「わざとでしょ」
高専内遺体安置所で、五条はつぶやく。
「と、仰いますと」
不安げな表情を隠さず、伊地知は問う。
「特級相手、しかも生死不明の5人救助に一年派遣はあり得ない…、僕が無理を通して悠仁の死刑に実質無期限の猶予を与えた。面白くない上が僕のいぬ間に特級を利用して体よく彼を始末ってとこだろう…」
どんどん語気が荒くなっていく五条。
「他の二人が死んでも僕に嫌がらせができて一石二鳥とか思ってんじゃない?」
「いやしかし…派遣が決まった時点では…本当に特級になるとは……」
震えて伊地知がつぶやく。
「犯人探しも面倒だ…上の連中、全員殺してしまおうか?」
五条は苛立ちを隠さずそう言う。
「そもそもノクス、オマエ何やってんの?何のために特級のオマエをアイツらにつけてたと思ってんだよ?」
「すまない…コレは俺の見込みが甘かったせいだ…本当にすまない…」
ノクスは震えながら謝る。
「…!!あっ!ご、ごめん…別にオマエに責任を追求したいワケじゃなくて…」
ノクスの表情を見た五条は直ぐにフォローを開始する。
「珍しく感情的だな」
そんな空気の中、医師である家入硝子が話し掛ける。
「随分とお気に入りだったんだな、彼」
「…僕はいつだって生徒思いのナイスガイさ」
「あまり伊地知とノクスをイジメるな、私達とは別の方面で、苦労してるんだ」
「はぁ…そうだよね、伊地知はどうでもいいけど、ノクスには悪いことしたね、ごめんね…」
((五条さん…酷い…))
伊地知は泣きそうである。
「で、コレが…」
そう言うと硝子は虎杖の身体にかけられたシーツを剥がす。
「宿儺の器か…ってアレ?傷無くない?」
「えっ?」
五条は呆気にとられた表情をする。
「ああ、虎杖なら心臓も治して血液も補填した。心臓も動いているから直ぐに起きるだろう」
なんてことのないように、ノクスはそう発言する。
「はぁ!?」
五条は大声を出して驚く。それもそうだ、さっきまで完全に死んでいると思っていた生徒が、いつの間にか蘇生処置を施されていたのだから。
「オマエ…!?はぁ!?なんで!?いつの間に!?」
「ああ、リカバリーカプセムを使った」
ソレを聞いた硝子は納得したようにつぶやく。
「ああ〜!あの反転術式の存在価値を抹消するようなアイテムか!」
「ちげぇって…!!オマエ!ほんとに…!!ノクス…!!いつも言葉が足りないのオマエ!!
「…?」
「なんで分かってねぇんだ!コイツ!!?」
「おい五条、昔の口調戻ってるぞ」
ーーーーー三人称Side
「許可なく見上げるな、不愉快だ…小僧」
「なら降りてこい、見下してやっからよ…!!」
宿儺の生得領域で、二人は対面する。
「随分と殺気立っているな」
「当たり前だ、こちとらオマエに殺されてんだぞ」
「腕を治した恩を忘れるとはな…」
そう言って宿儺は心底嫌そうな顔をしてため息をつく。
「その後心臓取っちゃったでしょーが!!」
「死んでまでテメェと一緒なのは納得いかねぇけど、丁度いいや…、」
そう言いながら虎杖は生得領域に落ちている牛骨を拾い上げ、投げつける。
ヒュッ!!
「泣かす!!」
パカァンッ!!!
先程まで宿儺が居たところが弾け飛ぶ…が、宿儺は軽やかに飛び、避けていた。
そこに全速力で走り向かってくる虎杖。
「歯ぁ食いしばれ…!!」
「必要ない」
宿儺に一直線に向かうと思われた拳を地面に突き刺す。
ゴイィィンッ!!
ソレによって宿儺は姿勢を崩す。
((ハナから足場を…))
「ひっかかってやんの!」
そのまま虎杖は足蹴りに繋げる。確実に当たったかと思われたが…
ブンッ!
宿儺はなんてことのないように避ける。
「アレ?」
「オマエはつまらんな」
宿儺はそう言うと虎杖を蹴り落とす。
「ぐぇっ」
ザッパーンッ!!!
そのまま宿儺は虎杖の上に着地、座り込む。
「ここはあの世ではない。俺の生得領域だ」
「?」
「心の中、と言いかえてもいい。つまり…俺達はまだ死んでいない。本当は俺が治そうと思っていたんだがな、ノクス…ヤツがオマエの身体を治してくれたそうだぞ?」
ニヤニヤと笑いながら虎杖に話し掛ける。
「…!ノクスさんが!」
「ま、貴様のせいで五条悟に怒られていたがな」
「元はといえばアンタのせいでしょーが!」
「とりあえず、今回はオマエの意識を表面に出してやる。せいぜい感謝するんだな…」
「俺が感謝するのはノクスさんだけだっつの!!そもそもオマエは…!」
キンッ!!
話途中の虎杖の頭が分割される。
ーーーーー三人称Side
「夢…ですか?」
「そっ、悠仁のことでもわかる通り…上層部は呪術界の魔窟。保身馬鹿、世襲馬鹿、高慢馬鹿、ただの馬鹿。腐ったミカンのバーゲンセール…」
「そんなクソ呪術界をリセットする。上の連中を皆殺しにするのは簡単だ。でもそれじゃ首がすげ変わるだけで変革は起きない」
「そんなやり方じゃ誰も付いてこないしね、だから僕は教育を選んだんだ。…強く聡い仲間を育てることを」
「そんなワケで、自分の任務を生徒に投げることもある」
((それはサボりたいだけでは…?))
「皆優秀だよ、特に三年「秤」、二年「乙骨」…彼らは僕に並ぶ術師になる」
そんな話をしているとムクリと虎杖が起き上がる。
「おわっ!!フルチンじゃん!!」
「クックック……、悠仁!!おかえり!!」
「オッス!!ただいま!!」
パンッ!!
そう言って五条と虎杖はハイタッチをする。
ーーーーー三人称Side
「また狙われる前に、悠仁に最低限の力をつける時間がほしい。記録上、悠仁は死んだままにしてくれ」
そんな話を五条は硝子にする。
「じゃあ虎杖がっつり匿う感じ?」
「いや、交流会までには復学させる」
「何故?」
「簡単な理由さ、若人から青春を取り上げるなんて、許されていないんだよ…何人たりともね」
「それはそうと改めてノクスには謝っておけよ。アイツオマエにキレられてガチで落ち込んでたぞ」
「いやホントに申し訳ない…、アイツ甘いの好きだったよな…?ケーキ買ってこ…」
「相変わらずオマエ、ノクスには甘いな」
「大切な同期だもん…」
ーーーーー三人称Side
「ノクスさん!!」
「虎杖…無事で良かった」
「ノクスさんが俺のこと助けてくれたんだろ?ガチでありがとう!!」
「良いんだ、だが五条の思惑もなんとなく察していたからな…伏黒達にはオマエを助けた事は話していない。申し訳ない…」
「良いって!!今の内にもっと力をつけて、アイツらをびっくりさせてやるからさ!!」
そう言うと虎杖はニコリと笑う。
「フフッ…ああ、そうしてやると良い」
戦闘描写書いてるときが一番楽しいので、今回は筆が遅かったなぁ…