聖グロリアーナとか言う相手への作戦会議の時、チハは志願した。
「伏撃するには火力の高い車両が必要です。
ならば、火力の低い私が行くべきでしょう」
「……」
陣形を維持しながら進む相手の車両を、チハは高所から視認していた。
名前は全く覚えていないが、試合開始時の挨拶の時と同じ数の車両が確認できた。
ちなみに作戦会議の時に車両について聞いていたのだが、適当に流してしまっている。
「……釣られるかな」
とりあえず大まかに狙いをつけ、砲撃する。
そして後退し、チハは車内に入り榴弾を装填、そのまま射撃し、弾種を変えつつ繰り返し射撃する。
旧砲塔の57㍉は弾速が遅い。上手く角度を変えれば、2発同時着弾だって可能だ。
恐らく、相手はこちらを2両以上だと誤認するはず。
少し前進して様子を見る。
見事こちらに陣形を向け、進んできていた。
ーーーー
砲撃が本体のすぐ脇を掠めて着弾する。
砲頭のすぐ上を砲弾がかっ飛んでいく。
そして上がる土煙。
ジグザク走行を続けながらチハは車内に入り、砲塔後部の機銃で応戦をしていた。
勿論、撃つのではなく弾倉交換としてである。
機銃弾はペチペチと弾かれ、あまり意味は無い。
現在、チハは付かず離れずの距離を維持しながら走行している。
もし撃たれたら即死だが、いざとなれば速度で引き離すことができるし、撃たれても回避行動でそうそう当たらない。
『あー、あー、こちらチハであります。
そろそろ伏撃地点に着くので準備願います』
無線を使い、大洗チームに報告をするチハ。
しかし、一体何人が聞いたのだろう。
伏撃地点に近づき、一気に増速して距離を離すチハ。
勿論相手車両も増速するが、九七式には性能的な問題で追いつくことができない。
付かず離れずの距離を維持していたのは、このためだ。
しかし、伏撃地点に入った途端あろうことか味方から砲撃を受けた。
そのおかげで、相手に伏撃がバレてしまったのである。
「何をするでありますか!?」
思わず、無線ではなく大声で怒鳴るチハ。
エンジンの音で聞こえないと思うが、怒鳴らずにいられなかったのだ。
無論相手にバレた伏撃など通用するはずもなく、相手の車両が左右に分かれ進行してくる。
チハも砲撃するが、命中こそすれど効果は無い。
タ弾を使ってもいいのだが、正面から抜けると確信できないので、温存しておく。
『履帯を狙ってください!』
無線から指示が聞こえ、その通りにチハは狙いを定める。
砲撃。しかし、ちょうど敵車両は窪みに入ったらしく、履帯よりすぐ上に着弾。弾かれた。
しかし、相手の砲撃はいとも簡単にこちらを倒す。
隣にいたM3リーから搭乗員が降りてしまい、撃破された。
敵前逃亡だし砲弾が飛び交ってる中の脱出は危険だろうとチハは思った。あと濃い桃色にしているし。
『Bチーム、Cチーム、Fチーム、ついてきてください!』
無線から指示が聞こえ、後退するチハ。
どうやら場所を変えるらしい。それと、新たな作戦名を言っているから戦術も変わるようだ。
向かうは市街地。
大洗の街で戦うようだ。
ツギハギ感の正体が分かった。
展開を急ぎすぎているからだ。