付喪神の戦車道   作:Верный510

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 前話でチハの位置がわからない人もいたと思うので、ここで言わせてもらおう。
 主に作者である私の書き抜けの尻拭いで申し訳無い。

 チハは斜面にいる。上の方に陣取って、打ち下ろす感じだ。
 そもそも周りに斜面とか無いだろ……とか私でも思うのだが、まぁ仕方なしということで見逃してくれ。

 あとよくよく調べたらエンジンハッチではなく吸気口でした。(修整済み)


【運用】

 綺麗な放物線を描いて、砲弾が突き刺さる。

 そして爆発。どうやら見事撃破判定をつかみ取ったらしい、白旗が上がった。

 これには教官……つまり、蝶野教官も驚いた。

 

「なんて言う射撃精度……」

 

 そう、チハの命中精度は桁外れだ。

 吸気口は戦車の弱点ではあるが、まず狙うのが難しい。ましてやM3リー中戦車の吸気口は車体後部の上面にあり、さらに砲塔付近に存在する。

 いくら上からの撃ち下ろしとは言え、弾道が少しでもズレたら撃破判定はできない。

 

「……」

 

 一方でチハは特段反応もせず、砲弾を装填するために車内へと戻って行った。

 その隙に、IV号戦車は他の車両を次々と撃破、全ての車両に白旗を上げさせた。

 

「……」

 

 キューポラから少しだけ出て、チハはIV号戦車の様子を確認する。

 どうやら対戦車両がいなくなったことで、渡り切るのではなく戻って来たらしい。

 あのまま行ってくれたらチハは橋に砲撃してIV号戦車ごと落とすことができたのだが、残念ながら無理だ。

 

「……行くよ」

 

 エンジンが唸りを上げ、一気に加速する本体。

 気付かれない内に車体後部へ接近し、一撃を加えようとしたのだ。

 だが、相手も素人とは言え反応するし、対策もしてくる。

 

 すぐ気付かれた。

 IV号戦車は砲塔と車体を同時に旋回させ、九七式中戦車に照準を向ける。

 車体はちょうど後部を守るように動かしているあたり、相手の車長は有能だ、とチハは思う。

 そして、IV号戦車から砲撃が飛んでくる。

 

「ッ……!」

 

 チハはここで無茶なことをした。

 右履帯をロックして向きを変え、即左履帯ロック。そしてそのまま慣性で滑らせたのだ。

 何故かこの世界だと身軽に動ける。それを利用した動きだ。

 

 本体の吸気口のすぐ上を、砲弾が通り抜けていく。

 そのまま滑ってIV号戦車の近くまで来て止まる。

 そしてチハは、左側面から回ってIV号戦車の後部を目指そうとした。

 

 が、そうはならなかった。

 

 九七式中戦車のサスペンションはシーソー式。上下の衝撃には強いが、横方向からの衝撃には弱い。

 そして、チハが行ったのは横滑りである。

 いくら自重が軽いとは言え、構造自体は変わっていない。それどころか80年近く未稼働で放置されていたのだ。

 その状態で負荷をかけたら、そりゃ壊れる。

 

 チハの位置は、ちょうどIV号戦車の前面。

 貧相な旧砲塔ではまず貫通できない。

 そして相手はもう装填を終えているだろう。装甲の薄い九七式に防ぐ術などない。

 

 車載重機関銃も、この状態だと意味が無い。

 

 して、チハが取った行動は……。

 

「降参するであります!」

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