【読者参加型】戦国の弱小武家に転生しました~転生先も特典もその他いろいろ、アンケートで決まります~ 作:病んでるくらいが一番
父へ
若様から預かった話を答え、しばらく城に残る者と先に戻れる者を分けて伝える。
「取り戻したか」
「はい。城へ入るときには戦わずに済みました」
「そうか。それはよかった」
俺の働きについても話すことになった。
「よく戻った。お前も、皆もな」
そこで口元が少し緩んだ。
返事をしようとして、思ったより小さな声になった。
「はい」
母にも顔を見せ、その日は家で寝た。
翌朝、庭へ出ると、戻ってきた者が槍を並べていた。足りない一本は城に残った男のものだという。
俺が持ち帰った槍をその隣へ置いていると、父に呼ばれた。
「柴田へも伝えてこい。鳴海の話を聞きたいそうだ」
*
俺を見つけると持っていた槍を下ろし、そばの男へ渡した。
「二つ取ったと聞いたぞ」
「甚助に助けてもらいました」
「そうか」
権六が俺の肩を叩いた。
「よくやった」
顔を上げると、まっすぐ俺を見ていた。
俺は頭を下げ、父からの伝言を話した。鳴海へ残る者のこと、若様が城を守る人をまだ決めていないことも伝える。
「城の者が開けたのか」
「こちらから話を通せる方がいました。道を押さえる案を出した方もいて、若様が両方をお使いになりました」
「攻めずに済んだのは、それからか」
「はい。城へ使いを送り、周りの道を押さえながら話を進めました」
権六は庭の端にある腰掛けへ向かった。俺も隣に座り、城を出る者との約束がまとまるまでを話した。
聞き終えた権六が、膝へ手を置いた。
「鳴海を取れたのはよい。だが、今川が諦めたわけではなかろう」
「また取りに来ると思いますか」
「あちらも取りたい城なら、こちらが弱くなったときを狙う。誰を残すかは大事だぞ」
せっかく門を開けてもらった城だ。若様が帰ってすぐ奪われたら、残った人たちまでどうなるか分からない。
「権六殿なら、どう守りますか」
権六はこちらを見た。
「わしを置くつもりか」
「まだ誰も決まっていません。聞いてみたかっただけです」
「まず、どこから兵が来るかを見る。城の中だけへ押し込めては、外から知らせも入らぬ。近くの者にも話を通さねばならん」
権六は続けて、守る兵をどれだけ置けるのかと聞いた。
俺が知っている範囲を答えると、それでずっと守れるかは、城の外も見てからだと言った。
「足りぬと思ったときに、足りぬと言える相手でなければ困る」
「若様は今回、聞いてくださいましたよ」
「聞いたから取れたのであろう。次もそうならよい」
「もし頼まれたら、権六殿はお引き受けになりますか」
「頼まれもせぬうちから答えられるか」
少し笑われた。
「弟様のところにも用がある。わし一人が出れば済む話でもない。何人連れて、いつまで守るか。その話を聞いてからだ」
「そうですよね」
「お前も来るなら、城の中の稽古だけでは済まぬぞ」
権六は立ち上がり、庭へ目を向けた。
「少し合わせるか」
「お願いします」
借りた稽古用の棒を構えると、権六の笑みが消えた。
一度目の突きを横へ払われたが、踏み込んで追いかけるのをやめ、棒を引いて構え直す。権六が間を詰める前に、もう一度先を出した。
今度は権六も足を止めた。
「それでよい。前へ出るばかりでは、使い切れん」
続けて二度、三度と突きを交わした。
権六が俺の棒を横へ払おうとしたところで、先を引く。権六の棒が空を切るうちに、もう一度突いた。
権六は後ろへ退いたが、俺の棒の先が胸へ触れた。そこで止め、引き戻す。
「一本だな」
権六は棒を下ろし、自分の胸を見た。それから俺へ目を戻し、笑った。
「もう一度だ」
「はい」
俺も笑って、棒を構え直した。
*
鳴海の守りを相談する席へ、俺も呼ばれた。
父から新しく預かった返事を持ち、甚助と城へ向かう。道中では、戻っていく味方の一団とすれ違った。
先日まで一緒にいた顔もある。声をかけて別れ、俺たちは門へ入った。
部屋には若様のほか、兵を残す相談をしている家臣たちと、城へ話を通したあの男がいた。
俺は父からの返事を伝えた。
「では、誰をここへ置くかだ」
若様が話を戻した。
「鳴海は取った。次は守りを固めるぞ」
一人の家臣が、若様の近くで兵を率いてきた者を挙げた。
今回、道を押さえる人数を揃えた家臣とも、互いの兵を知っているという。
「殿のもとで兵を動かしてきた者です。城から援軍を求めるときにも、互いに話は通しやすいかと」
「あれを出せば、わしの手元が減るな」
「はい。連れておる者も、いくらかはこちらへ置かねばなりません。こちらへ残す分を、ほかから足すことも要りましょう」
若様はうなずき、城へ話を通した男に向き直った。
「城に残った者から任せるなら、誰だ」
男は一人の名を挙げた。
門を開ける話がまとまったあと、残る者を集め、城内で揉め事が起きないよう動いた人だという。
山口方が出ていった際には、持ち出す物を確かめる役も引き受けていた。
「この辺りの道も、人も知っております。外へ出した使いが戻らぬときには、別の道を教えた者です」
「兵を率いたことは」
「城を守る者をまとめたことはあります。ただ、この城をすべて預かったことはございません」
「こちらからも、人を添えるか」
「その方がよろしいかと。殿との約束を守るかどうかは、私も見届けます」
男が頭を下げる。
隣の家臣が、城を渡した褒美にもなると言った。
「残った者には、自分らの中から任されたと分かります。今川の兵がまた来たときにも、ここを守る理由になりましょう」
「今川へ通じておる者も、まだおるかもしれぬぞ」
「それも確かめねばなりません。ただ、城に残ったというだけで皆を退ければ、今度は誰もこちらへ口を開きません」
若様は男の顔を見た。
「わしに会わせよ。何を任せられるか、本人にも聞く」
男は、その日のうちに呼びに行くと答えた。
若様がこちらへ顔を向けた。
「
「はい。城を取ったと伝えてきました」
「何と申しておった」
城の外から知らせを入れられるようにすること、必要な人数を見てから判断したいと言っていたことを答えた。
若様は途中で遮らずに聞いた。
「権六に守らせるという手もあるな」
一人がそう言うと、別の家臣が弟様の方に用のある者だと答えた。
俺は権六の返事を伝えた。
「お引き受けになるとは、まだ仰っていません。連れてくる人数と期間を聞いてからだと」
「そうか」
若様が膝に置いていた手を開いた。
「権六なら、兵をまとめることはできよう」
「ただ、弟様の方とも話をせねばなりません」
「わしから頼む。あちらの用を放り出せとは申さぬ」
そう言って、若様は俺を見た。
「ここへ来れば、わしへ知らせることになる。わしも、あれの求めるものを聞くことになるな」
「はい」
「お前は、どう思う」
権六殿なら任せられます。
そう答えかけて、口を閉じた。
「稽古では、俺と甚助だけでなく、源八たちにもよく目を配っておられます。ただ、戦で兵を率いるところや、城を預かるところは見ていません」
「ほかの二人の働きはどうだ」
「若様のおそばの方は、若様がよくご存じでしょう。鳴海の方は、俺はまだお話ししていません」
隣の家臣が、城に残る兵と外から来る兵をどう組ませるかについて話し始めた。
その相談を聞き、俺は父の返事にあった交代の日をもう一度伝えた。
*
ほかの者が席を立ったあと、若様に呼び止められた。
「お前もここへ通ってもらうぞ」
「何をいたしましょうか」
「任せる者とわしの間を行き来せよ。お前は権六とも話せる。城へ入るまでの話も、見ておった」
俺はうなずいた。
「権六殿になったら、権六殿からもあれこれ言われそうです」
「申したことを、そのまま持ってこい」
「若様への文句でも?」
「人数が足りぬ、飯が足りぬという文句なら聞く」
若様の口元が少し上がった。
「わしが嫌いだというだけなら、本人に申させよ」
「そんなことは仰っていませんよ」
「では、来るかもしれぬな」
権六がここへ来れば、若様と兵や飯の話を何度もすることになる。若様にとっても、権六の働きをそばで見る機会になるだろう。
若様が俺の顔を覗き込んだ。
「また妙なことを考えておるな」
「誰が来ても、これから何度も会うことになると思いまして」
「うむ」
若様は窓の外へ目を向けた。
庭では城に残った者と、こちらから来た兵が話していた。先ほどの男も、その中へ入っていく。
「権六が引き受けるなら、あれにも働きに見合うものを渡す」
若様は俺へ向き直った。
「お前なら、誰を推す」
権六が弟様の側に立ち、あとで若様と戦ったことは覚えている。
弟様は一度許されても、また背いて、最後には若様に殺される。
ここで権六が若様と一緒に働けば、弟様の謀反も変わるのだろうか。
権六へ任せたいという気持ちはある。
若様が頼りにする家臣へ任せ、俺もその人と働いてみることだってできる。鳴海の人を推せば、城を開けてくれた人たちと、この先も付き合っていくことになる。
城がまた落ちたら、親しくなった相手を助けに来られるかまで問われるのだろう。
黙り込んだ俺を見て、若様が頬を指で掻いた。
「殴って決める相談ではないぞ」
「それは分かってます」
俺は少し座り直し、誰の名から話すかを考えた。
今回のアンケートは、藤十郎が鳴海城を守る人として誰を推すかを選びます。
・信長が信頼する家臣を推す
信長の手元で働いてきた家臣と兵が鳴海へ移ります。信長との連絡は通しやすい一方、手元に残る人員を補う必要があります。藤十郎もその家臣との仕事を重ねます。
・権六を中心に守る案を推す
信長から権六へ役目を頼み、弟様の方との用や連れてくる兵を調整します。引き受けた場合、二人が互いの働きと判断を知る機会が増えます。権六の弟様との縁がここで消えるわけではありませんが、この経験は後の判断にも残ります。
・鳴海に残った者の登用を推す
城の引き渡しに働いた在地の者を候補とし、信長方の人も添えて守りを任せる案です。土地と人を知る者の力を借り、藤十郎も現地との関係を深めます。信長は本人の力量や、城内に残る関係を確かめます。
どの案でも任命を決めるのは信長です。藤十郎は榎並家の跡取りとして、城を守る相手と信長の間を行き来します。選んだ相手との経験や約束は、今後の関係や選択にも影響します。
第26話の実際の公開から約24時間後の最多票を採用します。同票の場合は最多票の候補から作者が選びます。
鳴海城の奪還と、その後の守備人事・人物の会話は本作の歴史改変です。現地の守備候補は創作上の人物で、史実の城代を示すものではありません。権六の受諾や支持の変化はまだ決まっていません。
奪還した鳴海城を守る人として、藤十郎は誰を推すでしょうか。任命は信長が相手の意向や兵の配置を確かめて行います。今回築く関係と経験は今後にも影響します。第26話の公開から約24時間後の最多票を次話以降へ反映。同票は最多票候補から作者が選びます。
-
信長が信頼する家臣を推す
-
権六を中心に守る案を推す
-
鳴海に残った者の登用を推す