付喪神の戦車道   作:Верный510

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『楽しそうだね、お姉ちゃん』
「……何も」


【奇襲】

 ガコン、とタ弾を装填する。

 現在市街地にて潜伏しているが、敵車両が見つからないまま今に至る。

 

 現在、敵は緑のやつ1両と、さっき1両撃破されて減った砂漠色が4両。合計5両。

 対してこちらは私とIV号、38(t)の計3両。

 圧倒的に不利だ。

 

「……エンジン音」

 

 チハの耳が、数台から聞こえるエンジン音を捉えた。

 どうやら誰かが追われているらしい。不自然な音の移動だ。

 チハは音を追うために、移動を開始する。

 

ーーーー

 

 行き止まりにIV号が追い詰められているのが見えた。

 IV号は絶体絶命だが、相手はこちらを一切見ていない。完全に無防備であり、好機だ。

 

 静かに砂漠色の車両へと砲身を向け、砲塔と車体の隙間に照準が合うように、微調整する。

 している内に金色の38(t)が躍り出て砲撃したが、弾は相手に掠りもせずに何処かへ跳んでいき、集中砲火を受けて38(t)は撃破された。

 

「……」

 

 しかし、チハは気にせず砲撃を行う。

 人ならざる精度を誇る砲撃は、鋭く砲塔と車体の隙間に吸い込まれていく。

 見事に命中し、派手な爆炎を上げて白旗がたった。

 

『マチルダII、行動不能!』

 

 放送を聴きつつ、車内に戻ったチハは再度砲弾を装填する。弾種は榴弾だ。

 その隙に、IV号は1台のマチルダを撃破しつつ離脱した。小さな横道があったらしい。

 残り3両。

 

 砲塔を旋回させながら後進していた砂漠色の車両に照準を向けるチハ。

 ある程度偏差を取り、砲身の根元へ向けて榴弾を発射。

 もしここが舗装されていない場所で、こちらも動いていたなら外していたかも知れないが、今は全てが逆。

 見事、命中させた。

 

 どうやら砲身を破壊すると白旗判定になるらしい。

 ついでに同軸機銃も破壊されていた。

 

「……まず」

 

 緑の車両の砲身がこっちを向いている。

 すかさずチハも砲撃するが、弾かれてしまう。

 チハはすぐさま後進。すぐ目の前に砲撃が着弾した。

 

 さらに最後の砂漠色が砲撃し、チハからは外れたが民家の一階に直撃し、派手に爆発。

 チハも砲撃で反撃するが、当たりどころが悪く弾かれてしまった。

 

 再度緑の車両から砲撃が飛んでくる。

 今度は鋭く前面装甲に命中し、九七式の25㍉装甲で防げるはずも無く派手に吹き飛ぶ。

 最終的に、塀に衝突して停止。白旗が上がった。

 

『九七式旧砲塔、行動不能!』

 

 チハはキューポラから身を乗り出す。

 吹き飛ばされた時に頭を打ったらしく、グニャグニャと視界が歪んで真っ直ぐ立てない。

 さらに胸部から感じる痛み。砲弾直撃の衝撃がそのままダイレクトにチハへと流れてきたのだ。

 

「……くそっ」

 

 チハは、耐えきれずキューポラの中にずり落ちていった。




なんか命中精度おかしくない?って思われるかもしれないけど、
目隠しした人に指示してボールを投げさせるのと、目隠し無しで自ら投げるボール。どっちが窓に当たると思います?
って答えます。え?目隠ししてるからそりゃ当たらないだろって?
……だって目隠ししないと『あれに当てて』って言えちゃうじゃん。
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