バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
キーンコーンカーンコーン。
昼休みのチャイムが鳴り響くと同時に、俺は自分のクラスの席を立ち、廊下へと出た。
向かう先は、隣のクラス。
(さてと、一応あいつには報告しておくか。昨日の今日だしな)
ポケットの中で、カチカチと冷たい音を立てる漆黒の端末――オラクルベルに触れる。
昨晩、河川敷で自腹出張の社畜試験官ことシルバに『神鳴の一矢』をブチ込み、力任せに強奪した、シャーマンファイト本戦への切符だ。
隣のクラスの引き戸をガラガラと開けると、席でまん太と弁当を広げていた葉が、俺の姿を見つけて「よお、蓮夜」と呑気に手を挙げた。
「なんだ、蓮夜。飯一緒に食うか? 今日のふんばり温泉の弁当、アンナが作ったからちょっと怖いんだよな……。見た目は美味そうなんだけどさ」
「……葉殿、アンナ様のお言葉を忘れたのですか。『残したら写経一万字』と……!」
背後で青ざめている阿弥陀丸の霊体を無視して、俺は葉の机の前に歩み寄り、ポケットから例の黒い端末を取り出してコト、と机の上に置いた。
「飯は自分のがあるからいい。それより、これに見覚えはあるか? 麻倉」
机の上に置かれた、独特な文様が刻まれた漆黒のベル。
それを見た瞬間、葉の口からバサッと食べていた卵焼きが落っこちた。まん太にいたっては、目玉が飛び出さんばかりに驚愕し、短い手足で机を叩いて絶叫する。
「お、お、オラクルベルだーーーっ!? なんで御門くんがそれを持ってるの!? それって、シャーマンファイトの予選を勝ち抜いた人しか貰えないやつじゃ……っ!」
「あはは、マジかよ蓮夜。お前、いつの間に試験受けてたんだ?」
葉は頭を掻きながら、驚きつつも嬉しそうに笑った。
「いつの間にもクソもないか。昨日、お前が河川敷でシルバって試験官に合格貰って帰っただろ? 俺、それを物陰から見てたんだよ。そしたらあいつ、お前が去った直後に草むらから俺を引っ張り出しやがってさ」
俺は昨晩のシルバの涙目を思い出しながら、盛大に肩をすくめてみせる。
「『ついでだからお前もやれ』だとさ。手当ても出ない連勤でイライラしてたのか知らないが、ブラック企業も真っ青の飛び込み営業をかけられたわ。だから、適当に一撃入れて合格を毟り取ってきた」
わざわざ自分の手の内や、1万の巫力による力任せのオーバーソウルの詳細をペラペラと教えてやる義理はない。俺が言葉を濁すと、背後にいた阿弥陀丸がカタカタと派手に震えだした。
「パ、パッチの試験官を相手に、適当に一撃を入れて合格をもぎ取るとは……! 葉殿、やはりこの御門殿、底が知れぬシャーマンにござる……っ!」
「まー、蓮夜は最初から強そうだったしな。でもさ、これで蓮夜も本戦出場か。仲間がいてくれるのは心強いぞ」
葉は本当に嬉しそうに、オラクルベルを自分のものと並べて眺めている。
だが、俺はすかさず、冷徹な現実を突きつけてやった。
「勘違いするなよ、麻倉。俺はどこまでも事なかれ主義の傍観者だ。本戦のパッチ族の里(アメリカ)に行くのも、自力での修行に限界を感じたから、あそこの伝統的な術理ってやつをちょっとお勉強しに行くだけだ。お前とチームを組んだり、一緒に戦ったりするつもりは毛頭ないからな」
「えー、冷たいな。アメリカまで一緒に行こうぜ? 一人旅は寂しいしさ」
「お前にはアンナさんとまん太がいるだろ。俺は一人で現地を観光しながら、美味いハンバーガーでも食うわ」
へらへらと笑う主人公と、全力で距離を置こうとする転生者。
オラクルベルが手に入ったことで、俺の多世界周回の歯車は、望むと望まざるとにかかわらず、次の壮大な舞台――『パッチ族の里』へと強制的に動き出そうとしていた。