バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
アメリカの乾いた大地に隠された、聖なる決戦の地――パッチ族の里。
遮るもののない広大な本戦会場のゲートをくぐり、俺はハオのすぐ後ろに並ぶ形で、ハオ組のシャーマンたちと共に堂々とそこへ足を踏みである。
ハオが歩くたびに、周囲にいる有象無象のシャーマンたちが怯えたように道をあけ、その圧倒的な王の風格に息を呑む。
カバンの中には、FXで運用してATMから下ろしてきたばかりの、分厚いドル札の山。
パッチ族のぼったくり物価高も、極貧野宿の罠も、すべて金の力でねじ伏せる準備は万端。軍資金の質量は完璧だ。
だが、この場に集まっていた連中にとって、俺の存在は別の意味で「あり得ない不条理」そのものだった。
「――あれ? 嘘だろ……。おい見ろよ葉、あそこにいるのって……っ!」
聞き覚えのある大声に、俺はそっと視線を向けた。
そこには、荒野の泥臭いサバイバルを終えてボロボロの姿をした麻倉葉、ホロホロ、道蓮、木刀の竜たち『ふんばりチーム』の一行が立ち尽くしていた。
「げぇっ!? 蓮夜ァーーーッ!?」
「お、お前……なんでハオの奴なんかと一緒に歩いてるんだよ!?」
ホロホロと蓮が目玉を飛び出させて絶叫する。
彼らにとって、俺は「そのへんでのんきに美味いハンバーガーでも食ってる傍観者の一般人」として、一度脳内から忘れ去られていた存在だったのだから当然だ。
「よお、麻倉。無事に着いたみたいだな」
俺がいつものように気の抜けたトーンで手を挙げた、その瞬間――。
俺の魂の最深部、ハオ直々の地獄の修行を経て、泰山府君祭の深淵に触れて覚醒した【50万】のバグ巫力が、世界の境界線を歪めるかのように周囲へとブワリと漏れ出した。
ドクンッ!!!!!
「……っ、う、あ……!?」
「な、なんだこの重苦しい霊圧は……っ!?」
葉たちの顔から一瞬で血の気が引き、その場に縫い付けられたように硬直した。
ホロホロは膝をガタガタと震わせ、道蓮はあまりのプレッシャーに冷や汗を滝のように流して、自分の武器を握る手すら震わせている。
《は、葉殿ォーーーッ!!! 危険でござる! あの御門殿の身から放たれるオーラ、数週間前とは完全に別次元……! 某、武人として断言いたします、あれは神、いや、ハオ殿の領域にすら片足を突っ込んでいる化け物にござる……っ!》
阿弥陀丸がこれまでにない取り乱し方でカタカタと震え、葉の背後で必死に警告を叫ぶ。
さらに会場の別のエリアにいた『X-LAWS(エックス・ロウズ)』のマルコまでが、メガネを驚愕で歪ませてガタガタと手を震わせていた。
会場全体が、突如として現れた「50万のバグ」という圧倒的な規格外の出現に、完全に静まり返る。
そんな、息を呑むような最強たちの緊迫した空気の中。
「おっと……」
俺は自分の身体から漏れ出る白銀と紅蓮の狂った霊圧を眺め、頭の後ろをポリポリと掻きながら、最高に気の抜けた声で呟いた。
「巫力(これ)が溢れたか。まるでおねしょだ」
スゥ……と、俺がそう言った次の瞬間。空間を圧殺しかけていた50万の霊圧が、まるで最初から何もなかったかのように、一瞬で俺の魂の内側へと完全に引っ込んで消え失せた。
「ぶっ――お、おねしょ……っ!?」
あまりにもデタラメな制御技術、そしてそれ以上に中学生が公式の場で放った最悪のパワーワードに、緊迫していた葉や道蓮、ホロホロの表情が完璧にズッコケるように崩れ落ちた。恐怖で青ざめていたマルコにいたっては、あまりのシュールな台詞に「お、おね……何と言ったのだ、あの悪魔の申し子は……っ!?」と、別の意味で脳内がパニックを起こしている。
「あはは! 本当に最高だね、蓮夜。50万の霊圧をおねしょ呼ばわりして内側へ戻すなんてさ」
背後でその様子を眺めていたハオが、お腹を抱えるようにしてクスクスと爆笑していた。
ハオは怪談の八尺様よろしく、俺の肩に手を置いてゼロ距離まで顔を覗き込んでくる。
「君のそのデタラメな質量、会場の全員を完璧にバグらせてしまったよ。これなら本戦も退屈しなさそうだね」
「ハ、そいつはどうも。おねしょはすぐに乾かすのが事なかれ主義の鉄則だからな」
俺はカバンに詰まった莫大な軍資金を抱え直し、再びハオ組と共に歩き出した。
「ハンバーガーを食ってたモブ」から、世界を震撼させる「おねしょ発言のバケモノ」へ。
パッチ族の里の本戦会場という最大のステージの真ん中で、俺はあらゆるシリアスをシュールにハッキングしながら、不敵にその一歩を踏み出すのだった。