うちに転移してきた魔女がエロゲ出身すぎる 作:匿名希望
想起されられるは先日の出来事。
魔女協会にて一晩過ごした後に、俺の布団に潜り込んでいた千里と会長さんの胸を全力で触ってしまったあのとき。
千里のそれをマシュマロに例えるなら、会長のそれは低反発のクッションのような気持ちよさがあった。
「……もちろん、その力の持ち主は君だ。使い道は君が決めればいい」
会長さんが追加で一言、そう添える。
あくまで強制はせず、俺に選ばせるつもりらしい。
「……」
脳内には二つの選択肢が浮かんでいる。
一つは簡単。
このまま何も考えずに会長さんの手を取ること。
昨晩、事後の千里に言われた通り、遠慮せずに俺の力を貸す。
最もシンプルな選択肢だ。
だが、人間言われたからと言ってそうも簡単に割り切れるわけではない。
そのための二つ目。
もう一つの選択肢は、そんな人間的葛藤と状況の解決どちらをも図ることができる代わりに、味方によっては俺の社会的地位が失墜しかねないもの。
それは……3P作戦。
千里に引け目を感じているならば、その千里も混ぜてしまえばいいんじゃないか? という、およそ常人には考え付かないであろう手法。
え? 会長さんの手を取らないって選択肢はないのかって?
そりゃ、ないさ。
据え膳食わぬは男の恥。
もう二十四にもなれば、行為一つにそんな大きな意味を見出さないからな。
ラノベ主人公みたいに高校生的価値観でばかりじゃいられんよ。
もちろん、交際していたり、配偶者がいる場合は話が別だ。
葛藤の末、俺は——
「……フェル、ちょっとこっちに」
複雑そうな表情でうつむいている千里を呼ぶ。
「……え? わかった」
不思議そうな顔でこちらに数歩歩み寄る千里。
「誠治君、君は中々欲張りなようだね?」
そして、そんな俺の意図を察してか、面白そうな顔をする会長さん。
「来、たけど……私、ここにいる必要あるかしら?」
「ふふっ、フェル。素直になっていいんだよ?」
「——! ち、違っ……わないですけど……」
「さぁ、誠治君。私たち二人を並べて、どうするつもりかな?」
不貞腐れたような千里を会長さんが弄りながら、会話をこちらに振ってくる。
数歩分後ろで、ロスティはぽかんと口を開けたまま、固まっていた。
「これが、俺なりに考え抜いた、誰も傷つけない選択です!」
言いながら、手を伸ばす。
もちろん、その手の向かう先は、夢と希望の詰まった二つの谷間の中だ。
「えっ!? ひゃん♡」
「んぅっ♡」
驚き、素の嬌声を漏らす千里と、待ちわびていたかのように、ビクンと肩を跳ねさせて俺の手を受け入れる会長さん。
「せ、誠治……あなた……♡」
「ふふっ、んぅ♡ 良かったね、フェル♡」
「……遠慮しなくていいって、言ったのにっ♡」
「悪いな。配慮を無下にしちまって。だけど、こうした方があと腐れないと思ったんだ」
「んっ♡ ふっ♡ なんだか、おかしな気もするっ♡ けど、嬉しい、わ♡」
「私としてはっ♡ 少し、複雑なんだけどね?」
「別に会長さんだけじゃ物足りないってわけじゃないですからね?」
「ふふっ、言わせてしまったかな? ぁん♡」
ギルドや九重について、重要な情報を得られるかもしれない、と張りつめていた空気はすっかり消えて、二人の美女が乱れ、気持ちよさそうに体をよじる姿だけが広がる。
「ね、ねぇ、誠治♡ 片側だけじゃ……その……」
「……こらこらフェル。気持ちはわかるよ。分かるけど、今の、本来の目的は、ね?」
「あっ! ……すみません」
「いや、気持ちはわかるよ、本当に。ということで誠治君。今から、二人のことを視るから、私のもう片側も触ってもらえるかな?」
「会長! 抜け駆けはずるいですよ! 誠治、私もお願い」
「ああ」
なんだか貞操観念がおかしくなりそうだが、ここまで積極的に来てもらえると、こう、男的には満たされるものがある。
相手が満足しているかどうか、という点は人類史上から続く、永遠の課題だからな。
会長さんが二人のことを視やすいように体勢を変えてから、手を入れ替えて、もう片側の山へ突入する。
「ぁんっ♡ 焦らされてたからっ♡ いいぃっ♡」
「気持ちよくて♡ 魔力も増幅するのだから♡ 誠治君は悪い男だ、ねっ♡」
二人の男の額に手を当てるために、全身を俺に預けている会長さんの腰が俺の腰の上でビクビクと震えている。
その腰の位置がもう少し下だったら、かなり危なかっただろう。
ただ、ギリギリで暴走を抑えられたのは、眼前に見える会長さんが声と身体では悦びつつも、その目にはまるで青い光を宿したかのような真剣な瞳をしていたからだった。
「なるほど、ね♡ そういう、こと……♡」
そうしてしばらく、マシュマロと低反発クッションを弄んでいれば、会長さんがおもむろに口を開いた。
「会、長……♡ 視え、ましたか……?」
「うん♡ 視えて、来たよ♡ 誠治君、もう少しなんだ♡ 思い切り、頼めるかな♡」
「誠治ぃ♡ 私も、んっ♡」
そして俺は二人を——
「「イッッッ——♡」」
◇◇◇
ぐったりと伸びた二人の体重を全身に感じながら、俺も仰向けに倒れる。
肌触りの良いカーペットが心地いい。
そんなことを考えながら、何気なく、倒れたまま首を上げてみれば——。
「な……あ……」
そこでは、依然立ち尽くしたままのロスティがこの世のものではない、なにかとんでもないものを見てしまったとでも言うような顔をしたまま立ち尽くしていた。
「……あ、その、ロスティ。今のは、その、だな。必要に迫られたってだけで」
そんな顔を見せられては、言い訳をしないわけにもいかず……。
俺は千里と会長さんが自分に覆いかぶさった体勢のままで言い訳を試みた。
「う、う、うわぁぁぁぁぁぁぁん!!! や、やっぱり誠治さんはドスケベ変態エロ魔人ですぅ!! それにフェルも会長も私の前であんなに……破廉恥すぎますぅぅぅぅ!!!」
だが、当然、そんな体勢での言い訳が通じるはずもなく、ロスティは悲鳴にも似た絶叫を上げながら、その場にへたり込んでしまった。
……くそぅ、なんとなく妹的存在感のあるロスティに拒絶されるとなかなかのダメージを負う。
この体勢でさえなければ……え? 体勢の問題じゃない?
と、一人脳内コントを繰り広げていれば、俺の身体からゆっくりと二人分の重さが離れていく感覚があった。
「はぁ……はぁ……視えたよ、三人とも」
「ふぅ…………本当ですか、会長?」
体の力が入らなくなっていた二人がゆっくりと身体を起こし、そう言う。
「ああ、ロスティも聞いてくれるかい?」
「……」
立ち上がり、乱れ切った服を整え、シャツのボタンを留めなおした会長さんがロスティに歩み寄り手を差し出す。
すると、ロスティは無言ながらもその手を取った。
「ありがとう、ロスティ。じゃあ、フェルと誠治君もそっちに掛けて。視えたものの話をしよう」
「……会長、この二人はどうするの?」
「……ああ、そうだったね。……フェル、悪いんだけど、頼めるかい?」
「まあ、そうですよね。なるべくお互いが離れた場所に放り出しておきます」
「うん、お願いするよ。魔力は大丈夫?」
「はい。誠治のおかげで」
「そっか……じゃあ、頼むよ」
ソファに掛けた俺の横でそんなやり取りをした後、千里は未だに眠ったままの二人の男を連れてどこかへ転移していった。
「捕えておかなくていいのか?」
「うん。これは記憶を視て分かったことだけど、彼らはギルドの末端だった。それもどうやら金に釣られて加入しただけのほとんど力も持たない魔法使いだったみたいだから。ここに置いておいても意味はないよ」
「力を持たない魔法使いってどういうことだ? 魔力量が少ないってことか?」
「うん。本来の意味はそうだね。けど、今回に限っては違うよ」
「え?」
俺たちの会話に、黙ってうつむいていたロスティが思わずといった様子で声を上げた。
「ロスティもまだ気づいていなかったようだね。フェルは分かったみたいだからやっぱり彼女の魔力探知能力は優れているよ」
「一体どういうことなんだ?」
「彼らはね、魔力を消されていたんだよ。身体の中から。それも、まるで抉り取られるみたいにね」
「……?」
「——!?」
俺がよくわからない、と首を傾げてロスティの方を見れば、彼女はどういう訳か酷く驚いたかのような顔をしていた。
「……ふぅ。この続きについては、フェルが戻ってきてからにしようか」
「……そ、そんな……まさか、あの魔女が」
深く腰を掛けて、ため息を吐く会長さんと、まるで怯えるかのように肩を震わせるロスティ。
そんな状況に、俺はただただ戸惑うしかなかった。
◇◇◇
数分もしないうちに千里が戻ってくる。
「お帰りフェル。どの辺に捨ててきたか聞いてもいいかな?」
「ただいま。一人は大型商業施設の屋上の陰になってるところ。もう一人は公園の木陰に置いてきたわ」
「なるほど、優しいね。それこそ山奥にでも捨ててきても良かったのに」
「嫌よ。あのまま何日も目覚めなかったら、彼ら死ぬじゃない。誰かが見つけて保護してくれるかもしれないところがちょうど良かったの」
戻ってきて早々物騒な会話が繰り広げられたが、どうやら彼らも死ぬわけではないらしい。
良かったな?
「さて、じゃあ、改めて人員も揃ったことだし、私が視たものについての話をしようか」
会長さんが話を切り出すと、弛緩していた空気が一気に張りつめる。
俺はそんな空気に飲まれ思わず生唾を飲み込んだ。
「フェルがいない間に二人には言ったし、フェルは気付いているようだけど、改めて、彼らは
「ええ、そうだったわね。道理で私の魔力探知が機能しなかったわけだわ」
確認の意も込めて、会長さんがもう一度その件に触れた。
「なあ、その魔力を消すってどういうことなんだ? そんなことができるものなのか?」
「いや、出来ないよ。普通はね」
「ええ。でも、一人だけ、それが可能な人物がいるのよ」
「その人物って?」
「——消却の魔女」
俺の質問にロスティが答えた。
その表情は蒼白で、今にも倒れそうなほどになっている。
まるで、その名を口にするだけでも恐ろしい、というかのように。
「消却の魔女?」
「ええ、つい二年ほど前まで、私たちの業界を騒がせていた史上最強の魔女よ」
「消却の魔女、またの名を魔法殺し。彼女はその名の通り、魔力そのものを消すという魔法を持っているとされているんだよ」
会長さんの口から語られたのはとんでもない話だった。
その消却の魔女とやらは、二年前突如として姿を現したかと思えば、流れやギルド、魔女協会に関係なく魔法使いたちを襲いまくり、そして一年もしないうちに姿を消したらしい。
ちなみに、襲われた魔法使いたちはみんな揃って魔法能力を失い、二度と目を覚まさない、なんてことはないにせよ、それまで当然のものとして扱っていた魔法は二度と使えなくなったんだとか。
そりゃ、そんな無差別殺人みたいな魔女、ロスティが怯えるのも当然だなと思う。
「ロスティが単身で任務をこなしにくくなったのも彼女の存在があったからだよ。それでロスティは特に消却の魔女を忌避しているんだよ」
「なるほど……。それで、じゃあ、今回のさっきの男たちはそんな消却の魔女に二年ぶりに狙われたってことなのか?」
「まあ、そういうことだね……」
「……」
一瞬の沈黙。
その間に会長さんと千里の間では何やら視線のやり取りが行われていた。
その視線はある種の確認と、俺への気遣いのようなそんな感情が込められているように感じられた。
「ねぇ、誠治。落ち着いて聞いてね」
すると、意を決したように千里がこちらを見て口を開く。
「? おう。俺は落ち着いてるつもりだが?」
急にどうしたのだろうと、少し身構えながら答えた。
「……」
再びの沈黙。
だが、その間は一瞬にも満たず、今一度、千里が口を開いた。
「その、消却の魔女のことなんだけど……」
「ああ」
「……消却の魔女の正体は——あなたの後輩。九重悠月さんよ」
「………………は?」