バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
現代日本における俺の人生は、お世辞にも褒められたものではなかった。
三十六歳、独身、童貞。これといった財産もなく、漫画やゲームだけが心の拠り所。ちょっと色恋沙汰や結婚に興味が出た頃には完全に手遅れで、極めつけには、大して美味いものも食えないまま、あっけなく死んだ。
(……未練がないと言えば、嘘になるな)
暗闇の中でそんなことを考えていた。だが、感傷に浸る時間は与えられない。
唐突に視界が弾け、俺の魂は濁流のようなエネルギーに押し流された。
次に目を覚ました時、俺はふんばりヶ丘の一般家庭に生まれていた。
名は、御門蓮夜(みかど れんや)。
憑依転生ではない。正真正銘、この世界の赤ん坊として一から生を受けたのだ。
だが、俺の魂には、明らかに「おかしな不具合」が刻まれていた。
(なんだ、この感覚は……。身体の内側で、何かが狂ったように渦巻いている……)
成長するにつれて自覚した。それは、この世界における『巫力(ふりょく)』と呼ばれる霊的エネルギー。
麻倉の名家でもなければ、ハオの血筋でもない、しがない一般家庭の生まれ。それなのに、俺の魂の最深部には、生まれながらにして空間を歪めかねないほどの「規格外のセンス」が眠っていた。
死ぬたびに記憶と力を魂に累積させる、謎の【周回仕様】。
世界の不具合か、それとも誰かの陰謀か。理屈はわからない。だが、俺の魂は、最初から「強くてニューゲーム」のバグを抱えて産声を上げたのだ。
「……なるほどな。霊が視えるだけのお気楽な人生かと思ったが、どうやらそうじゃないらしい」
十歳になったある日、俺は自室で、目立たない弓のチャームが付いた白銀の指輪をじっと見つめていた。
前世の知識が、この世界が『シャーマンキング』という物語の舞台であることを告げている。千年の孤独を抱く未来王ハオ、そして世界を揺るがすシャーマンファイト。
普通なら絶望するか、あるいは逃げ出すところだろう。
だが、溢れんばかりの力を宿した俺の魂は、不思議と冷徹に冴え渡っていた。
「基本は傍観スタイル、事なかれ主義で行く。……けどさ」
ふっと、口元が歪む。
前世では何も持たなかった。お金がなくて、美味しいものすら満足に食べられなかった。
なら、この二度目の生では、手に入れられる最強の力と、最高の経験を貪り尽くしてやればいい。圧倒的な強さってやつには、男としてちょっとした憧れもある。
その時、白銀の指輪から、眩い光の粒子が立ち上った。
現れたのは、光の弓を背負った、戦国を生き抜いたという女武者の霊体。
俺の初めての持霊、『サクヤ』だった。
彼女は凛とした瞳で俺を見つめ、声に出すことなく、俺の脳内に直接言葉を響かせてきた。
《――ようこそ、我が主。随分と不条理な魂をお持ちのようだ》
俺は心の中で、不敵に笑いながら彼女の言葉に応じる。
(ああ、不条理には慣れてる。……いくぞ、サクヤ。この世界で、俺たちの物語を始めよう)
《御意に。どこまでも、この光弦の導くままに》
これが、俺の魂のバグが紡ぐ、果てしない多世界周回の――始まりの第一歩だった。