曙光の艦隊   作:星乃 望夢

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第二十四話 束の間の凪

世界情勢の針は、霞ヶ浦で三者が冷徹に予期した通りの盤面へと進んでいた。

 

極東における日中戦争の電撃的決着と、山東半島の権益割譲の報せを受け、ワシントンのホワイトハウスに座すヘンリー・ルーズベルト大統領は激怒した。

 

米国政府は直ちに日本に対する「領土侵略国」のレッテルを貼り、屑鉄や航空用ガソリンを含む大規模な経済制裁を発動。さらに、あろうことか勝手に極東へ回航されて上海戦線へ介入した「反逆艦・空母ラングレー」の即時無条件引き渡しを、最後通牒の如き高圧的な外交文書で要求してきたのである。

 

だが――この米国の強硬姿勢に対し、日本政府および竜宮グループが返した回答は、完璧なしらばっくれと痛烈な外交的カウンターであった。

 

「我が帝国海軍の艦籍に存在しない民間の預かり船を、一体どうやって政府が返還しろというのか」

 

東京湾の竜宮警備の岸壁に堂々と横付けされているラングレーを前に、外務省は涼しい顔で「当該艦艇は一民間企業が国際法に基づいて一時保護しているに過ぎない」と突っぱねた。

 

さらに、山東半島の領有についても、

 

「先に鉄路を爆破して先制攻撃を仕掛けてきたのは中華側であり、我が国は自衛戦争の結果として正当な防衛権益を勝ち取ったに過ぎない。中華民国政府も正式に条約へ調印しており、第三国である米国がとやかく口を挟む筋合いはない」

 

と、米国の露骨な内政干渉とダブルスタンダードを痛烈に批判してみせたのである。

 

そして――ルーズベルトの計算を真に狂わせたのは、「大英帝国」の動向であった。

 

前世の歴史であれば、米国に追従して対日強硬路線を取り、ABCD包囲網の一角を形成したはずの大英帝国。

 

だが、バッキンガム宮殿の若きプリンセスが水面下で糸を引いており、何より竜宮一士という現役の「大英帝国勲功爵」が日本の実権を握りつつある現状にあって、ロンドン政府は早々に「極東紛争に対する中立」の立場へと舵を切ったのだ。

 

この英国の中立化がもたらした戦略的恩恵は、計り知れないものがあった。

 

米国の制裁をよそに、日本は中東(ペルシャ湾)の油田から産出される原油や、英領から産出される良質な石炭を、何食わぬ顔で正規輸入し続けることが可能となったのである。

 

さらに鉄資源においても、満州国の昭和製鋼所と、新たに勝ち取った山東半島の鉱山から無尽蔵の鉄鉱石を採掘できる体制が整い、不足分は中立国スウェーデンのキルナ鉱山から、ヴィッテンフェルト家の手引きによって破格の安値で買い叩いて運び込んでいた。

 

食糧に至っては、北海道再開拓事業のメガファームが本格的な収穫期を迎え始め、日本列島の胃袋を自前で支え得るサイクルが回り出していた。

 

米国の単独経済制裁など、痛くも痒くもない――日本経済は、封鎖を完全に嘲笑う形で極めて安定した自活体制を確立していたのだ。

 

だが――ルーズベルトにとって最大の悪夢となる決定打は、技術の領域においてすでに完成していた。

 

「……届いたぞ、カズシ」

 

竜宮警備の社長室で、クリームヒルトが分厚い技術特許の書類束を机の上に放り出した。

 

スウェーデンにあるヴィッテンフェルト家の秘密研究所から持ち込まれたその青写真――それは、前世のドイツが世界に誇った『人工精製石油』、そして『合成護謨』の最先端プラント技術であった。

 

国内の豊富に産出される石炭を高圧水素化処理し、ハイオクガソリンや重油へと化学変換するフィッシャー・トロプシュ法の近代化プラント。

 

そして、天然ゴムの輸入が途絶しても、ブタジエンからタイヤや吸音タイルをいくらでも量産できる合成ゴムの製造技術。

 

これらが房総半島の竜宮重工コンビナートへ投入された瞬間、日本は「石油」と「ゴム」という、近代総力戦における二大生命線を、完全に自前で賄える『不沈の工業国家』へと変貌を遂げつつあったのである。

 

(前世と同じように、石油とゴムで首を絞めれば、日本は干からびて暴発するか降伏する……とでも思っているのだろうがな)

 

房総のコンビナートから立ち上る蒸気を見つめながら、竜宮は銀縁眼鏡の奥で冷ややかに口角を吊り上げた。

 

かつて日本を破滅へと追い詰めた「資源の欠乏」という最大の首輪は、すでに木っ端微塵に粉砕されている。

 

自分たちが振りかざしている経済制裁という伝家の宝刀が、いまや刃こぼれした錆びたナイフに過ぎないという真実に、ホワイトハウスのヘンリー・ルーズベルトは、まだ何一つ気づいていなかった。

 

 

◇◇◇

 

 

戦争というものは、始まる前でも、血で血を洗う最中でもなく――すべてが終わった後の始末こそが、最も過酷で骨の折れる現実を突きつけてくる。

 

消費された膨大な弾薬の再生産、擦り減った銃身や砲身の換装、タンクを空にした航空燃料や重油の再備蓄。

そして何より――この世のどこを探しても「人が一人も死なない戦争」などという甘美な絵空事は、リアルな現実の戦場には存在し得ない。

 

上海の電撃戦を担った第302哨戒警備中隊は、最新鋭の防弾チョッキとタクティカルモジュールの強固な装甲、そして精密な戦術データリンクに守られ、かすり傷程度の軽傷者こそ出したものの、奇跡的にも「戦死者・重傷者ゼロ」という完全な生還を果たしていた。

 

だが――大高の手綱が届かず、開戦直後に日清戦争の幻影を追って華北の荒野へ突き進んだ帝国陸軍の正規部隊の損害は、目を覆いたくなるほど凄惨なものであった。

 

どれほど過酷な訓練を積み、愛国心に燃える若き将兵であろうと、敵のトーチカが吐き出す機関銃の十字砲火の前へ、旧態依然とした「銃剣による正面突撃」を敢行させれば、生身の肉体などただの標的に過ぎない。

 

失われた数千の命は二度と戻らず、傷つき不具となった兵たち、そして残された遺族へ支払われるべき見舞金や恩給、遺族扶助料の財政負担は、国家の国庫にとっても頭の痛い巨額の数字となって重くのしかかっていた。

 

(……無能な指揮官が流させる兵の血ほど、高くつく浪費はない)

 

深まりゆく秋の冷たい風が吹き抜ける九段坂の石畳を踏みしめながら、竜宮は銀縁眼鏡の奥で静かに目を伏せた。

 

その日、九段の杜――靖国神社の境内には、この国の命運を握る四つの影が集結していた。

 

陸軍中将・大高弥三郎。

 

海軍少将・高野五十六。

 

民間実業家にして大英帝国勲功爵・竜宮一士。

 

そして、皇族にして帝国斯衛軍総帥・鴻上昴。

 

軍服に身を包んだ大高と高野、濃紺の上着の胸に英国勲章の略章を光らせる竜宮、そして気高き紫の礼装を纏った昴。

 

陸、海、民、そして皇室の頂点に立つ四名は、拝殿の前に並び立ち、今次の支那事変において散華した名もなき同胞たちの御霊へ向けて、深々と頭を垂れた。

 

拍手の乾いた音が、静まり返る境内の玉砂利に吸い込まれていく。

 

大高の握りしめた拳は、微かに震えていた。

 

兵站を軽視し、精神論で兵を死地に追いやった陸軍の旧弊。

 

自分が中将の座にありながら、開戦の初動で彼らを救い切れなかったことへの痛烈な悔恨が、将軍の背中を重く打ち据えていた。

 

高野もまた、静かに目を閉じ、前世において自らが死地へと送り出してしまった幾万の英霊たちの面影を、今次事変の戦没者たちに重ね合わせて祈りを捧げていた。

 

そして、竜宮の胸にも去来するものがあった。

 

前世の令和において、補給を断たれ、正規軍に見捨てられ、それでも目の前の民と仲間を守るために散っていった「民大将」としての記憶。

 

命を道具のように使い捨てる国家の傲慢さを、誰よりも憎んできたからこそ、この靖国の杜に眠る魂たちの無念が、痛いほど胸を抉った。

 

「……もう、二度と無駄な血は流させない」

 

隣で小さく呟いた鴻上昴の横顔には、少年皇族の甘さは微塵もなく、同胞の命を背負う者たる烈烈たる覚悟が宿っていた。

 

拝殿を吹き抜ける木枯らしが、四人の上着の裾を揺らしていく。

 

大陸の泥沼は切って落とした。 だが、世界大戦という名の巨大な業火は、確実にすぐそこまで迫っている。

 

散っていった英霊たちの魂を背負い、二度とこの国を焦熱地獄で焼き尽くさせず、一人でも多くの同胞を生きて故郷の土を踏ませるために――。

 

九段の神前で交わされた無言の誓いは、四人の胸の奥底で、何者にも折れぬ強靭な鋼となって焼き固められていた。

 

 

◇◇◇

 

 

靖国神社での厳粛な参拝を終えた翌日の夕刻、竜宮は久しぶりに実家の門をくぐっていた。

 

旧制中学を卒業してからというもの、東京湾のプラント造成、北海道の大開拓、静岡の震災救援、二・二六事件、そして上海への電撃強襲――あまりにも目まぐるしい歴史の激流に身を投じていたため、同じ関東の地元に拠点を構えながらも、実家にはろくに顔も見せられていなかったのだ。

 

「……ただいま」

 

ガラガラと引き戸を開けると、鼻腔をくすぐったのは、古い畳の匂いと、台所から漂う醤油の焦げる懐かしい香りであった。

 

玄関の上がり框に腰を下ろしながら、竜宮はふっと苦笑いを漏らした。

 

竜宮グループのCEOとして、手元にはスイス銀行の巨額口座があり、国内の財閥を脅し上げて莫大な資産を動かす身である。

 

両親に豪邸を買い与え、生涯遊んで暮らせるだけの財産を丸ごと抱え込むことなど、赤子の手をひねるより容易いことであった。

 

世界恐慌の荒波が吹き荒れるこの時代において、それは誰にとっても喉から手が出るほど羨むべき境遇のはずであった。

 

だが――大黒柱である実父は、絵に描いたような生真面目と頑固を絵の具で塗り固めたような男であった。

 

かつて竜宮が事業を興し、大金を実家へ差し出そうとした際、父は眉を吊り上げて一喝したのだ。

 

「いくら世間が不況で飯が不味かろうと、まだ独り立ちしたばかりの息子の稼ぎに親が集るなど、男末代までの恥だ!そんな真似をしては、墓の下のご先祖様にどの面下げて顔向けができるか!」

 

大金持ちの親になれる絶好の機会を、父親としての誇りと意地だけであっさりと突っ撥ねてみせたのだ。

 

結局、父親のプライドをへし折らぬよう竜宮が妥協して送り続けていたのは、毎月普通に使えば「半月」ほど食いつなげる程度の額――前世の金銭感覚で言えば、4万円前後の控えめな仕送りだけであった。

 

だが、竜宮はその頑固な父親の気骨が、決して嫌いではなかった。

 

「……一士かい!?」

 

奥の台所から、前掛けで手を拭いながら駆け出してきた母親が、驚きに目を丸くした。

 

居間のちゃぶ台の向こうでは、新聞を広げていた父親が眼鏡の端からちらりと竜宮を見やり、「……帰るなら電報の一本くらい打て」と、ぶっきらぼうに呟いた。

 

「すまない、忙しくてなかなか連絡できなくてね。――父さん、母さん。今日はちゃんとした報告があって帰ってきたんだ」

 

竜宮は居間に上がり、正座して居住まいを正すと、持参した風呂敷包みの中から豪奢な深紅のビロード箱と、英国王室の紋章が刻まれた羊皮紙の任命証書を、ちゃぶ台の上へと静かに置いた。

 

「これ……何だい? 英語が書いてあるけど……」

 

母親がおずおずと箱を開け、銀色に輝く大英帝国勲章に息を呑む。

 

「大英帝国……イギリスの王室から、正式に『勲功爵』を授かったんだ。……これからは、一応『竜宮卿』と呼ばれる身分になる」

 

「き、騎士……!? イギリスの貴族になったって言うのかい!?」

 

母親が悲鳴のような声を上げ、父親は咥えていた煙草を取り落として目を白黒させた。

 

町工場の息子が、いきなり大英帝国の貴族に叙任されたのだ。

 

平民の小市民である両親にとって、それは天変地異よりも理解の範疇を超えた超現実の出来事であった。

 

「……お前は、一体どこまで遠くへ行くつもりなんだ」

 

絶句ののち、父親が絞り出すように呟いた。

 

その声には、息子の出世に対する戸惑いと、どこか手の届かぬ高みへ行ってしまった我が子への寂しさが滲んでいた。

 

竜宮は銀縁眼鏡を押し上げ、優しく首を横に振った。

 

「どこへも行きませんよ。私はどこまで行っても、父さんと母さんの息子です。……それに」

 

竜宮はふっと、十七歳の少年の素顔に戻って笑った。

 

「久しぶりに、母さんの作った大根の煮付けと味噌汁が食べたくなってね」

 

その一言に、母親は顔をくしゃくしゃにして笑い、慌てて台所へと駆け戻っていった。

 

「すぐ作るよ! 一士、今夜はたくさん食べなさい!」

 

やがてちゃぶ台に並んだのは、湯気を立てる炊きたての白米と、少ししょっぱい油揚げの味噌汁、そしてじっくりと味の染みた大根と鰯の煮付け。

 

一流ホテルのディナーでも、各国の軍隊のレーションでも味わえない、素朴で温かい「おふくろの味」であった。

 

父が黙って注いでくれた地酒を少しだけ舐め、箸を動かす。

 

その素朴な温もりに触れながら、竜宮は胸の奥底で静かに決意を新たにしていた。

 

守るべきものは、大仰な国家のイデオロギーなどではない。

 

この温かいちゃぶ台の団欒であり、路地裏で生きる市井の人々のささやかな日常なのだ。

 

満腹の腹をさすりながら、竜宮は柔らかな布団に身を沈め、激動の未来を前にした、束の間の安らかな眠りへと落ちていった。

 

 

◇◇◇

 

 

同じ時期に、同じ大陸の土を踏んで陸上戦を戦ったというのに――帝国陸軍と、竜宮率いる第302哨戒警備中隊との間に生じた「被害の落差」は、報告書を読んだ大高弥三郎と高野五十六を戦慄させるに十分なものであった。

 

華北の荒野において、第一次世界大戦の亡霊に囚われたまま「大和魂」と「肉弾白兵突撃」を叫び、敵の機関銃と重砲の前に数千の将兵を挽き肉に変えさせた帝国陸軍の旧態依然たるドクトリン。

 

対して、上海の軍令部において、濃密な十字砲火、硬質ゴム弾と高圧放水、そして神速の戦術データリンクと複合装甲の盾を駆使し、敵の三個師団を完膚なきまでに叩きのめしながら「戦死者ゼロ」で切り抜けてみせた第302中隊。

 

「……精神論で銃剣を振り回せば勝てるなどという寝言は、昨日限りで完全に葬り去らねばならん」

 

陸軍中将・大高弥三郎は、陸軍省の執務机を激しく叩き、陸戦ドクトリンの抜本的かつ全面的な見直しが国家存亡の急務であると痛感していた。

 

兵の命を羽毛のように使い捨てる軍隊に、近代総力戦を戦い抜く資格などないのだ。

 

そして――それは海軍航空本部長たる高野五十六にとっても、全く同じ危機感であった。

 

海軍においても、島嶼部の防衛や敵前上陸、港湾拠点の奪取を担う戦力として、従来のやっつけ仕事のような「陸戦隊」ではなく、米国の海兵隊や強襲部隊に匹敵する、高度に専門化された「海軍特戦隊」の編成を強く構想していたからである。

 

陸軍の歩兵操典の近代化。

 

そして、海軍特戦隊のゼロからの創設。

 

その巨大な改革を断行するにあたり、教導官として白羽の矢が立ったのが――他でもない、東京湾に駐留する竜宮の私設軍団、第302中隊であった。

 

それもそのはずであった。

 

いま竜宮の足元に集結している猛者たちの「前世の履歴書」は、近代・現代戦の軍事専門家が見れば卒倒しかねない狂気のラインナップであったのだから。

 

極限のサバイバル訓練を修了し、蛇や蛙を喰らいながら単身で敵陣深くに潜入する陸上自衛隊の「レンジャー」徽章保持者たち。

 

「精鋭無比」の看板を掲げ、常人なら失禁するような高度から夜間低高度降下を平然とこなし、仲間内からは畏敬と半ばの呆れを込めて「第一狂ってる団」とすら呼ばれた陸自最精鋭――「第1空挺団」の出身者たち。

 

さらには、米軍空母ラングレーや英空母ハーミーズから合流した連中の中には、敵前強襲のプロたる米海兵隊はもとより、映画のランボーやコマンドーを地で行くような、ジャングル戦と不正規戦の悪魔たる元「グリーンベレー」のベテランまでが平然と混ざり合っていた。

 

つまるところ――この照和十二年の地球上において、およそ考え得るあらゆる「近代陸戦・特殊作戦のエキスパート」が、竜宮の号令一つで動く私設部隊の中に、余すところなく雁首を揃えていたのである。

 

「……竜宮提督。頼みがある」

 

霞が関の海軍省地下、大高と高野の二人が並び立ち、竜宮へ向けて深々と頭を下げた。

 

「我が陸軍の青年将校や下士官の選抜組、そして海軍が新設する特戦隊の第一期生を……貴殿の部隊へ預けたい。あの軟弱極まりない精神論を叩き壊し、本物の『近代戦の戦い方』を、骨の髄まで叩き込んでやってはもらえないだろうか」

 

陸軍中将と海軍少将からの、破格極まる合同教育の要請。

 

その頭を下げる二人の巨頭を見つめながら、竜宮は銀縁眼鏡のブリッジを押し上げ、獰猛なインテリヤクザの笑みを口元に浮かべた。

 

「いいでしょう。……ただし閣下方、ウチの教官連中は前世で地獄の底を這いずり回ってきた本物のロクデナシばかりですよ」

 

竜宮は白手袋の指をパチンと鳴らした。

 

「竹槍とバンザイ突撃しか知らん帝国軍人の坊っちゃんたちが、初日の午前中で泣き叫んで逃げ出さないよう、せいぜい胃薬でも持たせて送り込んでください。……死ぬより辛い現代戦のブートキャンプで、根こそぎ『最強の兵隊』に仕立て直して差し上げますよ」

 

「……うむ。頼もしい限りだ。手加減はいらん、徹底的に叩きのめしてくれ」

 

大高が苦笑混じりに頷いた。

 

精神論の檻に囚われた帝国陸海軍の肉体改造。

 

前世のレンジャー、空挺団、そしてグリーンベレーの悪魔たちが、照和の軍人たちを本物の近代戦士へと生まれ変わらせるための、狂瀾の「地獄の教導作戦」が、いま静かに幕を開けようとしていた。

 

 

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