バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
パッチの里に設置された、本戦専用の特設リング。
周囲の観客席には、麻倉葉たちふんばりチームや、不気味に佇むX-LAWS、そして特等席からこちらを見下ろすハオ様とハオ組の面々が一堂に会していた。
『さあ、シャーマンキングファイト本戦トーナメント、第一試合を始めるぞ!』
パッチ族の司会がオラクルベルのマイクを通じて叫ぶ。
『片や、独自の術理で予選を勝ち抜いた実力派3人チーム! ……そして対するは、パッチの運営システムがその異次元の戦闘能力に戦慄し、前代未聞の【理由:強すぎるからソロ】という特例を義務付けられた怪物――御門蓮夜、1人だァ!!!』
会場がワッと大きくどよめく。
対戦相手の3人組のシャーマンたちは、旅行カバンを片手に持ったまま、いつも通り気の抜けた私服姿でリングに上がってきた俺を、明確な警戒と侮蔑の混じった目で睨みつけてきた。
「ハッ、強いからソロ認定だと? 運営のパッチ族も耄碌したもんだな! シャーマンファイトの本戦は3人1組のチーム戦、1人で3人のオーバーソウルを相手にできるわけねえだろ!」
「おい、油断するな。昨日のあいつのおねしょ発言の時の霊圧は本物だ……。だが、今のあいつからは何の気配も感じられん。ハッタリだ、一気に畳み掛けるぞ!」
3人が一斉にそれぞれの媒体を突き出し、巨大な獣や武器のオーバーソウルをリング上に顕現させる。
合計の巫力はせいぜい数万。予選レベルなら間違いなく強豪の部類だろう。
だが、ハオ直伝の特訓を経て、巫力【50万】の神クラスへと至った今の俺からすれば、彼らが全力で展開している理(システム)など、あまりにも隙だらけの消えかけの蝋燭に等しかった。
(……やれやれ。事なかれ主義の傍観者としては、さっさと一撃で終わらせて高級ホテルのスイートルームに帰りたいんだよな)
俺はハァとため息をつくと、左手を前に突き出し、白銀の指輪を静かに撫でた。
「――来い、サクヤ」
《御意にございます、我が主。その進化した魂の質量、存分に解き放ちましょう》
キィィィィン!!!!!
その瞬間、リング全体の空間そのものが自重でミシミシと歪み、大気を圧殺するような白銀と紅蓮の霊圧(オーラ)が、まるで巨龍のように渦巻いて天を貫いた。
俺の左手に実体化したのは、弓道選手が手にするような洗練された美しいフォルムでありながら、触れる者を拒むような圧倒的な神聖さを放つ『真・神鳴の神弓(仮)』。
「なっ……なんだこの霊圧は……っ!?」
「昨日のはハッタリじゃなかったのか……っ!? 身体が、身体が恐怖で動かん……っ!」
対戦相手の3人が、あまりの霊圧の質量差にガタガタと膝を震わせ、せっかく展開したオーバーソウルがその自重だけで霧散しかけている。
観客席で見守っていた麻倉葉や道蓮、ホロホロたちも、昨日「おねしょ」とはぐらかされたあのデタラメな力が、本物の【50万の怪物】として解放されたことに冷や汗を流して絶句していた。
俺は右手を弦にかけ、ハオ直伝の『五行の理』を脳内にハッキングするように思い切り引き絞る。
ギチギチギチと音を立て、弦の間に形成されたのは、暴風と白銀の雷光を纏った、巨大な純白の光の矢。
ただの1万のゴリ押しではない。ハオから授かった泰山府君祭の深淵と、五行の相生・相克の理を完璧にブレンドし、独自の極みへと昇華させ始めた、本物の神の領域の一射。
「お前らじゃ、この『物語の行く末』にはついてこれねえよ。――『神鳴の一矢(かむなりのひとや)』ッ!!」
パァン!!!
放たれた閃光は、リングのコンクリートごと、対戦相手の3人が展開していたすべての防御壁とオーバーソウルを一瞬で、チリ一つ残さず完全に消滅させた。
衝撃波の暴風だけで3人の身体は大砲の弾のように吹き飛び、リングの外の壁へと激突して白目を剥いて崩れ落ちる。
文字通り、術理もクソもない、ただの一撃(ワンパン)による完全な圧倒。
ピピピッ。
静まり返った本戦会場に、俺のオラクルベルが非情な勝者通知の電子音を鳴らし、画面には燦然と『チーム御門、初戦突破』の文字が刻まれた。
「……ハ、やっぱりハオ様の教えを完璧にハッキングした後は、予選組相手じゃただの虐殺だな」
俺は左腕のオーバーソウルをスマートに解くと、頭上の特等席で「あはは! さすがは僕の最高の弟子だね。実に見事な五行の変転だよ、蓮夜」と、実にお愛おしそうな顔でクスクスと爆笑しているハオ様を見上げ、不敵に口元を歪めた。
(まずは1勝。ハオ、お前の背中が見えるところまで、この累積バグの魂で一気に駆け上がってやるよ)
事なかれ主義の男による、強すぎてソロ認定された本戦トーナメント。
会場にいるふんばりチームやX-LAWS全員を恐怖と戦慄のどん底に叩き落としたまま、俺の1周目の世界を引っ繰り返すための『真の規格外』としての快進撃が、ここに最高の形で幕を開けるのだった。