「住民の避難を優先しろ」

 

 鹿取抜雲斎が口を開いた。

 

「正体も分からぬものが降ってきたのです。周辺に被害が出る可能性を考えるべきでしょう」

 

「正体が分からぬなら、斬って確かめればよいではないか」

 

 齋藤不老不死が立ち上がり、刀の柄に手をかける。

 

「中に誰がいようと、私が相手をしてあげますよ」

 

「勝手に動くな」

 

 山本の一喝に、齋藤は不満そうに頬を膨らませた。

 

「まずは状況を確認する。各隊、必要な人員を現場へ向かわせよ。相手が敵意を示した場合は、即座に排除して構わん」

 

 山本は、報告に来た死神を見下ろした。

 

「案内しろ。詳しい状況を、この目で確かめる」

 

「はっ!」

 

 隊長たちが次々と立ち上がる。

 

 天柱輦が何のために降ってきたのか。その中に誰がいるのか。

 

 この場にいる者たちは、まだ何も知らなかった。

 

     *

 

 ――ドォォォンッ!!

 

「うわっ!?」

 

 神代朔は、轟音と地響きに叩き起こされた。

 

 身体が跳ね、反射的に布団を掴む。壁がびりびりと震え、棚に置かれていた器が床へ落ちた。

 

「な、何だよ、今の……!」

 

 朔は息を整えながら周囲を見回した。

 

 見慣れない天井。薄い布団。窓から差し込む淡い光。

 

 ここは流魂街の診療所だった。

 

 両親を失ってから、どれほどの時間が経ったのか、朔にはよく分からなくなっていた。

 

 目を閉じれば、父の背中が浮かぶ。

 

 自分を庇った母の姿が浮かぶ。

 

 そして、二人が二度と帰ってこないという現実が、何度でも胸に突き刺さった。

 

「……お父さん、お母さん」

 

 小さく呟いた声は、誰にも届かない。

 

 そのとき、外から人々の叫び声が聞こえてきた。

 

「おい、空から何か落ちてきたぞ!」

 

「柱だ! とんでもなくでかい柱が立ってる!」

 

「いったい何なんだ、あれは!?」

 

 朔は顔を上げた。

 

 何かが起きている。

 

 そう感じた途端、じっとしていられなくなった。布団を跳ね除け、ふらつく足で床に立つ。身体はまだ重かったが、外の騒ぎが気になった。

 

 朔は診療所の戸を開け、外へ出た。

 

 そして、息を呑んだ。

 

「……なんだ、あれ」

 

 遠くの建物の向こうに、巨大な柱がそびえ立っていた。

 

 周囲の建物など比べものにならないほどの大きさだった。表面には複雑な紋様が刻まれ、柱の周囲では土煙が舞い上がっている。地面には大きな亀裂が走り、住民たちは遠巻きにその異様な光景を見つめていた。

 

 まるで、空から巨大な建造物が突き刺さったかのようだった。

 

 朔は呆然と立ち尽くした。

 

 こんなものが空から降ってくるなど、普通ではない。

 

 だが、尸魂界で普通ではないことが起きるのは、これが初めてではなかった。

 

 両親を奪った虚のことが、脳裏をよぎる。

 

 胸の奥が冷たくなった。

 

 また何かが起きるのだろうか。

 

 また、自分の知らないところで、取り返しのつかないことが起きるのだろうか。

 

 朔が柱を見つめていると、不意に周囲のざわめきが弱まった。

 

 柱の一部が、ゆっくりと開いていく。

 

 重々しい音が響き、内部の暗闇が露わになった。

 

 その奥に、何かが立っている。

 

 人影だった。

 

 朔は思わず息を止めた。

 

 影は、柱の内部からゆっくりと歩み出してくる。

 

 一歩。

 

 また一歩。

 

 やがて、その姿が外の光に触れようとした瞬間、朔の身体は凍りついた。

 

 誰なのか。

 

 何のために来たのか。

 

 何も分からない。

 

 ただ、その人物がこちら側へ一歩を踏み出したことだけは、はっきりと見えた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

転生したら初代護廷十三隊だった件(作者:宇川ゆうたろう)(原作:BLEACH)

なんやかんやで死んで転生したら初代護廷十三隊でした。原作開始まであと1000年!?長すぎんだよクソが!!▼初代護廷十三隊隊長の一人・王途川雨緒紀に転生してしまった主人公が、殺伐とした他メンバーにだんだん染まっていき倫理観×、霊圧◎、才能◎、斬魄刀◎、原作知識◎の圧倒的強さで敵を倒していくお話です。▼毎週火曜日19時に投稿してます。▼注:初代護廷十三隊メンバー…


総合評価:2345/評価:7.72/連載:14話/更新日時:2026年10月06日(火) 19:00 小説情報

卍解のその先を追い求めて。(作者:lalaland)(原作:BLEACH)

▼卍解が最終形態だなんて、誰が決めた。▼BLEACHの世界に転生した男が、斬魄刀とともに、その先を探して旅をする話。▼


総合評価:309/評価:7/連載:67話/更新日時:2026年10月09日(金) 23:20 小説情報

ワンパンマン世界で影の君主になった、サイタマは居なかった(作者:寝心地)(原作:ワンパンマン)

ワンパンマン世界に転生した主人公、しかし主人公であるサイタマは居なかった。▼主人公の居ない世界でそれでも手に入れたチート【影の君主の力(システム限定)】を使い迫り来る災厄に立ち向かう。


総合評価:506/評価:7.57/連載:29話/更新日時:2026年08月14日(金) 10:00 小説情報

絶対の先制(作者:幻影の塔)(原作:BLEACH)

護廷十三隊どこにでもいる平隊員、だがその実力は最強格あえて実力を隠し平穏に生きてる。これはしがない平隊員が、絶対の先制をもって敵を葬る物語である


総合評価:217/評価:5.33/連載:110話/更新日時:2026年10月04日(日) 03:40 小説情報

四番隊副隊長は夢を見ている(作者:逆ギレ伯爵)(原作:BLEACH)

護廷十三隊四番隊副隊長、榊花霊司。軽薄、軽率、そして軽佻浮薄な女好き。常に不真面目、あえて不真面目。書類の山から逃げ続け、女の尻を追い続ける。怒られたって変わらない、減給されたって変わらない。・・・少なくとも、この夢が覚めるまではね?▼*誤字脱字の精査とモチベ維持の為にAIを使ってます


総合評価:1411/評価:7.18/連載:12話/更新日時:2026年09月23日(水) 17:40 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>